東京外為:円が対ユーロで一段高、アジア株全面安でリスク回避加速

東京外国為替市場では円が対ユーロで一段 高の展開となった。一時は1ユーロ=154円85銭(ブルームバーグ・データ参 照、以下同じ)と、昨年8月29日以来の円高値を付けた。ブッシュ米大統領が 発表した景気刺激策が市場の悲観論修正につながらず、アジア株がほぼ全面安 となったことから、リスク回避に伴う円の買い戻しが一段と加速した。

新生銀行キャピタルマーケッツ部の政井貴子部長は、米政府の景気対策が 株安を助長する格好になり、株売り・円買いのスパイラル(連鎖的変動)が生 じていると指摘。また、「ECB(欧州中央銀行)の経済成長見通しがさらに下 がる可能性が懸念される」ともいい、景気の悪化が欧州経済に伝播している感 があることから、ユーロ売り・円買いが進みやすい面があるとみている。

米景気刺激策も投資マインドは下向き

ブッシュ大統領は18日、ホワイトハウスで記者会見し、最大1500億ドル (約16兆円)規模の景気拡大策を提案。しかし、市場ではリセッション(景気 後退)入りは避けられないとの見方が根強く、刺激策は投資マインドの浮揚に はつながらなかった。このため、同日の米株式相場は4日続落し、S&P500種 株価指数は週間ベースで5年ぶりの大幅な下げとなった。

株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)の ボラティリティ指数(VIX指数)は昨年11月下旬以来の高水準で推移。さら に、この日の東京市場では日経平均株価が大幅反落しており、リスクを伴う投 資先の代表格とされる株が売られる展開となっていることで、外為市場ではリ スク選好的な円キャリートレード(低金利の円で調達した資金を高金利通貨な どに投資する取引)の巻き戻し圧力につながっている。

みずほコーポレート銀行国際為替部の時田剛調査役は、米サブプライム(信 用力の低い個人向け)住宅ローンに絡む米金融機関の損失拡大など、「金融シス テム不安が市場の焦点となっており、こうした懸念が払しょくされない限りは 株式市場の地合いは良くなりづらい」として、クロス・円(米ドル以外の通貨 と円の取引)で円の買い戻しが膨らんでいる状況を説明している。

ドル・円相場は対ユーロでドルと円の買い戻し圧力が強まった影響で、1 ドル=106円台後半でのもみ合いが継続。午後の取引では日経平均の下げ幅が 500円を超えたことで、全般的に円の買い戻し圧力が一段と強まり、106円52 銭まで円が水準を切り上げた。

ユーロ圏景気の先行き不透明感がユーロ圧迫

一方、ECBの政策委員会メンバー、ウェリンク・オランダ中央銀行総裁 は20日、オランダ公共放送の番組とのインタビューで、「われわれのこれまで の発表では1.5-2.5%成長の見通しが示されているが、状況は正確に見通せな いものだ。現時点では、足元の状況を受けて成長率は2.5%よりも1.5%に近い 水準になると予想している」と指摘している。

米国のサブプライム住宅ローン問題をめぐっては、米景気の悪化見通しの 織り込みが進むなか、次はユーロ圏経済への影響懸念に焦点がシフトする可能 性も意識されやすい。

そうしたなか、「ユーロ圏の金融当局はインフレ警戒姿勢を崩していないが、 景気の先行きに対する不安感が出てきている」(三菱UFJ信託銀行資金為替 部・井上英明グループマネージャー)として、金融政策の先行き不透明感から、 ユーロ売りが進行しやすい面もある。

この日の東京市場ではユーロ・ドル相場が一時1ユーロ=1.4528ドルと、 昨年12月27日以来の水準までユーロ安が進んでいる。

--共同取材:柿崎元子、吉川淳子、Editor: Norihiko Kosaka, Hidenori Yamanaka

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