訂正:首相「世界経済に下方リスク」、対応検討を-ダボス演説(要旨)

福田康夫首相が26日午前(日本時間同日 夜)、スイス東部で開催中の世界経済フォーラム(ダボス会議)年次総会で行 った演説(要旨)は次の通り。

世界経済

「米国のサブプライム問題や原油価格の記録的高騰などを背景に、世界経 済の下方リスクが高まっている。サブプライム問題は新たな金融技術が開発さ れ、同時にリスクが証券化などにより世界中に拡散される一方で、それらに対 するリスク管理が甘くなったことが問題の元凶ではないか」

「今回のこうした『21世紀型の危機』という側面も踏まえ、持続的な経済 成長が得られるよう、世界の経済・金融市場の在り方について議論していく必 要がある」

「現在はリスクの再評価の過程だ。現状を過度に悲観することなく、われ われは緊急に対応する意識を持って各国が必要な対策を取るということも考え ていく必要がある」

「サブプライム問題の解決に向けて、『バブル経済』崩壊の際の日本の苦 い経験から言える教訓は『素早い対応』と『金融機関の資本の毀損による信用 収縮を未然に防ぐこと』の重要性だ」

「各国の財政・金融当局の努力を歓迎する。主要国の財政・金融当局は最 近の金融市場の混乱の要因を分析し、中長期対策について検討を急いでおり、 2月のG7でも議論される見込みだ」

日本経済

「日本経済はバブル崩壊以降、長い停滞状態にあったが、民間の活力を伸 ばすため思い切った改革を断行してきた。企業も精力的な経営改革を行い、日 本経済は財政出動に頼らず、長期にわたる緩やかで着実な成長を続けている」

「日本の金融システムでは、主要銀行の不良債権比率は1.5%まで改善した。 不良債権問題は正常化し、金融安定化に成功した。現在、わが国の主要な金融 機関は健全な財務基盤に立っており、資金供給は円滑だ。わが国の銀行などの サブプライムローン関連商品の保有率は限られており、わが国への影響は限定 的だ」

「わたしは経済成長戦略を具体化し実行する。その一環として対日投資、 貿易手続き、金融資本市場の改革などの市場開放の努力を一層進め、日本を世 界とともに成長する国にしていく。このような経済社会における改革を継続す ることが、自国のためだけでなく、国際社会における責務だ」

温暖化対策

「本日は『クールアース推進構想』を提示し、『ポスト京都』フレームワ ーク(枠組み)』、『国際環境協力』、『イノベーション(技術革新)』の3 点を提案する」

「バリ会議では09年末までに現行の京都議定書の後に続く温室効果ガス 削減に向けた新たな枠組みを目指すことで一致した。地球全体で温室効果ガス のピークアウト(排出量を減少に転じさせる時期)を実現するためには、全員 が、なかんずく主要排出国がすべて参加する仕組みとすることが不可欠だ」

「わたしはサミット議長として、主要排出国全員が参加する仕組みづくり や公平な目標設定に責任を持って取り組む。日本は主要排出国とともに今後の 温室効果ガスの排出削減について国別総量目標を掲げて取り組む。この目標策 定に当たり、削減負担の公平さを確保するよう提案する」

「科学的かつ透明性の高い尺度としてエネルギー効率などをセクター別に 割り出し、今後活用される技術を基礎として削減可能量を積み上げることが考 えられる。公平の見地から基準年も見直されるべきだ。公平が欠如しては息の 長い努力と連帯は維持できない」

「わたしは世界全体で2020年までに30%のエネルギー効率の改善を世界 が共有する目標とすることを提案する」

「国際環境協力の柱は気候の安定化に貢献しようとする途上国に対する支 援だ。その方策としてわが国は5年間で100億ドル規模の新たな資金メカニズ ム(クールアース・パートナーシップ)を構築する。これにより省エネ努力な どの途上国の排出削減の取り組みに積極的に協力するとともに、気候変動で深 刻な被害を受ける途上国に支援の手を差し伸べる。米国、英国とともに多国間 の新たな基金創設を目指し、ほかのドナー(資金提供国など)にも参加を呼び 掛ける」

「2050年までに温室効果ガス排出量を半減させるには革新的技術開発が不 可欠だ。わが国として環境・エネルギー分野の研究開発投資を重視し、今後5 年間で300億ドル程度の資金を投入する。国際的にも、国際エネルギー機関 (IEA)などの国際機関と緊密に連携して技術開発を加速し、成果を共有す る枠組みの構築を提案する」

「以上の『クールアース推進構想』は、サミット議長としてのわたしの決 意だ。サミットで真に世界の期待するこの問題の解決に向けて、さらなる前進 を図る」

洞爺湖サミット

「サミットのもう一つの重要議題は開発・アフリカだ。5月に横浜で第4 回アフリカ開発会議(TICADⅣ)を開催し、『元気なアフリカ』のテーマ の下でアフリカ開発を推進する議論を行う」

「サミットでは『人間の安全保障』の観点から、『保健・水・教育』に焦 点を当てたい。保健では包括的な国際保健協力の推進を提案する。循環する資 源である水の有効管理に向けて国際的な協力を進める」

「教育では良質な基礎教育の普及に向けた『万人のための教育:ダカール 目標』の達成のために国際的連携を強める必要がある。わが国は職業訓練や 中・高等教育など発展を後押しするさらなる教育温首相機会を志ある人に提供 していく」

「日本はアフリカや国際社会と協力して、民間投資を引き寄せる魅力的な 環境整備に向けて、道路網や電力網などの広域インフラ開発の青写真を示して いく」

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