1-3月は日本株最高の買い場か、モルガンS投信のアルカイヤCIO

モルガン・スタンレー・アセット・マネ ジメント投信のジョン R.アルカイヤCIO(最高投資責任者)は、日本株は この1-3月が2010年までの期間で最高の買い場である可能性があるとの認 識だ。「世界経済への不安から、世界の投資家がリスク回避的な投資行動を強 める可能性がある。その場合、割安感が強い日本株が資金の逃避先になるかも 知れない」(アルカイヤ氏)からだ。17日に行われたブルームバーグ・ニュー スとのインタビューで明らかにした。

日本株は07年夏から下落基調となり、08年に入ると下げが加速。日経平 均株価は21日時点で05年10月以来の安値に沈んだ。アルカイヤ氏はこの下 げについて、「日本株には景気敏感株が多いため、米景気の後退による世界経 済の鈍化を株価が読み始めていたということ。今は3月決算を前に年金資金な どのポートフォリオの調整がある時節柄、荒い値動きになりやすい」と話す。

もぐらたたき

米国の企業決算は芳しくないところが多いが、アルカイヤ氏は米国のサブ プライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の現状を「もぐらたたきと 一緒」と表現する。1つの問題が解決したかと思うと、別のところから新たな 問題が噴出し、同問題はまだ終わっていないとの認識だ。

米国の金融機関は、同問題によって巨額の損失計上を余儀なくされている。 米S&P500指数のセクター別純利益を見ると、3割を金融セクターが占めて おり、08年は金融セクターに引きずられる形で米国の企業業績全体が伸び悩 む可能性がある。S&P構成銘柄は現段階で今年14%増益と見込まれている が、アルカイヤ氏は増益率の悪化を予想する。

今後発表される米経済指標で、昨年12月から米国が景気後退に入ってい ることが示される可能性がある。過去の景気後退局面において、米の主要株価 指数はピークから平均して18%下落。今回はまだ10%程度であることから、 さらなる下げがあってもおかしくない状況だ。

世界のマネーは日本株へ

米国経済の先行きに対する不安が高まると、インドや中国、ベトナムとい った高成長国の成長率に影響を与えるとの懸念も出てくる。世界の投資家は過 去数年、これら高成長国に資金を向けていた。しかし米国の景気鈍化の影響を 受け、これらの国の成長が見込みほどでなくなるとすれば、「投資家がそのま ま成長を追いかけるとは考えにくい。バリューがある国へと資金をシフトする とみられ、その場合バリューの筆頭である日本株が注目されるだろう」と、ア ルカイヤ氏は考える。折しも為替市場では昨年以降、円高基調にあり、海外勢 が日本に資金を入れやすい状況だ。為替と日本株の双方でもうけられる市場と 考えられるからだ。

MSCIによると、07年の世界の株式市場で日本はアイルランド、ベル ギーに次ぐワースト3位のパフォーマンスを記録した。上位国はペルー、中国、 インドネシア、インド、エジプト、ブラジルと、エマージング(新興経済)諸 国がずらりと並ぶ。

株価下落の結果、日本株の割安度は高まっている。東証1部の配当利回り は1.72%と、10年国債の利回り1.36%を上回り、逆転した状態。PER(株 価収益率)は15倍を割り込み、25年来の低水準に位置している。「日本の大 型株は相対的に割安、小型株は絶対的に割安」(アルカイヤ氏)で、日本市場 全体が魅力的だ。海外から資金が入るなら、まずは流動性がある大型株に向か い、相場全体を支えるとみられる。

同氏によると、大型株に投資する際、米国への依存度をチェックする必要 があるという。売上高で見た米依存度が高い業種はゴム製品や輸送用機器、海 運、医薬品、精密機器、電気機器、機械、空運。反対にほとんど依存していな いのは電気・ガス、石油・石炭製品、情報・通信、サービス、パルプ・紙、陸 運など。ただ、日本の米国への輸出依存度は長期にわたって低下。一方でアジ アへの輸出割合が拡大し、07年7月時点で50%に迫る。このためアルカイヤ 氏は、中国やインドといった高成長国の国内総生産(GDP)が大きく落ち込 まない限り、輸出関連企業も「まだ比較的良い商売ができるだろう」と考える。

停滞続く国内消費の喚起がキー

国内ではインフレの兆しが出ている。土地の価格は数年前から上昇し、土 地のデフレは終わったとのコンセンサスが形成された。昨年からはパンやめん など食品の値上げが相次ぎ、タクシー料金も引き上げられた。これまでデフレ といわれていた要因をクリアしたことから、「逆に若干インフレになるかもし れない。そうすれば賃金もいずれ上昇する可能性があり、株価に大きくプラス に働こう」(アルカイヤ氏)。

03年からの景気循環的な回復のなかで、国内総生産(GDP)の57%を 占める消費だけが伸びていない。これが少しでも変化すれば、非常に良いサイ クルに入るというのが、アルカイヤ氏の見解だ。

--共同取材 小笹 俊一 Editor:Shintaro Inkyo 、Makiko Asai

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 浅井 真樹子 Makiko Asai

+81-3-3201-8955 masai@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo

+81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Nicolas Johnson +81-3-3201-8343 nicojohnson@bloomberg.net.

Makiko Asai Shunichi ozasa JOHN R ALKIRE

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE