天然ガス相場:裁定取引に注目-ロンドンは2年ぶり高値、NYは割安

天然ガスを取引する投資家たちにとって、 ことしはロンドンとニューヨークの価格差を利用した取引が最も大きな利益につ ながるとの見方が広がっている。ロンドンの天然ガス相場はほぼ2年ぶりの高水 準となっており、ニューヨークの相場は世界で最低水準となっている。

米ゴールドマン・サックス・グループのアナリストらは11日付リポートで、 ロンドン市場の天然ガスを売り、「世界で最も安値となっている」ニューヨーク の夏季の先物を買うことを推奨した。

英INGホールセール・バンキングのエネルギーアナリスト、ジェーソン・ ケニー氏は、輸入拡大と需要鈍化によりロンドンのガス相場は50%下落し、100 万Btu(英国熱量単位)当たり4.88ドルになると予想しており、裁定取引が 利益につながる確率は高まるとみている。

アラブ首長国連邦(UAE)などエネルギー生産国を顧客とするコンサルタ ント会社、エラズ(ロンドン)のマネジングディレクター、ジョン・ファーイ氏 は「今月末にかけてガス相場は下げ始めるだろう」と予想する。同氏は昨年同様、 英国のガス相場が50%下落すると見込んでいる。

英BPの推計によると、欧州ではガスがエネルギー全体の約3分の1を占め るため、ロンドンのガス相場が下落すれば欧州全域で消費者の電力コストの軽減 につながるとみられる。また、世界3位の化学会社、英イネオス・グループ・ホ ールディングスなどガスを購入する企業のコスト削減につながる一方、BPや米 エクソンモービル、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルなど生産会社の利益に打撃 を与える可能性がある。

ブルームバーグのデータによると、ロンドンのICEフューチャーズの天然 ガス先物相場6月限はこれまで、納会を迎えた時点でニューヨークの天然ガス先 物を上回ったことはない。英国の天然ガス先物相場は現在、ニューヨークの相場 と比較して100万Btu当たり1.45ドル高い水準となっている。

リスク要因

米マイクロソフトなどエネルギーを購入する企業を顧客とするコンサルタン ト会社、英マッキノン・アンド・クラークのシニアアナリスト、サム・ショーロ 氏は、英国のガス相場は「割高になっている」とみている。夏季が近づけば、英 国はノルウェーや英ウェールズ地方からのガスの購入量を増やすと予想される。 この地域では液化天然ガス(LNG)ターミナル2カ所が建設されている。英B Gが計画しているLNGプラントは6月末までに輸入を開始する予定。

米エネルギー省(DOE)によると、アジアや欧州の企業がより高い価格で LNGを購入するため、米国へのLNG供給は減少している。ファーイ氏による と、アジアの企業はこの冬、100万Btu当たり15ドルを超える価格でLNG を購入している。

米チューダー・ピカリング・ホールト・セキュリティーズのアナリスト、ス テイシー・ニューウッド氏によると、米国の昨年12月のLNG輸入は前年同月 比47%減の日量9億立方フィートとなった。前年同月は17億立方フィートだっ た。

シティグループ・グローバル・マーケッツ(ニューヨーク)のアナリスト、 ティモシー・エバンズ氏は、米国の天然ガス相場は原油と比較して「割安」であ るため、上昇すると見込んでいる。気候の変化により相場が予想外に変動する可 能性もあるため、英国市場でガスを売り、米国市場で購入することはリスクを伴 うと指摘。「油断せず状況を注視する必要がある」と述べた。

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