米利下げ幅0.25か0.50ポイントかで市場に迷い-株高なら一時債券売り

金融市場では、今週29、30日の米連邦公開 市場委員(FOMC)では、22日実施の0.75ポイント緊急大幅利下げに続いて、 追加利下げが行われると予想されている。もっとも、利下げ幅が0.25ポイント か0.50ポイントになるのかが焦点となっており、一部では迷いもみられる。米 国市場の財政・金融政策を好感し、株高となれば、債券市場では一時的に売り圧 力が強まる見通し。

リーマン・ブラザーズ証券チーフJGBストラテジストの山下周氏は、「今 週のFOMCでは0.25ポイントか0.5ポイントの利下げかで見方が割れてい る」と指摘。「たとえ0.25ポイントの利下げという形になっても今後利下げを 継続していくとの声明文が出てくれば市場への影響は限られると思う」と語った。

またバークレイズ・キャピタル証券チーフストラテジストの森田長太郎氏は、 「25日の海外市場では、利下げが0.25ポイントにとどまるとの織り込みが進ん だことを受けて、株式市場が反落し、株価下落が逆に再度金利低下を促す形とな っている」と分析。

さらに、「前週後半に見られた米国株の反転がある程度、金融・財政両面で の政策期待に依存している構図もまた明らかになっている」と説明している。

一方、JPモルガン・チェースのチーフエコノミストのブルース・カスマン 氏は、「最も可能性が高いのは0.5ポイントの追加利下げ」と予想、フェデラル ファンド(FF)金利の誘導目標は3.0%に引き下げられると見込んでいる。そ の後は、3月に0.25ポイントの追加利下げを行い、今年末まで2.75%に据え置 かれると予想している。

みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、「財政出動と大 胆な利下げの組み合わせで、ようやく株価が反発し、市場の期待転換が起こり始 めているだけに、ここで米連邦準備制度理事会(FRB)が手を抜くような行動 をとると、昨年10月末に利下げ打ち止めを示唆した失敗の二の舞となるおそれ がある」と指摘。「0.5ポイント幅の利下げで、いわば手堅く利下げしてくる」 と予想している。

シカゴ商品取引所(CBOT)のFF金利先物相場によると、FOMCが 30日の定例会合でFF金利の誘導目標を0.50ポイント引き下げる確率は70%と みられている。0.25ポイントの利下げ確率は30%。

米景気後退か減速か指標見極め

米国は景気後退(リセッション)入りを回避するために、財政・金融政策を フル出動する姿勢を明確に打ち出している。ブッシュ米大統領が28日の一般教 書演説で減税を柱にした1500億ドル(約16兆円)の景気対策の詳細を明らかに する見通し。このほか、モノラインと呼ばれる米金融保証会社の救済策など多面 的に対策が協議されている。

しかし、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)の問題に端 を発した住宅価格の下落を背景に、逆試算効果による個人消費の下押しという景 気の逆回転が止まるかは不透明な状況。市場では、「米景気の見通しが十分に改 善したとは言えない」(クレディスイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏) との声もくすぶる。

今週発表される米経済指標が景気後退入りを占う上で注目材料とみられてい る。28日に12月の新築住宅販売、29日に12月の耐久財受注、30日に10-12 月期の実質国内総生産(GDP)推定値、31日に10-12月期の雇用コスト指数、 12月の個人所得・消費、2月1日は1月の米雇用統計が続く。米国景気が後退 せずに単なる減速で踏みとどまり、「ソフトランディング(軟着陸)」となるの かを見極めることになりそうだ。

米株高なら債券は一時的な調整か、予断持つこと危険との声も

今年に入ってから、米国の株式市場が急落したことを背景に、債券市場は 「質への逃避」買いで資金が流入し強地合いが継続している。しかし、米国の政 策総動員を好感して、米国株が反発すれば、債券市場には一時的な調整が避けら れない見通し。

ただ市場では、「今後も、株式、債券市場ともに乱高下を繰り返す可能性が 高く、予断を持つことは危険と考える」(日興シティグループ証券チーフストラ テジストの佐野一彦氏)との見方も強い。

米国の利下げ局面が終了し、将来の利上げ観測が浮上するまでは、金融市場 の不安定な状況が続く可能性が高いとみられている。

JPモルガン証券では、FRBが利上げに転じるのは2009年1-3月期を 見込んでいるという。

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