1月22日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を更新します)

○米国株:5営業日連続下落。米連邦公開市場委員会(FOMC)は緊急利下げ を決定、23年ぶりの大幅利下げを実施したものの、投資家の間で米国経済がリセ ッション(景気後退)を回避できるとの確信にはつながらなかった。

石油のエクソンモービル、ソフトウエアのマイクロソフト、消費財最大手の プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)を中心に売りを浴びた。経済成長の 悪化が利益を損ねると受け止められたのが背景。FOMCの緊急利下げを受けて S&P500種株価指数は一時最大3.8%安まで売り込まれたが、米銀バンク・オ ブ・アメリカ(BOA)やウェルズ・ファーゴが金融株の上げを主導、その後下 げ幅は縮小した。

S&P500種株価指数は前営業日比14.69ポイント(1.1%)下げて1310.5。 ほぼ1年ぶり最長の連続安。ダウ工業株30種平均は128.11ドル(1.1%)安 の11971.19ドルとなった。12000ドルを下回ったのは2006年11月以来初。 ナスダック総合指数は47.75ポイント(2%)低下し2292.27。ニューヨーク 証券取引所(NYSE)の騰落比率は4対5。

パイオニア・インベストメント・マネジメントで約130億ドルの資産運用に 携わるジョン・キャリー氏は、「状況が予想以上に悪化している兆候といえる。 景気を楽観視し、一連の問題は一過性のものに過ぎないと考えていた人々の目を 確実に覚ますことになるだろう。しばらくは荒い値動きになるだろう」と語った。

米国経済の悪化が明らかになるにつれ、日本や欧州でも株が軟調に推移。昨 年記録した高値から20%以上下落、今年に入り世界株式相場は時価総額で7兆 3000億ドル失われた。

FOMCの緊急利下げ声明

FOMCは2001年以来初めての緊急利下げを実施。発表された声明では、 「委員会は景気見通しの悪化と成長への下振れリスク拡大を鑑み、今回の措置を 講じた」と記述した。

トラスコ・キャピタル・マネジメントのシニア投資ストラテジストのアラン・ ゲイル氏は、FOMCは「必死に防御している」と語り、「FOMCは、できる ことは何でもやるという姿勢を市場に確実に伝えようとしている」と続けた。

金利先物市場動向によると、今月30日のFOMC会合でフェデラルファン ド(FF)金利誘導目標が0.5ポイント引き下げられ3%に設定される確率は 76%となっている。残る24%は0.25ポイントの利下げを見込んでいる。

ニューヨーク原油先物相場は、景気悪化が需要を損ねるとの懸念を背景に売 られ、バレル当たり前営業日比72セント安の89.85ドルで引けた。石油のエク ソンや同業シェブロンは下落した。

ナスダック総合指数は高値から20%以上値下がりしたことから、いわゆる弱 気相場入りした。S&P500とダウ平均もそれぞれ10月9日の最高値から16% と15%下げた。

S&P500の産業別10指数のうち、8分野が下落。特に公益事業やヘルス ケア、テクノロジーなどが売られた。米公益事業大手のエクセロンが下落、公益 事業株で構成される株価指数は3.4%下げた。

リセッションの「一歩手前」

BOAは大幅な減益決算を発表したにもかかわらず、株価が4%高と上昇、 金融株で構成される株価指数は2.2%上昇した。このほかJPモルガンやウェル ズ・ファーゴ、ワコビアがいずれも値上がりした。

金融保証のMBIAとアムバック・ファイナンシャル・グループはS&P500 種採用銘柄のうち、値上がり率最大だった。アムバックが「戦略的選択肢」を模 索していることを明らかにしたことから、企業買収の標的になるとの見方が広が った。

米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスのグローバルチーフエコノミス ト、ポール・シェアード氏はシンガポールで記者会見し、米経済は景気後退の「一 歩手前」であり、世界的な株安が「転機」となる可能性がある。同氏は米経済が リセッションに陥る確率は40%とし、年初に示していた「3分の1の確率」から 引き上げた。

米金融大手ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、メ リルリンチは年内に米国がリセッションに陥るとの見通しを示している。

○米国債:上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)がリセッショ ン(景気後退)回避のために緊急利下げを実施したことを受け、 2年債が上げ相場を主導した。

0.75ポイントの緊急利下げを受けて、10年債利回りは03年6月以 来の低水準を付けた。FOMCは声明で緊急利下げについては「景気見 通しの悪化と成長の下振れリスクの上昇を考慮した」と説明した。

オッペンハイマーファンズのチーフエコノミスト兼債券部門責任者、 ジェリー・ウェブマン氏はブルームバーグテレビとのインタビューで 「市場への衝撃を意図したドラマチックな動きだった」と指摘。「リセ ッションのリスクは非常に大きい。2年債利回りは市場参加者が追加利 下げを予想していることを示している」と付け加えた。

FOMCは緊急会合を開き、フェデラルファンド(FF)金利の 誘導目標を従来の4.25%から0.75ポイント引き下げ、3.5%に設定 した。声明では緊急利下げについて「景気見通しの悪化と成長の下振れ リスクの上昇を考慮した」と説明した。

