日本株(終了)昨年来安値、業績不安の不動産や小売安い-米決算警戒

東京株式相場は続落し、日経平均株価、 TOPIXともに昨年来安値を更新した。一部の不動産ファンド企業が業績予 想を大幅に下方修正したことで、連動的な売りが不動産株に膨らんだ。今期業 績の下方修正など悪材料の出たセブン&アイ・ホールディングス、J.フロン トリテイリングなど主力小売株も急落。午後には、米証券大手のメリルリンチ が住宅ローン関連投資で、巨額の追加評価損を出す見込みだと一部で伝わり、 来週から本格化する米金融決算への警戒感も高まった。

日経平均株価の終値は前日比277円32銭(1.9%)安の1万4110円79銭、 TOPIXは同23.78ポイント(1.7%)安の1377.58。東証1部の売買高は 概算で24億7053万株、売買代金は同3兆474億円。値下がり銘柄数は1452、 値上がりは216。東証業種別33指数では32業種が下落し、上昇は鉱業の1業 種のみ。

ちばぎんアセットマネジメントの大越秀行運用部長は、前日の米国株が大 幅利下げ期待を背景に続伸したにもかかわらず、ほとんど見直し買いが入らず にするすると値を消している状況を見ると、「買い手不在は深刻と考えざるを 得ない」と話した。

大越氏によると、米住宅ローン問題の広がりへの警戒感があるのはもちろ ん、「国内景況感の不透明感や政局不安といった日本独自のマイナス要因も投 資家の間で強く意識されてきている」という

景気ウォッチャー調査も低調

この日午後2時には、内閣府が景気ウォッチャー(街角景気)調査を発表。 同調査によると、3カ月前と比べた景気の現状判断DIは36.6となり、11月 の38.8を下回った。これで、景気判断の分かれ目となる50を9カ月連続で下 回った。2-3カ月先の景気を示す先行き判断DIも37.0と、11月の38.8 を下回った。8カ月連続の低下。スーパーや家電量販店の店長、ガソリンスタ ンドの営業担当者など、景気の動きを肌で感じやすい職業に就いている人の景 気の現状判断を示す。

上昇もつかの間、午後の日経平均は291円安まで

この日の日本株は上昇して始まった。バーナンキ米連邦準備制度理事会 (FRB)議長が講演で追加利下げの可能性を示唆したことで、今月の米連邦 公開市場委員会(FOMC)での0.5ポイントの大幅利下げ見通しが強まり、 金融緩和が米景気を後押しするとの期待感が先行したことによる。ただ、業績 不安の高まりを背景に小売株や不動産株が売り込まれたことで、市場心理が悪 化。午前10時半前から株価指数はじりじりと値を切り下げて、午前は安値圏 で取引を終えた。

午後に入ると、米ニューヨーク・タイムズのオンライン版が、メリルリン チが住宅ローン関連投資で、当初見積もりの2倍に近くの150億ドル(約1兆 6400億円)の評価損を出す見込みだと報道したことが伝わったことを受け、 日経平均は一時291円安の1万4096円まで下げ幅を広げた。

米金融の悪材料が前倒し、11日の米市場を警戒

ベアリング投信投資顧問の牧譲治専務は、米大手銀行の決算を来週に控え、 前日にシティグループなどに追加出資の観測が出たことに続き、きょうはメリ ルの追加評価損計上報道が伝わったことについて、「悪材料が前倒しで出てき ている格好だ」と指摘した。

前日の米株市場では、追加利下げ期待の高まりを背景に金融株が買い戻さ れたが、「11日の米市場ではこうした反動に悪材料が重なり、銀行や証券株 などが急落する可能性があり、悪い地合いが続く中で警戒した国内外の投資家 が買いポジションを次々と手じまった」(牧氏)という。

米国では来週から10-12月期の企業決算発表が本格化する。15日には半 導体最大手のインテルのほか、米住宅問題の影響が注目されるシティグループ が大手銀行の口火を切る。また、16日にはJPモルガン・チェースやウェル ズ・ファーゴ、17日はバンク・オブ・ニューヨーク・メロンが予定されている。

