NY外為:ユーロ下落、メルシュ氏の「景気下振れリスク」指摘を嫌気

ニューヨーク外国為替市場ではユー ロが対ドルで下落。欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、ル クセンブルク中央銀行のメルシュ総裁がユーロ圏の景気拡大に対する 「下振れリスク」を指摘したことが嫌気され、ユーロはドルに対し年初 来最大の下げとなった。

メルシュ氏のコメントでECBも今年、米連邦公開市場委員会(F OMC)と同様に利下げを実施するとの観測が強まり、トレーダーはユ ーロに売りを出した。15日にはECBが政策金利を4%で据え置くか、 インフレ抑制のために利上げに動くとの観測から、ユーロは対ドルで最 高値付近に上昇していた。

パトナム・インベストメンツ(ボストン)で運用に携わるパレシ ュ・ウパダヤ氏は「メルシュ氏のコメントは警鐘だ」と指摘。「ECB による利下げの可能性が高まっていることは事実だ。市場はユーロが極 めて安定しているとの見方に安住していた」と加えた。

ニューヨーク時間午後4時18分現在、ユーロは対ドルで前日比1% 下落し1ユーロ=1.4659ドルと、昨年12月14日以来の大幅な下げとな った。前日は同1.4804ドルだった。ユーロは円に対して1ユーロ=157 円57銭に下落。前日は同158円8銭だった。

メルシュ氏は15日のインタビューで、「経済活動に下振れリスクが あることは明らかだ」と指摘。インフレリスクが高まってきたが、為替 相場や原油相場、米景気減速、信用市場の混乱などから「物価動向の落 ち着きも認識している」と述べた。

ECBの政策見通し

金利先物相場はトレーダーが年内に、03年以来初となるECB利下 げを織り込み始めたことを示している。3カ月物EURIBOR(欧州 銀行間出し手金利)先物6月限は0.115ポイント低下し4.105%。同金 利は1999年から米サブプライム住宅ローン市場の混乱で信用収縮が発生 した昨年8月まで、ECBの政策金利を平均18ベーシスポイント上回っ ていた。

オンライン外為取引会社ゲイン・キャピタル傘下のフォレックス・ ドット・コムの為替チーフストラテジスト、ブライアン・ドラン氏は 「今年の景気減速に伴い、ECBは利下げを実施する可能性がある」と 指摘した。

シカゴ商品取引所(CBOT)のFF金利先物相場によると、 FOMCが30日の定例会合で現行4.25%のFF金利誘導目標を少なく とも3.75%に引き下げる確率は現在100%とみられている。また、1週 間前にはゼロだった3.5%への利下げ確率は現在、36%に上昇している。

米連邦準備制度理事会(FRB)が16日発表した地区連銀経済報告 (ベージュブック)は、11月後半から12月にかけての「経済活動は緩 やかに拡大したものの、そのペースは一段と鈍った」と指摘した。

経済指標がドル下支え

ドルは対円で1ドル107円51銭に上昇。前日は同106円78銭だっ た。一時は同105円92銭に下落する場面もあった。106円を割り込む円 高となったのは05年5月以来だった。信用市場の損失拡大で、キャリー トレードの解消が促進されたことが背景だった。

ドルは対スイス・フランでは過去最安値の1ドル=1.0838フラン を付けた。メリルリンチを含む米金融機関がシティグループに続き米住 宅ローン関連で一段の評価損を計上するとのアナリスト予想が背景だっ た。

昨年11月の対米証券投資統計では、ドルの下落にもかかわらず海外 投資家の米資産取得意欲がそれほど弱まっていないことが示された。こ れを受けてドルは対円での下落分を縮小し始めた。

FRBが発表した07年12月の米鉱工業生産指数(製造業、鉱業、 公益事業の生産を対象、季節調整値、1997年=100)は前月比変わらず となった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中 央値は0.2%の低下だった。同指標もドルの支援材料となった。

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