12月コア消費者物価0.8%上昇-消費者心理は悪化、景気に暗雲(3)

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【記者:日高 正裕】

1月25日(ブルームバーグ):昨年12月の全国の消費者物価指数(CPI) は、生鮮食品を除くコア指数が3カ月連続でプラスとなり、1998年3月以来、 9年9カ月ぶりの上昇幅となった。ガソリンなど石油関連製品のほか、身近な 商品が値上がりしており、消費者心理は急速に悪化している。米国など世界経 済の先行き不透明感に加え、国内景気の先行きにも暗雲が漂っている。

総務省が25日発表した12月の全国のコアCPIは前年同月比0.8%上昇、 1月の東京都区部(中旬速報値)のコアCPIは同0.4%上昇した。ブルームバ ーグ・ニュースの調査では、全国のコアCPIは同0.6%上昇、東京都区部のコ アCPIは同0.3%上昇が見込まれていた。前月の全国コアCPIは同0.4%上 昇、東京都区部コアCPIは同0.3%上昇だった。

福井俊彦総裁は22日の会見で、経済、金融情勢は「先行きを判断する上で 微妙な局面に差し掛かっている」と指摘。「金利水準が非常に低いことを出発点 として、金融政策に制約があるという前提で物事を考えるという立場は、私ど もは取っていない。あくまで情勢判断を中心に考えている」と述べた。年内の 利上げ予想は姿を消えつつあり、徐々に利下げ観測が出始めている。

インフレ期待は上昇、景況感は悪化

CPI総合指数は12月の全国が同0.7%上昇、1月の東京都区部は同0.2% 上昇した。食料(酒類除く)とエネルギーを除く、いわゆる米国型のコアCP I指数は、12月の全国が同0.1%下落、1月の東京都区部は同横ばいだった。 ガソリン価格の高止まりで、消費者物価のプラス幅は目先、さらに拡大すると みられている。

ゴールドマン・サックス証券の山川哲史チーフエコノミストは「足元の物 価上昇はガソリン、灯油等の石油関連製品、加工食品を含む食品全般および家 賃といった、支出における裁量性が低い『必需品』に集中している」と指摘。「賃 金の停滞が続く中での『必需品』価格上昇は、実質購買力の低下を通じて消費 者マインドの悪化をもたらす悪循環につながりやすい」とみる。

日銀が16日発表した「生活意識に関するアンケート調査」では、1年後の 物価が現在と比べて「上がる」との回答が全体の9割弱と、昨年9月の前回調 査(7割強)から増加した。一方で、景気が1年前から「良くなった」という 回答の比率から「悪くなった」という回答の比率を引いた「現在の景況感DI」 は、マイナス40.7と前回(マイナス27.4)から大きく悪化した。

日銀も物価上昇を懸念

日銀は25日午前、12月19、20日の金融政策決定会合の議事要旨を公表し た。それによると、多くの委員は「石油関連製品や食料品価格の上昇などによ り、最近、消費者マインドが慎重化している」としたうえで、先行きの消費を 「注意してみていく必要がある」と指摘。物価の上昇が景気に与える影響に対 し、日銀内でも懸念が強まっていることが分かった。

大和住銀投信投資顧問の大中道康浩チーフエコノミストはブルームバー グ・テレビに出演し、12月のコアCPIの上昇幅のうち「エネルギー関連で0.6 ポイント、生鮮食品を除いた食品で0.2ポイントの寄与度になっている。結局、 原油高と小麦等の原材高を受けて物価が上がるという構図になっている」と指 摘。「家計サイドから見ると、賃金の上昇に結びついていないので、結局、可処 分所得の減少につながって、消費の弱い動きを作ってしまう」と語る。

三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは「当面は 日本の実質成長率も1%台で低迷すると予想され、需給ギャップの縮小がさほ ど期待できない」と指摘。エネルギー価格や食品価格だけが上昇しても「それ は家計の購買力をき損し、中小企業の収益を圧迫するだけ」としたうえで、「物 価が上昇すればするほど、デフレ的な圧力が経済に加わることになる」とみて いる。

徐々に強まる利下げ期待

米連邦公開市場委員会(FOMC)は21日、フェデラルファンド(FF) 金利の誘導目標を0.75ポイント引き下げ3.5%とする緊急利下げを実施した。 声明は「経済成長には目に見える下振れリスクが残っている」とした上で、「こ うしたリスクに対処するため、必要なら時宜を得た行動をとる」と表明。市場 では、29、30日のFOMCでも追加利下げが行われるとの見方が強い。

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストはこれまで「9月」としてい た利上げ予想を「来年1-3月」に変更。リスクシナリオとして「4-6月の

0.25%利下げを確率30%」で想定している。大和証券SMBCの岩下真理シニ アマーケットエコノミストも「7月以降」としていた予想を「来年以降」に修 正。日銀が利下げに踏み切る可能性も「完全には否定できない」と指摘する。

ゴールドマン・サックス証券の山川哲史は「世界的な株安に歯止めがかか らない場合、日銀による金融緩和の可能性も含めて、市場は日米欧三極におけ る『協調』緩和の可能性に注目する展開となる」と指摘。「政治的なリーダーシ ップ不在で、減税を含む有効な財政政策に多くを期待できない中、金融緩和は 現実的な選択肢となりつつある」としている。

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