東京外為:円が伸び悩み、株下げ渋りで買い続かず―109円台

午前の東京外国為替市場では円が伸び悩み。 住宅市場の悪化を背景に米景気の減速懸念が強まる中、前日の米国株安を受け、 朝方は円買い・ドル売りが先行。ただ、積極的に円を買う材料に乏しく、反落 して始まった日本株が下げ止まるとともに、ドル・円相場も1ドル=109円台を 回復している。

新生銀行キャピタルマーケッツ部の政井貴子部長は、米国では中古住宅関 連指標が予想を下回り、株も下がり、一部不動産関連会社の倒産の噂や米連銀 関係者の発言など、「字面だけ聞いているとものすごくドルが売られているイメ ージがある」と指摘。ただ、「非常に暗い雰囲気と実際の値動きの狭さとギャッ プがある」といい、東京時間のドルの下値は「108円80銭ときのうのレンジの 下限の焼き直しぐらい」に限られるとみている。

ドル・円がレンジ推移

ドル・円は、米国の製造業景況感や雇用統計の悪化を受け、年末年始にド ル安・円高が進んだが、その後は108円ちょうどから109円台後半を中心とし たレンジでの推移が続いている。

8日の海外市場でも、ドル・円は欧州時間に109円台後半から前半の間で 上下した後、米国株の下落を背景に109円割れの水準までドルが下落。9日の 東京時間早朝には一時、108円80銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ) までドル売りが進んだが、その後は買いも入り、反落して始まった日本株が徐々 に下げ渋ると、ドル・円も109円台に戻した。

UBS銀行東京支店外国為替部FXアドバイザーの牟田誠一朗ディレクタ ーは、「株価が軟調に推移すれば、投資家心理としてはドル買い・円売りに動き にくい」一方、108円台では「実需関連の買い需要が控えており、下値が限定さ れる可能性もある」と指摘。また、「クロス・円(ドル以外の通貨の対円相場) が水準を切り下げていることから、絶好の買い場ととらえられ、材料不足の中、 相場のレンジ感が強まれば、個人の外貨買い需要がドルの下支え要因になりそ うだ」と話している。

ユーロ・円は海外市場で1ユーロ=160円台半ばから161円台半ばの間を上 下した後、東京市場にかけて160円ちょうど付近までユーロが下落。その後は ややユーロが底堅くなっており、160円台半ば付近まで値を戻す場面も見られて いる。

米景気の先行き懸念

全米不動産業者協会(NAR)が8日発表した2007年11月の中古住宅販 売成約指数は87.6と前月比2.6%低下した。ブルームバーグのまとめたエコノ ミスト調査では0.7%の低下(予想中央値)が見込まれていた。

ボストン連銀のローゼングレン総裁は同日の講演で、「住宅投資が引き続き 減速しており、これが経済全体に一層深刻な落ち込みをもたらすリスクを高め ている」と語った。また、フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は、景気の 先行き見通しが悪化すれば、追加利下げが必要になるかもしれないとの認識を 示した。

一方、8日の米国株式市場では、米住宅融資最大手カントリーワイド・フ ァイナンシャルが連邦破産法11条に基づく会社更生手続き適用を申請するとの 憶測から同社の株価が急落。米景気の後退懸念を背景に、主要株価指数も大き く下げ、S&P500種株価指数は昨年3月以来の安値で引けた。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物市 場の動向によると、FOMCが30日の定例会合で現行4.25%のFF金利誘導目 標を0.5ポイント引き下げる確率は70%前後。1週間前は20%強だった。

新生銀の政井氏は、以前は米指標の悪化が大幅利下げ観測につながり、そ れが株高を通じてドルを支える動きもあったが、実体経済に影響が出てきてお り、「株に関しては利下げのとらえられ方が違ってきている」と指摘する。その 上で、最終的には月末の一般教書などで、米国が抱える問題をどのように収拾 していくのかが焦点になるが、「それまで時間があるので、当面はまだ不安定な 時間が続く」とみている。

--共同取材 吉川淳子 Editor:Masaru Aoki, Norihiko Kosaka

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