ECB総裁と元米財務長官:信頼感低下は世界経済をまひさせる恐れも

トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁とサ マーズ元米財務長官は1年前、投資家の自己満足感が強過ぎると指摘し、経済 の実態を正確に警告した。しかし現在は、信頼感の低下が世界経済をまひさせ る恐れがあるとみている。

サマーズ氏は今年も、スイスのダボスで今週開かれる世界経済フォーラム の年次総会(ダボス会議)に出席する。米住宅市場の崩壊を背景にした米経済 への「信頼感の継続的な喪失」を阻止するため、景気刺激措置の迅速な出動を 促す見通しだ。同じく同会議に出席するトリシェ氏は、銀行への緊急資金貸し 出しの国際的な取り組みを推進している。

サマーズ氏は「バブル崩壊に伴うリセッション(景気後退)は長引く傾向 が強い」と指摘。「まだ可能性が高いと言える段階ではないが、リセッションは 長く、深刻なものになるかもしれない」と語った。

トリシェ、サマーズ両氏が昨年に自信過剰を指摘した投資家心理は「恐怖 心」に取って代わった。リスク回避志向の高まりは、世界経済の見通しを悪化 させるかもしれない。

ドイツ最大の銀行、ドイツ銀行のヨゼフ・アッカーマン最高経営責任者(C EO)は、電子メールで質問に回答し「昨年のダボス会議の特徴は、根拠なき 熱狂だった」と指摘。「今年の会議の特徴が、その正反対の根拠なき消沈になら ないことを望む」と語った。

銀行は、信用ブームのけん引役を務めたデリバティブ(金融派生商品)を 売却し、金や米国債などの安全資産への投資を進めているほか、貸し出しの抑 制や人員削減にも乗り出している。

減速する景気

過去10日間では、四半期ベースで過去最悪の赤字を計上した米シティグル ープが人員を4200人削減。ドイツの投資家信頼感指数は1992年以来の低水準 に低下。中国経済にも鈍化の可能性を示す兆しが出始めた

投資家のリスク許容度が低下している様子は、米株投資家の不安心理の度 合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(V IX指数)にも表れている。2006年におおむね横ばいだったVIX指数は、過 去1年間で2倍以上になった。その半面、金は先週1オンス=914ドル30セン トと過去最高値を記録。米10年国債の利回りは4年ぶりの低水準に低下した。

世界経済フォーラムの創始者、クラウス・シュワブ氏(69)は、11日のイ ンタビューで「われわれは過去の罪を償わなければならない」と指摘。「ダボス 会議のムードは変化した」との見方を示した。

世界最大の企業買収会社、米ブラックストーンの共同創業者、スティーブ ン・シュワルツマン氏は「わたしは最近、楽観的で自己満悦的な気分にはどう してもなれない」と語った。

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