米国債:10年債下落、3.88%-議長の利下げ示唆でインフレ懸念

米国債市場では10年債が下落。バーナ ンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が景気の「下振れリスク」に対処す るため、30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ実施を示唆した ため、インフレ懸念から長期債売りが優勢になった。

米金融当局が景気浮揚のためにはインフレ高進を黙殺する可能性があると の見方から、10年債利回りの2年債への上乗せ幅は2004年以来で最大に拡大 した。バーナンキ議長が昨年12月11日のFOMC以降、初めて示した景気判 断で下振れリスクに言及したため、0.5ポイントの大幅利下げ観測が強まった。

アリジアント・アセット・マネジメントの最高投資責任者、アンドルー・ ハーディング氏は「景気が回復するまでFOMCが積極的に金融緩和に動くと の観測がある。インフレ圧力につながるため、長期債が下げた」と語った。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時 33分現在、10年債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)上昇し3.88%。前日には一時3.76%と、04年3月以来の水準まで 低下する場面もあった。10年債(表面利率4.25%、2017年11月償還)の 価格は14/32下げて103ちょうど。

30年債は1ポイントを超える下落。利回りは10bp上昇の4.45%と、 昨年12月13日以来で最大の上昇幅となった。投資家が受け取る固定利回りの 価値を減少させるインフレに対し、長期債の方がより敏感に反応する。

インフレ懸念

ファースト・パシフィック・アドバイザーズで債券運用に携わるトマス・ アテベリー氏は「景気を下支えするため、短期的にインフレ警戒姿勢が棚上げ されると懸念がある」と述べた。

2年債は上昇。利回りは4bp低下の2.69%となった。その結果、2- 10年債の利回り差は1.2ポイントと、過去3年余りで最大になった。2-30 年債の利回り差は13bp拡大し1.75ポイント。これは2004年以来で最大の 利回り格差。

バーナンキ発言

バーナンキ議長の発言を受け、リセッションリスクを軽減するため、今月 以降も利下げが続くとの見方が広がった。ウォール街のエコノミストの間では 景気が後退するとの声が強まっており、市場では4日の雇用統計で失業率が 5%に上昇したことを受けて、利下げ観測が高まっている。

バーナンキ議長は「景気拡大見通しとそのリスクの最近の変化を考慮する と、一段の金融緩和が必要となる可能性は十分にある」と言明。「必要に応じ て実効ある追加行動を取る用意がある」と語った。

J&Wセリグマンで10億ドルの資産運用に携わるフランシス・マスタロ 氏は議長発言について「われわれが抱える問題に対し力強い決意を示すもの だ」と指摘。「市場の反応は最近のトレンドの継続という格好となった。つま り、利回り曲線のスティープ化だ」と述べた。

金融政策の見通し

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物市 場の動向によると、FOMCが30日の定例会合で現行4.25%のFF金利誘導 目標を0.5ポイント引き下げる確率は92%。前日は76%だった。3月18日 の会合での0.25ポイントの追加利下げの確率は92%。前日には3月の利下げ 確率はゼロだった。

SEIインベストメンツの債券運用責任者、ショーン・シムコ氏は「FO MCは成長を懸念する必要があり、特に失速の可能性があるときはなおさらで、 今はまさしくそれに直面している」と話した。

インフレ連動債

米財務省が10日に実施した10年物インフレ連動債(TIPS)入札(発 行額億80億ドル)の結果によると、最高落札利回りは1.655%と、TIPS が1997年に導入されて以来で最低となった。投資家の需要を測る指標の応札 倍率は1.90倍と、昨年4月以降で最低。

既発の10年物TIPS利回りは通常の利付き10年債を2.27ポイント下 回っている。過去6カ月の平均は2.34%。昨年12月11日には2.25ポイン トと、終値ベースでは05年7月以来で最小にまで縮小していた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE