福井日銀総裁:株安は個人消費を抑制、物価上昇もマインド打撃(2)

日本銀行の福井俊彦総裁は25日午前、衆院 予算委員会で、足元の物価の上昇について「原油価格の高騰、身の回り品の高 騰は消費者マインドにかなりのダメージを与えている」と指摘。最近の株価下 落についても「企業や消費者のマインドを直撃するほか、資産価格を通じて個 人の消費支出に抑制的な影響を及ぼすことが十分考えられる」と述べた。

同日朝発表された昨年12月の生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI) は前年同月比0.8%上昇と、1998年3月以来、9年9カ月ぶりの大幅な上昇幅 となった。福井総裁は自民党の山本幸三氏の質問に答え、「当面、経済は減速し、 消費者物価指数は上昇率を高める」としながらも、2008年度にかけては「物価 安定の下で、緩やかな拡大を続ける蓋然(がいぜん)性が高い」と語った。

福井総裁は一方で、個人消費について「底堅い」としながらも、「力強さに は欠いている」と指摘。「名目賃金の弱さは、個人消費をいま一段押し上げる力 を欠いており、それが各種の販売統計、あるいは消費者マインドにもいくらか 影響している。特に最近、原油価格の高騰、身の回り品の高騰は消費者マイン ドにかなりのダメージを与えていることは、私どもも認識している」と述べた。

株価下落の悪影響見極め政策運営

福井総裁はまた、公明党の上田勇氏の質問に答え、株価下落について「こ のところ、米国経済についてダウンサイドリスクが高まっている。米サブプラ イム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発した国際的な金融資本 市場の不安定性が高まっている」と指摘。その上で「株価も世界的に振れの大 きな展開になっている」と述べた。

福井総裁はさらに「米国、欧州の金融機関の損失の拡大、あるいは米国の 実体経済の先行きへの懸念の深まりが背景にあると、どうしても投資家のリス ク回避の動きが強まっている」と指摘。こうしたことが「最近の株価下落の大 きな背景としてある」と述べた。また、日本の株価下落については「最近、円 高が少し進行したことも追加的な株価下落要因」と語った。

その上で金融政策運営について「企業や消費者のマインドを直撃するほか、 資産価格を通じて個人の消費支出に抑制的な影響を及ぼすことが十分考えられ るので、それらの影響を含め、日本経済の将来のパスにどの程度悪い影響があ るのか、きちんと見極めながら慎重に先行きの政策判断を重ねていきたい」と 述べた。

潜在成長率は1.5―2.0%

日銀は22日公表した1月の金融経済月報で、昨年10月末に示した経済・ 物価情勢の展望(展望リポート)の中間評価を行い、07年度の成長率は「潜在 成長率をやや下回る」と下方修正する一方で、08年度については「潜在成長率 をやや上回る」との見通しを示した。

福井総裁は自民党の山本幸三氏の質問に答え、「私どもは潜在成長率を

1.5―2.0%くらいとみており、07年度の実質成長率はこれをやや下回る水準で ある1.0%台前半を見込んでいる」と指摘。先行きについては「基調として生産・ 所得・支出の好循環メカニズムは途切れていない。08年度はあらためて潜在成 長率を上回るところにゆっくり戻っていく可能性が高い」と語った。

福井総裁は一方で、「このところ米国経済を中心に経済全般に不確実性が強 まっている。国際金融資本市場で不安定性が高まっている」として、「それぞれ の中央銀行にとって、金融政策の運営をいっそう適切に行わなければならない という意識を共有している」と語った。

その上で、先行きの金融政策運営について「各国の中央銀行は、自国の経 済、物価情勢をフォワード・ルッキング(先見的)に見通し、その安定のため に最も適切と思える政策を行っていく」と述べ、他国と協調して利下げを行う ことには消極的な姿勢を示した。

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