オッペンハイマーファンズのチーフエコノミスト兼債券部門責任者、 ジェリー・ウェブマン氏はブルームバーグ・ニュースとのテレビインタ ビューで「市場への衝撃を意図したドラマチックな動きだった」と指摘。 「リセッションのリスクは非常に大きい。2年債利回りは市場参加者が 追加利下げを予想していることを示している」と付け加えた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、2年債利回りはニュー ヨーク時間午後4時8分現在、前週末比30ベーシスポイント(bp、1bp =0.01ポイント)低下して2.04%。01年9月13日の53bpの低下以来 最大の下げ。一時は04年4月以来の1.99%まで下げた。2年債価格 (表面利率3.75%、2009年12月償還)は1/2以上値上がりして102 9/32となった。

株価の下落を受けた安全性への逃避で、3カ月物財務省短期証券 (TB)利回りは52bp低下し2.31%となった。これは8月20日以来 の大幅な低下だった。10年債利回りは一時、3.43%まで低下した。

米緊急利下げ

2年債は過去5週間の相場上昇で利回りが約1ポイント低下してい る。昨年12月に失業率が2年ぶりの高水準に上昇したことに加え、製造 業部門の鈍化で30日の定例会合前に利下げが実施されるとの見方が強ま っていたことが背景。

BNPパリバ・セキュリティーズの米国債トレーディングの責任者、 ジェフリー・フェイゲンウィンター氏は緊急利下げの「時機は熟してい た」と述べた。

定例のFOMC会合を待たない緊急利下げが最後に実施されたのは 01年9月17日。このときは米同時多発テロ攻撃を受けて50bpの利下 げが実施された。98年と01年に実施された過去4回の緊急利下げでは いずれも、その後の定例会合で追加利下げが決定している。

シカゴ商品取引所(CBOT)のFF金利先物相場によると、30日 のFOMCで金利がさらに50bp引き下げられ3%となる確率は76%と みられている。1週間前にはトレーダーは今月中に政策金利が3.5%を 下回る水準に引き下げられる可能性はないとみていた。

株式と債券相場

ウェルズ・ファーゴ・キャピタル・マネジメント(ミルウォーキ ー)で約30億ドルの資産を運用するジェイ・ミューラー氏は「緊急利下 げに不意を突かれた市場はさらに金利見通しを下げている」と指摘。 「FF金利がどこまで低下するか、市場の見通しは大きく下方修正され た」と述べた。

ゴールドマン・サックス・グループとクレディ・スイス、バークレイ ズ・キャピタルは、米政策金利が来週さらに0.5ポイント引き下げられ、 最終的には2.5%まで低下するとみている。4月末までにこの水準に金利 が低下する確率は、金利先物市場では49%とみられている。

世界的な株価の下落も米国債相場を押し上げた。米経済が一段と鈍 化している兆候が増えるなか、主要株価指数は東京からパリに至るまで そろって下落した。

30年債利回りは4.195%と、05年7月以来の低水準を付けた。

○NY外為:ドルが対ユーロで下落。1.1%安と過去2カ月で最大の下げとなっ た。米連邦公開市場委員会(FOMC)が緊急利下げに踏み切ったため、ドル建 て債券の魅力が弱まり、ドル売りが膨らんだ。

ドルは主要16通貨のうち14通貨に対して下落。対ニュージーランド・ド ルでは昨年9月以来の大幅な下げとなり、ポンドに対しては1カ月余りぶりの 大幅な下落率。米2年債利回りは欧州2年債を下回っており、その差は過去5 年余りで最大となった。

ドイツ銀行のシニア通貨ストラテジスト、アダム・ボイトン氏(ニューヨ ーク在勤)は「米国の利下げ継続観測とドルの先安観の高まりを受け、ドルは 軟調な地合いに戻っている」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時16分現在、対ユーロでドルは1ユーロ=

1.4626ドルと、前日の同1.4454ドルから下落した。ドルは昨年11月23 日に1.4967ドルと最安値を更新した。22日の市場では、ドルは円に対して 1ドル=106円52銭と、前日の105円99銭から0.5%上げた。

FOMCはこの日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を

4.25%から3.5%に引き下げた。欧州中央銀行(ECB)の政策金利は現在 4%。欧米の政策金利が逆転するのは2004年11月以来。

円は主要16通貨すべてに対して下落。低金利の円で資金を調達し、高金 利通貨で運用する「キャリー取引」が活発化した。

米国株

米国株は一時、2002年以来の大幅安となったが、この日の緊急利下げ後 も利下げが続くとの見方から下げ渋った。S&P500種株価指数、ダウ工業株 30種平均はともに1.1%安。

ボイトン氏は「株式市場から良い反応が出始めており、円に対するドルは それに反応している」と語った。

円はユーロに対し、1.7%安の1ユーロ=155円79銭。昨年12月12日 以来の大幅な下げ。ニュージーランド・ドルに対しては3%安、対ブラジル・ レアルでは2.8%下落した。

