訂正:首相、途上国支援1兆円表明、国内環境研究3兆円-ダボス演説

スイスを訪問している福田康夫首相は26 日午前(日本時間同日夜)、世界経済フォーラム(ダボス会議)年次総会で演 説を行い、地球温暖化対策の一環として、日本の新たな提案「クールアース (地球冷却)推進構想」を提唱。温室効果ガスの排出削減に取り組む途上国を 支援するために今後5年間に約100億ドル(約1兆1000億円)の資金援助の 実施を表明した。

首相は、主要排出国とともに産業分野別に削減可能量を積み上げた「国別 総量目標」を設定し、2020年までに世界全体のエネルギー効率を30%改善さ せることを世界の目標とすることを提案。日本国内の環境・エネルギー分野の 研究開発投資として、今後5年間に300億ドル(約3兆3000億円)規模の資 金を投入する考えも打ち出し、温暖化防止に取り組む日本の決意を示した。加 えて米国、英国とともに、多国間の新たな基金の創設を目指すと提案した。

原油高・株安で各国は対策検討を

首相は温暖化対策に先立ち、国際経済をめぐる情勢について言及。米国の サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題や原油価格高騰を 背景に「世界経済の下方リスクが高まっている」と言明。「緊急に対応する意 識を持って各国が必要な対策を取るということも考えていく必要がある」と述 べた。

首相は、サブプライム問題の解決には「素早い対応と金融機関の資本の毀 損(きそん)による信用収縮を未然に防ぐことが重要性だ」と述べた。その上 で、「主要国の財政・金融当局は最近の金融市場の混乱の要因を分析し中長期 対策について検討を急いでいる」と語り、2月9日に東京で開かれる7カ国財 務相・中央銀行総裁会議(G7)での活発な議論に期待を寄せた。

日本経済に関しては、「緩やかで着実な成長を続けている」と述べるとと もに、サブプライム問題の影響は「限定的だ」と説明した。

首相は演説後の公開討論会で、ブッシュ米政権が打ち出した最大1500億 ドル(約16兆円)規模の緊急経済対策を踏まえ、日本の対応について、「米 国は財政出動と減税をすることにしたが、日本も同じ方策がいいのかをよく考 えないといけない」と語り、日本が財政出動に踏み切る可能性には言質を残さ なかった。ただ「株が下落し、世界の人々が心配する局面がきたら、そういう 力のある国が一斉に行動する必要がある」と語り、あらためて国際協調の重要 性を強調した。

日本の現職首相がダボス会議で演説したのは01年の森喜朗氏に続いて2 人目。福田首相は演説で、7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の 議長として、地球温暖化対策のみならず、国際金融市場の安定化に向けた各国 の連携を唱えることで、日本の指導力を全世界にアピールした格好だ。

特定非営利活動(NPO)法人、気候ネットワーク代表の浅岡美恵弁護士 は、日中の温暖化対策に関して「客観的、国際的にも、これまで日本の取り組 みは不十分だった」と指摘。その上で「途上国援助については、『日本の政策 を支持するなら援助する』という条件付きだとすれば、品位が問われる」と語 った。

全主要排出国参加を-「ポスト京都」枠組み

首相は演説で、07年12月にインドネシア・バリ島で開かれた国連気候変 動枠組み条約締約国会議(COP13)が、米国、中国、インドなど主要排出国 が09年末までの「ポスト京都議定書」を目指す方針で一致している。首相は 演説で、「主要排出国がすべて参加する仕組みとすることが不可欠だ」と訴え、 COP13の方針を実現することの重要性を指摘した。

日本政府は、首相がダボス会議の演説で表明した今後5年間での約100億 ドルの資金援助は、①無償資金供与②円借款③技術開発-の三つで構成されて いる政府開発援助(ODA)として実施する。

京都議定書は、先進国などに対して温室効果ガスを1990年比で08年-12 年に一定の割合を削減することを義務付けている。しかし世界1位の排出国で ある米国は01年に議定書を離脱し、第2の中国や経済成長が著しいインドな どは削減義務がない。

07年にドイツで開かれたハイリゲンダム・サミットは13年以降の新たな 枠組み「ポスト京都議定書」について、サミット加盟8カ国(G8)が08年 末までに米国、中国、インドなど主要排出国を含む新たな国際的な枠組みを具 体化させ、09年までの国際的な合意に向けて貢献することで一致。そして世界 の温室効果ガス排出量の50年までの半減を唱える日本、欧州連合(EU)、 カナダの決定を「真剣に検討する」ことを確認している。

福田首相は25日午後6時ごろ政府専用機で羽田空港を出発、同日深夜 (日本時間26日朝)にスイスのチューリッヒ空港に到着。首相はダボス会議 での演説終了後、26日夜(日本時間27日未明)に政府専用機でチューリッヒ 空港を出発して帰国の途に就き、27日午後に羽田空港に到着した。

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