日銀利下げなら3度目のバブルに、景気むしろ悪化-CS証・白川氏(2)

米国では住宅不況を背景に、実体経済の低 迷が長期化する。国内外の景況感悪化で日本銀行が利下げに追い込まれれば、膨 張したマネーが原油や金属、穀物といった国際商品市場に流入。ITバブルと米 住宅バブルに続く「資源バブル」が発生する――。クレディ・スイス証券の白川 浩道チーフエコノミストは17日、日銀が利下げすれば、資源バブルを経由して 原材料費の高騰に拍車が掛かり、国内景気はむしろ悪化するとの見方を示した。

米サブプライム(信用力が低い個人向け)住宅ローン問題をきっかけに、米 欧では金融市場で混乱が生じ、米銀大手シティグループなど金融機関による巨額 の損失計上が相次いでいる。FRBは16日発表した地区連銀経済報告(ベージ ュブック)で、昨年11月後半から12月にかけて米景気が一段と減速したと指摘。 年末商戦は「失望する結果だった」とした。

米連邦準備制度理事会(FRB)やイングランド銀行、カナダ中央銀行は昨 秋以降、利下げに踏み切り、欧州中央銀行(ECB)や日銀は利上げを見送って いる。日米欧の景気減速が懸念される中で、国際商品相場は高騰。UBSブルー ムバーグ・コンスタント・マチュリティ商品指数は14日に一時、1343.26と過 去最高値を更新した。

白川氏は、米国の住宅価格は家計所得との対比で見た適正水準まで、20%程 度下落すると分析。住宅価格の下落を背景とした個人消費の抑制という逆資産効 果によって、米経済は低成長が長期化すると予想した。

景気判断、下方修正へ

米経済の長期低迷は日本経済に波及。政府・日銀は夏場にかけて、住宅投資 から輸出・生産、企業収益・設備投資、個人消費と景気判断を段階的に下方修正 していく、と白川氏は読む。景況感の悪化が続く中で、日銀が政界などからの 「利下げ圧力に抗し切れなくなる」可能性は否定できないと見る。

日銀が米欧に続いて利下げに追い込まれれば、先進国が金融緩和で足並みを 揃えることになり、流動性が増大する。白川氏は、日米欧の景気低迷下で行き場 を求めるマネーは原油や金属、穀物などの国際商品市場に流入し「資源バブル」 を発生させると予想。新興国の長期的な需要拡大や生活水準の向上、供給設備へ の投資不足など、資源を買い上げる口実には事欠かないと見る。

日米欧の経済にとって、資源バブルは1990年代末からのITバブルや米住 宅バブルとは異なり、原材料費の高騰や実質賃金の低下を通じて景気を下押しす る効果を持つ、と白川氏は分析する。日銀が景気下支えのために利下げすれば、 年後半以降の景況感はむしろ一段と悪化すると強調する。

白川氏は、ITバブル崩壊後の米景気後退時でさえも、金融緩和が進んでマ ネーが膨張した結果、米住宅価格は大幅に上昇していたと指摘。「膨張したマネ ーがバブルを起こさず、大人しく滞留することはありえない」と語り、世界経済 の歴史は「バブルの生成と崩壊の繰り返しだ」との見方を示した。

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