一方、この日は日経225オプション1月限の特別清算値(SQ)算出日で、 SQ値は1万4355円5銭と、10日の日経平均株価の終値1万4388円11銭を 33円6銭下回った。大和証券SMBCなど複数の証券会社の調べによる。

不動産ファンド株が下落率上位、REIT指数は安値

住友不動産が7.3%安と昨年来安値を更新するなど、不動産株の下げが目 立った。東証不動産株指数は、33ある東証業種別指数の中で値下がり率トッ プ。不動産ファンドを運営し、大証ヘラクレス上場のアセットマネジャーズが 今期(08年2月期)の業績予想を大幅に下方修正したことで、「東証1部の 不動産ファンド関連銘柄にも連想的な売りが広がった」(東洋証券の檜和田浩 昭ストラテジスト)。東証1部の値下がり率1位から4位までをクリード、パ シフィックマネジメント、ケネディクス、アトリウムが独占した。

不動産関連では、東証REIT指数は3.7%安の1670.52と8日続落し、 連日で昨年来安値を更新した。

川崎汽船が5.7%安となるなど、海運株の下げも大きかった。東証海運株 指数は業種別指数の下落率ランキングで2位に入った。ばら積み船の国際運賃 指標であるバルチック海運指数が10日に3%超下落し、収益環境の悪化懸念 が高まった。

J.フロントとコナカがストップ安配分

「デニーズ」などのレストラン事業や米国コンビニエンスストア事業の低 迷が響くとして、2008年2月通期の連結営業利益予想を3000億円から2800 億円に減額修正したセブン&アイ・ホールディングスが6%超の続落、衣料品 などの不振で08年2月期の連結営業利益予想を424億円から390億円に8% 減額したJ.フロントリテイリングは値幅制限いっぱいとなるストップ安で比 例配分された。メリルリンチ日本証券が10日に投資判断を「中立」に下げた コナカもストップ安比例配分。

みずほ投信投資顧問の岡本佳久執行役員・株式運用第2部長は、ガソリン 価格の高騰や、原料高に伴う食品値上げなどが消費者の防衛意識を高めている ことから、「個人消費は厳しい情勢が続くとみられ、小売株は当面軟調な展開 を強いられそうだ」との見方を示していた。

松下とシャープが逆行高、IHIも高い

半面、世界的企業を目指し「松下」の名前から決別、社名を10月に「パ ナソニック」に変更すると宣言した松下電器産業は、野村証券金融経済研究所 からの格上げなどもあって小反発。同様に、野村証が投資判断を5段階評価で 真ん中の「3」から上から2番目の「2」に引き上げたシャープも反発。

主力の半導体シリコンウエハーの需要が想定を上回り、2007年11月中間 期の単独税引き利益が22億9000万円と前年同期に比べ52%増えたと発表 (従来予想は19億円)した三益半導体工業が反発。JFEホールディングス とIHIは年内にも造船事業を統合する方向で交渉に入ったと11日付の日本 経済新聞朝刊が伝えたことを受け、IHIが上昇。JFEHも一時4.4%高ま で買われたが、午後に下げに転じた。

ジャスダック指数は連日安値、アセットMがストップ安配分

国内の新興3市場は、さえない展開となった東証1部の影響を受け、そろ って終日値を切り下げた。3指数とも続落。ジャスダック指数の終値は前日比

1.01ポイント(1.5%)安の68.03と、連日で昨年来安値を更新。東証マザー ズ指数は42.90ポイント(5.8%)安の703.39、大証ヘラクレス指数は54.57 ポイント(4.8%)安の1073.77。

個別では、楽天やインデックス・ホールディングス、サイバーエージェン ト、ミクシィが安い。08年2月期の業績予想を大幅に減額修正したアセット マネジャーズがストップ安比例配分。同業のダヴィンチ・アドバイザーズもス トップ安配分となった。半面、スタートトゥデイ、大阪証券取引所が高い。大 画面薄型テレビの販売などが伸び、07年9―11月期の連結経常利益が前年同 期比9%増の27億円となったビックカメラは小幅続伸。

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