米FRB議長:より速いペースで追加利下げへ-インフレ懸念は低下

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB) 議長は、インフレ懸念は十分に後退し、米国が世界経済をリセッション(景気 後退)に引きずり込む前に、速いペースで一段の金融緩和を進めることが可能 だと判断した。

ニューヨーク大学のマーク・ガートラー教授は「米金融当局は今や、積極 的に利下げをすることが可能だ」として、当局は「資産パニックを回避したい。 価格下落が与信の流れを止めることを望まないからだ」と話した。

22日に発表された緊急利下げは、インフレ抑制から成長維持重視へという 米金融当局の姿勢の劇的な転換を示した。当局は今や、住宅価格や株価の下落 が与信環境を厳しくし、成長の息の根を止めるリスクを認識しているとみられ る。

原油相場の下落やインフレ期待の後退、失業率上昇、鉱工業生産の減速で、 米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは利下げ幅を拡大し、ペースを速 めることが可能だと確信したようだ。

金利先物の動向は、30日の最大0.5ポイント利下げがあり得るとの観測を 示唆している。0.5ポイントの追加利下げなら、わずか8日の間に1.25ポイント の引き下げとなる。ゴールドマンの米国担当チーフエコノミスト、ジャン・ハ ッチウス氏やバークレイズ・キャピタルのマネジングディレクター、ディーン ・マキ氏が予想するこのような利下げは、1990年ごろにFF金利が米金融政策 の主要なツールとなって以来で最大だ。

ギア切り変え

FRBの金融政策局長だったビンセント・ラインハート氏は、「インフレ との闘いには設計図があるが、景気の弱さが相手の場合はその場で作戦を立て るしかない」と話す。同氏は「当局は今、ギアを切り変えた」ので、景気が転 換点を迎えたと感じるまで「緩和を続けるだろう」と述べた。

バーナンキ議長にとって、インフレがすべての政策決定の中心だった過去 5カ月から180度の転換だ。昨日までは、利下げは1ポイントにとどめ、他の 手段によって流動性枯渇の問題を解決しようとしてきた。

インフレ重視を続ける姿勢は、与信縮小が最終的に経済に及ぼす影響を考 慮していないと投資家から批判されていた。

ヘッジファンド会社オメガ・アドバイザーズの副会長スティーブン・アイ ンホーン氏は22日の大幅利下げについて、「何カ月も前にやるべきだった」と して、「私は資本市場に大きな信頼を寄せている。金融当局に対する市場の態 度にあいまいなところは何もない。すべての信用商品が、当局はおとなしくて 臆病で動きが遅いと告げていた」と述べた。

FOMCは2007年9-12月の3回の利下げ後の声明で、持続的な利下げ局 面に入ったことを一度も示唆しなかった。アインホーン氏は、当局は「信用収 縮の意味が分かっていなかった」として、「当局は予防的に行動せず、資本市 場は政策対応が遅れているという十分な証拠を差し出していた」と話した。

一方ガートラー教授は、7-9月期の成長率が4.9%、原油は1バレル=100 ドルに迫り、11月まで失業率が5%未満だった昨年の状況では急激な利下げは 無理だったと指摘。積極的な利下げを可能にする鍵は「インフレ期待を抑え込 むことだ」として、「悪いニュースを聞いてすぐ急激に利下げをすれば、信頼 を失う著しいリスクがあった」と解説した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE