政府系ファンド:シティ、メリル投資条件は破格-バフェット氏も顔負け

米シティグループとメリルリンチの株主は、 50%超の株価下落に加え、利益希薄化の追い討ちを受けそうだ。海外の政府系 ファンドが、普通株に転換される優先株を購入しているからだ。

しかも、海外政府によるこの投資の条件は、20年来で聞いたこともない好 条件だ。大手金融機関が外部投資家に出資を求めた例としては、1987年にソロ モン(当時)が他社による買収を回避するため、資産家ウォーレン・バフェッ ト氏から7億ドル(現在のレートで約750億円)の出資を受けたことがある。

有力投資家のバフェット氏だが、投資による利益という点では、クウェー トとアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ、韓国政府がシティとメリルへの 出資で勝ち取った条件には見劣りする。バフェット氏の出資への配当率は9% で、当時のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を約1.75ポイント上回 っていた。今回は、一部の投資家が得た配当率は11%で、スプレッド(上乗せ 金利)は6ポイント超となる。

元シティグループのマネジングディレクターでシティ大学(ロンドン)カ ス・ビジネススクールの研究員ピーター・ハーン氏は「希薄化効果は大きいだ ろう」と話した。また、これらの政府系ファンドは「ほとんどの株主よりも安 価に持ち分を手に入れた」と指摘した。

シティとメリルは先週、そろって過去最悪の四半期赤字を発表した。米国 のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機が、業績悪化と資本 低下をもたらした。世界の7大大手金融機関は昨年7月以来、計590億ドルを 外部投資家から受け入れている。

原油高と外貨準備拡大で、政府系ファンドの資産は3兆2000億ドル規模に 膨張している。ドイツ銀行は、向こう5年で5兆ドルを超えると試算している。 シティとメリルに加え、モルガン・スタンレーやUBS、ベアー・スターンズ、 バークレイズ、カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース(CI BC)も政府系ファンドや投資会社に出資を仰いだ。

バフェット氏がいっぱい

セント・ジョンズ大学(ニューヨーク)のアンソニー・サビノ教授は「政 府系ファンドは大量の資金を持った典型的な投資家という点でバフェット氏と 共通点が多い」として、「世界には大勢のバフェット氏がいることが分かる」と 述べた。

シティは昨年、アブダビ投資庁から75億ドルを受け入れたほか、先週には シンガポールとクウェート政府を含む投資家グループから154億ドルを調達し た。メリルは先月、シンガポール政府系投資会社のテマセク・ホールディング スなどから62億ドルの出資を受けると発表し、先週はクウェート投資庁や韓国 投資公社、みずほフィナンシャルグループから66億ドルを得た。これらの投資 家は経営には関与しない。

オッペンハイマーのアナリスト、メレディス・ホイットニー氏は、最高で 配当率11%の調達コストは高いと指摘。さらに、普通株への転換が進むなかで、 シティの1株利益は20%近く、メリルは少なくとも20%減少する可能性がある と見積もる。

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの元幹部で現在は投資顧問会社 サウス・ビーチ・キャピタル・マーケッツの社長、ブルース・フォースター氏 は「既存株主にとっての価値希薄化は今、経営陣の第1の関心事ではないだろ う」として、「各社は明らかに、非常に厳しい状況にある」と語った。

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