円が人気-サブプライム禍でドル離れ、キャリー取引も風前のともしび

アラン・アイズナー氏にとって、米景気の 見通しが暗くなればなるほど、円の魅力は増す。

ミレニアム・グローバル・インベストメンツ(ロンドン)でヘッジファン ドを運用する同氏は、米国の成長減速を見て日本の投資家が海外投資を控える だろうと予想する。また、為替相場のボラティリティ(変動性)の高まりを受 け、トレーダーは円建てでの借入金の返済を急いでいる。低ボラティリティ環 境では、低金利の円で調達して高利回り資産に投資するキャリートレードが拡 大していた。

ミレニアムのシニア・マネジングディレクターのアイズナー氏は「今は円 の買い時だ」として、「世界がうまくいっているときは日本の投資家は喜んで海 外に投資するが、あまりうまくいかないようだとなると、逆の力学が働く」と 解説した。

投資家やトレーダーは、円高が日本の景気拡大に終止符を打つ恐れがある にもかかわらず、円を買っている。ゴールドマン・サックス・グループは日本 の成長の大半は輸出によるものだとして、日本のリセッション(景気後退)確 率が50%に達したとみている。自動車メーカーのマツダや日産自動車株は今月、 円高が業績を悪化させるとの懸念から10%余り下落した。

パトナム・インベストメンツ(ボストン)で運用に携わるパレシュ・ウパ ダヤ氏は「円を買うつもりだ」として、「世界経済の好調とボラティリティの低 さという円安の2大要因が消えてしまった」と説明した。

円は過去半年でドルに対して13%上昇した。日本時間午前7時14分は108 円21銭。2007年7-12月(下期)には主要16通貨すべてに対して上昇した。

円高予想

ブルームバーグ・ニュースがストラテジスト35人を対象にまとめた調査で は、円が今年ドルに対して4.3%上昇し1ドル=107円、ユーロに対しては6.8% 上昇し1ユーロ=152円となるとの予想が示された。ドイツ銀行はさらに大幅な 円高を見込み1ドル=100円を予想する。リーマン・ブラザーズ・ホールディン グスはさらに円に強気で95円予想だ。

いずれの予想も、日本当局が14兆8000億円の円売りを実施した04年1- 3月(第1四半期)の水準より大幅な円高だ。

米キャンター・フィッツジェラルドのアジア担当チーフエコノミスト、ウ エ・パーパート氏は「日本がリセッション(景気後退)入りする可能性は非常 に高い」として、「円高はまず企業業績に悪影響を与え、そこから賃金や投資へ と波及していくだろう」と述べた。同氏は日本企業が為替リスク軽減のため海 外資金を円に回帰させるなかで、円が1-3月(第1四半期)に105円に達す ると予想している。

サブプライム禍

一方米国では、今年1-6月(上期)の成長率が平均で1.5%と、2001年 以来の水準に低下すると、ブルームバーグが今月3日から8日にかけて実施し たエコノミスト調査中央値で見込まれている。サブプライム(信用力の低い個 人向け)住宅ローンの焦げ付き増で個人消費が冷え込んでいるためだ。

07年1-6月(上期)にはボラティリティ低下と世界的高成長でキャリー トレードが膨らんだ。しかし7-12月(下期)に入ると逆に、ボラティリティ 上昇とともにキャリートレード解消が進んだ。JPモルガン・チェースの指数 によると、主要通貨のボラティリティは過去1年の平均に比べ約1.3倍となっ ている。

米最大の公的年金基金、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース) の通貨・外国債券ポートフォリオマネジャーのエリック・ブセイ氏は「ボラテ ィリティがあまりに低かったので、人々は死ぬまでキャリートレードを続けて いられるだろうと思っていた」が、「今は経済のファンダメンタルズ(基礎的諸 条件)がキャリートレードに向いているかどうかが疑問になってきた」と話し ている。

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