日本の政策金利は0.5%と先進国で最低。一方、ニュージーランドとブラ ジルは今週、政策金利をそれぞれ8.25%、11.25%で据え置くとみられてい る。

米政策金利の見通し

シカゴ商品取引所(CBOT)のFF金利先物相場によると、FOMCが 30日の定例会合でFF金利の誘導目標を3.25%に引き下げる確率は76%。 前日にその確率はゼロだった。

債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント (PIMCO)の投資責任者ビル・グロス氏はブルームバーグ・ニュースとの テレビインタビューで、「FOMCの利下げとともに、ドルは資金調達金利に なり、ほかの通貨に対して売られるだろう」と述べた。

米独の金利差

米独2年債の利回り差は0.27ポイント拡大し、1.26ポイントと、過去 5年余りで最大となり、ユーロ建て資産の魅力が高まった。利回り差は年初来 で0.35ポイント拡大している。

三菱東京UFJ銀行の米国コーポレート外為セールス部門のバイスプレジ デント、ロバート・フレム氏は「まだ悲観的な見方が強い。利下げは明らかに ドル売り材料だ」と述べた。

カナダ・ドルは米ドルに対し、4カ月ぶり安値から反発。カナダ中銀の利 下げ幅が0.25ポイントにとどまり、政策金利は4%と米国を上回ったため、 カナダ・ドル買いが入った。前日比0.6%高の1米ドル=1.0283カナダ・ド ル。

ポンド高

ポンドは米利下げを受けて0.9%高の1ポンド=1.9595ドル。ブルーム バーグのエコノミスト調査によると、イングランド銀行(英中央銀行)は2月 7日の金融政策委員会 (MPC)で政策金利を0.25ポイント引き下げ

5.25%に設定するとみられている。

○英国債:相場は下落。2年債に対する10年債の上乗せ利回りは拡大し、ここ 3カ月で最大となった。欧州の株式相場が反発したことを背景に国債需要が減退 した。

ABNアムロ・ホールディングの債券ストラテジスト、ジェイソン・シンプ ソン 氏(ロンドン在勤)は、「国債相場は質への逃避から恩恵を受けていたほか、 利回り格差にも支えられていた」と指摘。

10年債利回りは前日比14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上 昇の4.49%となった。同国債(2018年3月償還、表面利率5%)価格は1.12 ポイント下げ104.09だった。2年債と10年債の利回り格差は23bpと、昨年 10月以降で最大となった。

英国株式の指標、FT100指数は2.9%上昇した。一時は4.3%安と、2005 年11月以来の安値を付ける場面もあった。欧州株式の指標であるダウ欧州株価 指数は6営業日ぶりに反発し、2.2%高となった。

○欧州債:相場は下落。ドイツ2年債利回りは一時、2001年以来で最大の低下 となったが上昇に転じた。米連邦公開市場委員会(FOMC)が緊急利下げを実 施したことを受け、欧州の株式相場が反発したことが背景。

FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75ポイント引 き下げて3.5%に設定した。世界の株式市場で年初来、時価総額で7兆3000億 ドル(約779兆円)が失われ、欧州株も一時は軟調に推移、質への逃避から国債 市場に資金が流入していたが、欧州の株式相場が上昇に転じたことで流れが変わ った。

ABNアムロ・ホールディングの金利ストラテジー責任者、ルカ・ジェリネ ク 氏(ロンドン在勤)は「短期的に国債相場は株式相場に完全に振り回されるだ ろう」とした上で、「FOMCの措置は突然で、市場には衝撃的だった。株式相 場が値を戻して損失分を取り戻す間、国債市場にとって短期的に悪いニュースな のは明らかだ」と語った。

2年債利回りはロンドン時間午後4時49分までに、前日比5ベーシスポイ ント(bp、1bp=0.01%)上昇し3.4%。一時は26bp低下と、1日の低 下幅としては2001年9月12日以降で最大だった。同国債(2009年12月償還、 表面利回り4%)価格は0.09ポイント下げ101.07。10年債利回りは9bp上 げ3.99%。

--*ニューヨーク・ニューズルーム   (1)(212) 893-3007

種類別ニュース: 為替 NI FRX 、 NI JFRX、 NI FX NI KAWASE 経済 NI ECO 、 NI JNECO 、 NI JEALL 中央銀行 NI CEN 、 NI JCEN EMU(欧州経済通貨同盟) NI EMU 英国債 NI GLT 債券 NI BON 国債 NI GBN   欧州国債 NI EUB マネーマーケット NI MMK 英国経済 NI UKECO 米国債 NI USB 米国株 NI USS 株式 NI STK 米国預託証券(ADR) NI ADR ミューチュアル・ファンド NI FND 欧州国債 NI EUB 独債券 NI BND 仏債券 NI OAT 英国債 NI GLT 伊国債 NI BTP スペイン国債 NI SMB ベルギー国債 NI BBB オランダ国債 NI NAB 金融市場 NI JMALL 海外市況 NI TOPJF トップニュース NI TOP、 NI TOPJ 海外トップニュース NI TOPKAIGAI

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE