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松下:社名・ブランドを「パナソニック」に-「世界企業」目指し(4)

家電世界最大手の松下電器産業は10日、 社名を「パナソニック」に10月1日付で変更すると発表した。ブランドも 「パナソニック」に統一し、創業90周年を機に「真のグローバル企業を目指 す決意」を内外に示す。故松下幸之助氏が電球のソケット製造会社を創業して から続き、日本的経営の象徴でもあった歴史的な名前が消える。

発表文によると、国内の白物家電などに使っていた「ナショナル」ブラン ドも2009年度中をめどに廃止。松下電工を「パナソニック電工」とするなど 「松下」や「ナショナル」が付くグループ企業名もすべて変更する。

同社は今期(08年3月期)から3年の現中期経営計画で、10年3月期の 売上高を前期比9.8%増の10兆円とする目標を立て、増加分のうち7割程度は 海外で上げる方針だ。ライバル視されるソニーを収益や規模ではリードしてい るが、海外でのブランド力は逆で、海外売り上げ構成比もソニーが高い。

岡三証券の久保田一正アナリストは発表前、「パナソニックの名前は海外 ではブランドとして確立されている」ことから、統一は「評価できる」とコメ ントした。

来期は5%以上の増収を

同時発表した来期(09年3月期)の経営方針では、売上高の前期比伸び率 を5%以上、ROE(株主資本利益率)を8%以上、CO2排出量の同10万ト ン以上削減を盛り込んだ。海外販売は、ブラジル、ロシア、インド、中国のB RICs諸国にベトナムを加えた5カ国で同25%増の5000億円以上を目標に する。

モーニングスター調査分析部の鈴木英之シニアアナリストは来期の5%増 収は「実現可能な数字」と述べた。現中計では10年3月期のROE10%、C O2排出量削減30万トン以上を目標に掲げている。

「国民」から「世界へ」

大阪府内で記者会見した大坪文雄社長は、社名変更は昨年12月に創業家 に打診し快諾された、と説明。変更に伴う金銭的な影響については「名義や看 板の変更などによりここ1、2年で300億円前後」のコストかかるものの、 「松下電器」「ナショナル」名義での宣伝や寄付を行わないで済むことにより 「200億円」を今後節減し続けられるメリットがあると強調した。

松下電産のホームページによると「ナショナル」ブランドは幸之助氏が 1927年、「国民の必需品にしたい」との発想で自転車用ランプに使ったのが始 まり。一方、「パナソニック」は55年に輸出用スピーカーに最初に使用。 「Pan(あまねく)」と「Sonic(音)」を組み合わせ「松下電器の音 をあまねく世界中へ」という思いが込められており、03年からは海外向けの統 一ブランドとなっていた。

ビクターも解決

幸之助氏は、企業にとって赤字は悪であり人員削減も許されないなどとす る理念を掲げていた。同氏が89年に死去の後、96年3月期に連結純損益が上 場来初の赤字に転落。これは米映画大手MCA(当時)売却に絡む為替損失計 上という特殊要因だったが、02年3月期には世界的なIT(情報技術)バブル 崩壊で打撃を受け、4310億円(修正後4278億円)の純損失を出した。

2000年に社長に就任した中村邦夫氏(現会長)は、「破壊と創造」をスロ ーガンに人員削減にも踏み切り、幸之助氏の資産管理会社売却、松下電工の子 会社化なども進めた。06年夏に就任した大坪社長は昨年1月、「構造改革の時 代から世界的優良企業への挑戦権を得て成長段階に入った」として、薄型テレ ビや半導体などへの投資や、海外での拡販に注力する方針を示していた。

また、幸之助氏の肝いりで1954年に松下の子会社となったこともあり最 後の難題だったビクター売却も、同7月にケンウッドとの経営統合を通じて傘 下から外す合意をまとめ、一定の解決をみていた。

テレビ・半導体

設備投資では、現中計で薄型テレビや半導体などを軸に計1兆5000億円 を計画。一環として、世界的に需要が伸びているデジタルカメラ向けを主体と する撮像半導体(イメージセンサー)増産のため、砺波工場(富山県)に新棟 を建設する。投資額は940億円で今年9月に着工、09年8月の稼働を予定して おり、200ミリウエハー換算で月産3万枚に向け順次規模を拡大する。

薄型テレビについては松下としての世界薄型テレビ需要予測(37型以上) を上方修正。08年度は従来比1000万台上積みして5000万台、09年度は同 1200万台積み増し6200万台とした。特に50型以上の大型製品は06-10年度 に年平均59%の伸びが見込める、という。

松下は大画面に適したプラズマテレビで世界首位だが、液晶にも注力。パ ネルの安定調達の一環として昨年12月、日立製作所などと共同出資している 液晶パネル会社「IPSアルファテクノロジ」について、出資比率引き上げで 主導権を握ると発表。大坪氏はその際、松下主体でIPSの新工場を3000億 円程度かけ建設する意向を表明していた。

液晶新工場は09年度中に稼働させ、フル生産能力を「第8世代ガラス (2160×2460ミリ)」か、ひと回り小さい「第7世代」換算で月10万枚とす る方針だが、建設場所は未定。大坪氏は10日の会見で、液晶強化により、相 対的にプラズマ増産投資に影響が出るのでは、との質問に対し「一切ない」と 言い切った。

M&Aも

ビクターが連結対象から外れたことで、市場関係者からは中計での売り上 げ目標10兆円の達成は微妙との声も出ている。この点について大坪氏は会見 で10兆円という旗は「全く下ろさない」と強調。現行の事業だけで達成でき ない場合には「M&A(企業の合併・買収)もある」と語った。

また、環境関連では中計で掲げたCO2排出30万トンの削減には「450億 円の投資が必要になる」との試算を示した。ただ、その大半は省エネ実現によ る生産効率化などで回収可能との見方も強調した。

松下電産の株価終値は前日比10円(0.5%)安の2160円。

--共同取材 鈴木宏 林純子 Editor:Kenzo Taniai,Hideki Asai

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