首相「原油高・株安で対応」-自民運動方針「立党以来の危機」(6)

自民党は17日午前、第75回定期大会を 都内のホテルで開いた。福田康夫首相は演説で、日本を取り巻く経済環境につ いて、「原油価格の高騰、輸入食料品の高騰、株価下落という大きな変化に見 舞われている」と言明。「短期的なのか長期的なのか、ここをよく見極めた上 で対応を考え、国民生活への影響も併せて対応しなければならない」と語り、 政府として何らかの新たな対策を講じる可能性にあらためて言及した。

その上で、「経済に対して不安のある中で、国民に迷惑を与えるようなこ とになってはいけない」と指摘し、18日召集の通常国会で「2008年度予算案 と関連法案の審議が待っている。予算審議を順調に進めるよう努力するのがわ たしの使命だ」と語り、予算案のみならず予算関連法案の早期成立に意欲を示 した。

みずほ証券エクイティ調査部の飯塚尚己シニアエコノミストは最近の日本 株の下落を踏まえ、福田政権に求められる対応について、「構造改革と金融緩 和のポリシーミックス(政策の組み合わせ)が極めて適切な対応だ。これに戻 るべきだ」と述べた。

持続成長へ政府・日銀連携を

党大会は07年の政府と与党の政策報告を了承。サブプライム(信用力の 低い個人向け)住宅ローン問題を背景とする国際金融市場や米国経済の動向や、 原油高などが日本経済に与える影響を注視する姿勢を示した。その上で、日本 政府に対して構造改革の加速・深化、物価が安定的に推移する状況下での民間 需要中心の持続的な経済成長の実現に向けて、日本銀行と一体で取り組むこと を求めた。

飯塚氏は「米国はインフレ懸念などのため、次回の連邦公開市場委員会 (FOMC)での50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げは 間違いない。07年半ばまでに合計100ベーシスポイントぐらいの値下げがあっ てもおかしくない」と分析。そして「グローバルな協調利下げの可能性が高ま ってきたと見ており、日銀が利下げを余儀なくされる可能性がある」との見方 を示した。

首相は演説でこのほか、「今こそ政治も行政も国民の立場に立って発想を 転換しないといけない。すべての法律や制度を国民の消費者の立場に立ったも のになるように根本から変えたい」と述べ、消費者行政の強化に取り組む考え をあらためて示した。

政策報告は、日本の財政状況に関して、「国内総生産(GDP)を大幅に 上回る長期債務残高を抱え、先進国の中でも最悪の水準にあるなど、極めて厳 しい状況にある」と言及。「金利上昇などを通じて国民経済に悪影響を及ぼさ ないよう細心の注意が必要」だと提起した。

生活者・地方に配慮

自民党大会は07年の参院選での大敗を踏まえ、「立党以来最大の危機を 克服する」との決意を明記した08年の運動方針も採択。08年を「党再生元 年」と位置付け、組織拡大や国民生活に密着した政策課題などに取り組む方針 を打ち出した。

「新たな決意、さらなる挑戦」と題した運動方針は、重点政策として生活 者や地方への配慮、特に農林水産業、建設業、中小零細企業対策を推進するこ とや、年金を中心とした社会保障制度への国民の不安払しょくに向けて取り組 んでいく決意を示した。

経済政策に関しては、原油高対策の充実によるエネルギーの安定供給や歳 出・歳入一体改革、国益にかなった自由貿易協定(FTA)と経済連携協定 (EPA)の推進などを提唱。地球温暖化対策では12年までの国際的な温室 効果ガス削減目標を定めた「京都議定書」で日本に課せられた目標の確実な達 成と13年以降の新たな枠組み作りでの日本政府のリーダーシップの必要性を 訴えた。

さらに野党に転落した1993年当時の状況を振り返り、「現状はさらに厳 しいと言わざるを得ない」と指摘。07年の参院選の敗因として「国民の『信』 を得られなかった。国民が抱く『不安』を解消することができなかったから だ」と分析し、全力を挙げて国民の「不安」を「安心」に変え、「信」を得る よう努力していく方針を打ち出した。

日本経済の存在感に危機感-経団連会長

来賓としてあいさつした日本経団連の御手洗冨士夫会長は「日本経済の存 在感は薄れつつあるという危機感を持っている」と発言し、「政治の責任で改 革をスピーディーに着実に進む点で自民党に期待する。野党と政策論争を進め 粛々と改革を進めてほしい」と要請した。

自民党と連立を組む公明党の太田昭宏代表は「GDPを上げ、給料を上げ ることで本格的なスタートを切らないといけない」と言明。その上で「非常に 大事な選挙含みの今年となった。国民のために戦うのが自公連立政権だという ことを満天下に示す1年にしたい」と語り、08年中に衆院解散・総選挙が実施 されることを念頭に置き、自公連立政権の枠組みによる政策遂行に意欲を示し た。

伊吹文明幹事長は党務報告で、参院で野党が多数派を占める「ねじれ国 会」への対応について「党利党略的批判を与野党が互いに繰り返していては日 本の政治は機能しない。政治は一瞬の空白も許されないとの決意のもと、野党 各党に謙虚に呼び掛けていきたい」と述べ、民主党などに政策協議を求めてい く方針をあらためて示した。

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