首相「主要国の金融当局が検討開始」-国際市場安定へ中長期対策(5)

18日召集された第169通常国会は21日午 後、衆院本会議で福田康夫首相の施政方針演説に対する各党の代表質問を実施 し、与野党の論戦がスタートした。

福田首相は世界経済と国際金融市場の動向について、「米国サブプライム (信用力の低い個人向け)住宅ローン問題をきっかけとする世界的な金融市場 の混乱と米国経済の減速と原油価格の高騰は、世界経済の下方リスクを高めて おり、日本を含めて各国は慎重なマクロ経済運営が求められている」と述べた。

その上で、「主要国の財政・金融当局は国際金融システムの安定性確保の ために最近の金融市場の混乱の要因を分析し、中長期的な対策について検討を 開始した」と語った。

「洞爺湖サミットで議論」-金融市場・原油高

首相は同時に、「今後の情勢にもよるが、7月の主要国首脳会議(北海道 洞爺湖サミット)でも、金融市場の安定性や原油高も含めて、世界経済の諸問 題について首脳レベルでもしっかりと議論したい」と述べた。民主党の鳩山由 紀夫幹事長、自民党の伊吹文明幹事長への答弁。

「国民直撃・中小企業に深刻な影響」-原油高で首相

首相は原油高に関して、「最近の原油価格の急激な高騰は国民生活を直撃 するとともに、十分な価格転嫁を行うことができない下請け事業者をはじめと する中小企業を中心に深刻な影響をもたらしている」と述べ、強い懸念を表明。 その上で、日本政府が2007年12月に策定した原油高対策を着実に実施する考 えを示した。

首相は「国民の生活にきちんと目配りした対策を講じていく。取りまとめ た対策はまさに実施段階に入っており、国民の目線に立って原油高騰対策に努 める」と語り、新たな対策を打ち出す可能性には言及しなかった。民主党の古 川元久氏への答弁。

与野党攻防開始-「ガソリン税」が最大の争点

鳩山氏は「民主党は今国会を『生活第一ガソリン国会』と位置付けてい る」と言明。その上で、揮発油税(ガソリン税)の税率を本来の2倍としてい る暫定税率に関して、「期限を迎えた暫定税率は廃止すべきだ」と述べ、暫定 税率の撤廃を求めた。

これに対して首相は「政府としては、歳入関連法案が国民生活に直結する 重要な法案であることから、法案の年度内成立に向けて立法府のご理解、ご協 力をいただけるよう最大限努力する」と述べ、租税特別措置法改正案の3月末 までの成立を目指す方針を示した。

今通常国会の序盤は、揮発油税(ガソリン税)の税率を本来の2倍とし ている暫定税率の存続・廃止を最大の争点に、与野党が攻防を繰り広げる見 通し。

政府、与党は4月1日に始まる2008年度以降の存続を可能にする租税 特措法改正案など予算関連法案を2月中旬にも衆院通過させた上で早期に成 立させる方針。これに対して参院で過半数を占める野党は暫定税率の撤廃を 主張して租特法改正案などの審議入りに応じない構え。

憲法60条は、予算案は衆院通過後30日以内に参院で議決されない場合 に自然成立することを規定。政府提出の予算は1999年度分以降、07年度分 まで9年連続で3月末までに成立している。

しかし租特法改正案など予算関連法案にはこの規定がないため、衆参で 与野党の勢力が異なる「ねじれ国会」の状況下、民主党などが態度を硬化さ せれば成立が危ぶまれる。

首相は施政方針演説で、「道路の維持・補修や都市部の渋滞対策など国 民生活に欠かすことのできない対策は実施しなければならない」と主張。 「地球温暖化問題への対応を行うためにも、現行の税率を維持する必要があ る」と表明。

対する野党第一党、民主党の小沢一郎代表は「民主党は地方の道路整備 の財源をきちんと確保しながら、ガソリン税の暫定税率を廃止する活動を国 会で行い、国民に示さなければならない」と対決姿勢を示している。

揮発油税は、税収の全額を道路整備に充てる道路特定財源の一つ。揮発 油税法は、揮発油税の税率を1キロリットル当たり2万4300円と規定して いるが、租税特別措置法では、揮発税法の特例として03年12月1日から08 年3月末まで、2倍の4万8600円とする「暫定税率」が定められている。

「日本の提案表明へ」-ポスト京都で

首相はこのほか、12年までの国際的な温室効果ガス削減目標を定めた 「京都議定書」をめぐり、「日本の6%削減の目標を着実に達成するため07 年度中に京都議定書の目標達成計画を改定して12年までに目標を達成す る」と答弁した。

その上で、「日本は北海道洞爺湖サミットの議長国として議論を主導し、 すべての主要排出国が参加する実効性ある新たな枠組みの構築に向けて、日本 の行動や世界に向けての提案を表明する方向で検討している」と述べ、安倍晋 三前首相が打ち出した世界の温室効果ガスを50年までに半減するとの方針を 具体化するとともに、福田政権の方針を発表する意向を示した。

民主党の鳩山氏は、福田政権は衆院選で国民に信を問うべきだとして早期 の衆院解散を要求。しかし首相は「今、解散するよりも、一つずつの政策につ いて各党と議論して国民のために最善の結論を出していくのが肝要だ」と述べ、 早期の解散には否定的な考えを示した。

--共同取材:廣川高史、坂巻幸子 Editor: Keiichi Yamamura, Hitoshi Sugimoto

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