11月経常収支黒字は前年比2.1%増-貿易黒字は4カ月ぶり減(4)

昨年11月の日本の経常収支黒字額は、前 年同月比1けた台の小幅増にとどまった。貿易収支は原油価格の高騰により輸 入額が輸出額の伸びを上回ったため、黒字額が前年同月比で4カ月ぶりに減少。 所得収支は配当金や債券利子など証券投資収益の増加による黒字幅の拡大基 調が続いており、貿易黒字額の縮小を埋める形で経常黒字を支える格好となっ た。

財務省が16日発表した国際収支状況によると、経常収支黒字額は前年同 月比2.1%増の1兆7825億円と11月としては過去最低となった。貿易収支の 黒字額は同9.7%減の9327億円。所得収支の黒字額は同14.8%増の9964億円 で11月として過去最大の黒字幅を記録した。ブルームバーグ・ニュースが民 間エコノミスト15人を対象に調べた経常収支黒字額の予想中央値は1兆8600 億円。

経常収支黒字額を構成する2本柱のうち、貿易収支は主に原油高の高止ま りで黒字額が縮小しているが、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅 ローン問題による米景気減速の余波を受けた対米輸出の落ち込みなどによっ て、日本経済に悪影響が及ぶ可能性もある。同省では足元の原油価格のほか、 米国経済や米国向け輸出の動向を注視する必要があるとしている。

輸出は対アジアが前年同月比12.5%増、対EU(欧州連合)が同8.2%増 と堅調だったが、対米は同6.2%減と減少が続いている。同省が昨年12月に発 表した11月の貿易統計速報(通関ベース)では、全体の貿易黒字額は前年同 月比で12.2%減となり、うち米国向けは3カ月連続で減少した。

第一生命経済研究所の柵山順子副主任エコノミストは発表後のリポート で、「貿易収支については原油価格次第という面はあるものの、所得収支が黒 字幅拡大傾向で推移するとみられる」とし、経常収支の黒字額は先行きも増加 基調が続くとの見方を示した。ただ、米国経済の先行きについては懸念材料が 多いとした上で、「米国経済の落ち込みが深刻なものとなった場合には、これ まで好調だった新興諸国の景気への悪影響も避けられず、輸出は下振れるだろ う。為替の動向も含めて先行き注意が必要だ」とも指摘した。

みずほ総合研究所の大和香織エコノミストは発表後のリポートで、①12月 以降、サブプライム問題による欧米実体経済への影響が徐々に表れており、欧 米向け輸出の鈍化は避け難い②12月の原油輸入物価が前年比5割近く上昇す るなど、輸入金額は価格面での押し上げが強まる-とし、「貿易黒字の拡大ペ ースは鈍化する見込みだ」と予想。一方、所得収支については対外資産の累増 を背景とした拡大基調に変化はないとし、「経常収支は当面、前年比増を維持 するが、エネルギー高が輸入金額の増加につながることから、伸びは鈍化する と見込まれる」との見方を示した。

11月の輸出額は前年同月比9.5%増の6兆8828億円、輸入額は同13.3% 増の5兆9500億円だった。季節調整済みの経常黒字額は前月比15.6%減の2 兆1645億円、貿易黒字額は同9.0%減の1兆1959億円。

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