月例経済報告:米景気減速への警戒感強める-下振れリスクに留意(2

大田弘子経済財政政策担当相は18日夕、 1月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。同報告は景気の先行きについ て、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題を背景とする「ア メリカ経済の下振れリスク」の影響に留意する必要があると指摘。前月にリス ク要因として列挙した金融資本市場の変動と原油価格の動向に加え、米国経済 の減速懸念を明記することで、先行きに対する警戒感を一段と強めた。

総括判断は、景気は「一部に弱さがみられるものの、回復している」と前 月からの表現を維持。総括判断自体も14カ月連続で据え置いた。先行きにつ いては「企業部門が底堅く推移し、景気回復が続くと期待される」との前月の 表現を踏襲した。一部の弱さを象徴する住宅建設については「持ち直しの動き がみられる」とし、前月の「下げ止まりつつある」との表現から変更、判断も 上方修正した。水準自体は「依然として低い水準にある」との判断に変更はな い。

大田経財相は会議後の会見で、「企業部門が底堅く推移し、景気回復が続く というメインシナリオに変更はない」とする一方、「景気の下振れリスクは高 まっている」と述べた。昨年来、福田首相からの指示を受け、大田経財相は各 省庁が収集する経済・市場情報を一元化し官邸に報告している。最近の国際金 融市場の混乱や米経済の減速懸念を踏まえ、同相は「この対応をより綿密に行 っていきたい」と語った。

雇用や消費の減少を示す最近の米国の経済指標は、これまで金融面にとど まっていたサブプライム問題の影響が実体経済に出始めていることを示唆し ている。米連邦準備制度理事会(FRB)が16日発表した地区連銀経済報告 は、昨年11月後半から12月にかけての「経済活動は緩やかに拡大したものの、 そのペースは一段と鈍った」と指摘し、年末商戦は「失望する結果だった」と 報告した。

大田経財相はまた、会議での参加者の発言を紹介。それによると、渡辺喜 美金融相は経済のダウンサイドリスクが高まっているのではないか、欧米の中 央銀行とよく連携を取る必要があると指摘した。これに対し、日本銀行の福井 俊彦総裁は、中央銀行間での連携はしっかり取っていると答えたという。

内閣府政策統括官付参事官の西崎文平氏はこの日の記者説明で、住宅建設 について「引き続き持ち直しているが、V字型の急回復の可能性は低い」との 見方を示した。日本の国内総生産(GDP)の押し下げ要因となっている住宅 着工戸数は、11月は前年同月比27.0%減と、落ち込み幅が過去最大の下げ幅 を記録した9月から2カ月連続で縮小。持ち家は回復しているが、耐震構造が 複雑で審査・認定に時間がかかるマンション着工については、依然として減少 幅が大きい。

12月消費、予断許さず

月例経済報告は、国内GDPの6割弱を占める個人消費については「おお むね横ばいになっている」とし、3カ月連続で判断を据え置いた。ただ12月 について西崎氏は、①百貨店の年末商戦が振るわなかった②新車投入の効果が はく落し、乗用車販売が大幅なマイナスになった-ことなどに触れ、個人消費 の先行きは「引き続き予断を許さない」と語った。

需要側の家計消費支出と供給側の各種販売統計を合成し、需給両面から 消費動向をみる消費総合指数は10月に前月比0.1%上昇、11月に同0.3%上昇 した。ただ、9-11月を3カ月移動平均でみると前期比0.2%低下となってい る。

そのほか企業収益については、「改善に足踏みがみられる」、設備投資は「緩 やかに増加している、輸出は「増加している」、生産は「緩やかに回復してい る」とし、前月からの表現と判断をそれぞれ維持。また雇用については、11月 の完全失業率が3.8%と10月の4.0%から低下したものの、改善の要因につい て実態が十分把握しきれていないこともあり、「厳しさが残るなかで、このと ころ改善に足踏みがみられる」との表現を維持した。

上方・下方の判断とは関係ない輸入については、前月の「緩やかに減少し ている」から「横ばいになっている」に表現を変更。消費者物価は生鮮食料品 を除くコアの全国消費者物価指数(CPI)が11月に前年比0.4%上昇したこ とを受け、「このところ石油製品を中心に上昇している」とする一方、石油製 品や特殊要因も除いたいわゆる「コアコア」の消費者物価はゼロ%近傍で推移 しているため「基調としては横ばい」としている。

2002年2月から始まった現在の景気拡大局面は、06年11月で「いざなぎ 景気」を超え、今年1月で戦後最長の72カ月となる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE