TDK会長:09年度の営業利益率15%を目標に-四半世紀ぶり高水準

電子部品メーカー国内2位TDKの澤部肇会 長兼最高経営責任者(CEO)は、2010年3月期の営業利益率を15%と約四半 世紀ぶりの高水準を目指す考えを明らかにした。M&A(企業の合併・買収)な どを通じた開発・生産体制の強化、利幅の大きい新製品の比率向上や、トップシ ェア製品の拡大などを通じて実現する。

ブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。今期(2008年3月 期)の営業利益率見込みは10.4%。澤部氏は「利益率を10%から15%に上げる のは大変なこと。世の中甘くはない」としながらも、グローバル競争を勝ち抜く ために「15%はハイテク企業として最低線」との考えを示した。営業利益率が 15%を超えるのは1985年以来となる。

デジタル家電や自動車に搭載される電子部品の点数は増える一方。澤部氏に よると、コンデンサー(蓄電器)の使用量は「第3世代携帯電話で従来の2倍、 テレビも3倍になる」という。また同社が約33%と世界トップシェアを握るハ ードディスク駆動装置(HDD)用磁気ヘッドはHDDへのデータの書き込みや 再生に不可欠な部品。パソコン(PC)だけでなく薄型テレビや携帯機器などに も幅広く搭載され、市場が急拡大している。

同時に電子部品市場は価格下落も激しく、値崩れしていない新製品の売り上 げ比率が高いほど利益を上げやすい。澤部氏は、売上高に占める新製品比率(ヘ ッドを除く)を現在の35%から40%に高めると同時に、シェアナンバーワンの 製品比率も「現在の50%から60%に引き上げたい」と述べた。事業の拡大や効 率化にはM&Aも積極活用する。

2年で5ポイントの利益率アップに挑戦する会社側の姿勢に対し、JPモル ガン証券の佐藤昌司氏は「HDD用磁気ヘッド事業の収益依存度が高く、他の事 業でカバーしても15%の利益率達成は難しいのでは」と慎重。「コンデンサー の需要も今期がピークだろうし、価格下落のプレッシャーも強いため、来期の業 績も楽観できない」と、事業環境は厳しさを増すとみている。

ヘッド事業依存脱皮へ

TDKの稼ぎ頭であるHDD用磁気ヘッド事業は売上高の約37%を占め る。しかし、利益構成が大き過ぎるとの危機感から、上釜健宏社長は「ヘッド事 業に依存しない収益構造に変えていかなければならない」(昨年5月の本決算会 見)として、他の事業の収益向上が急務となっている。

ヘッド以外の主要事業は、①電流制御などに用いるコンデンサー②ノイズカ ットに有用なインダクター(コイル)③電源の-3つ。コンデンサーは世界シェ ア約20%を持つ2位メーカーだが、トップの村田製作所になかなか追いつけな い。このため4月以降3年間で約500億円を投じて増産を加速。秋田県に建設中 の新工場が今春稼働すれば生産能力は20%拡大する。

インダクター事業は約25%のトップメーカー。開発と生産を2006年一本化 し、製品開発のスピードアップに取り組んでいる。規模の小さかった電源事業で は05年に買収したデンセイ・ラムダを今春完全子会社化する。産業機器用電源 で26%のトップシェアを持つ強みを生かし、売上高を08年3月期予想の約800 億円から10年3月期には1100億円と、営業利益率10%へ成長させる計画だ。 民生用電源の大手メーカー、田淵電機とも資本提携した。

M&A加速

ヘッド事業は昨年3月にアルプス電気から生産設備や特許権などを取得する ことで合意、増産に布石を打った。同8月にはシンガポールのヘッド用サスペン ションメーカー、マグネコンプ・プレシジョン・テクノロジーを傘下に収めると 発表、重要部品を内製化し利益率を上げる。いずれも、自社にない技術や製品を 補完するのが目的で、澤部氏は「スピードや専門性を高めるM&Aは今後も積極 的にやっていく」と意欲を示した。

TDKは、世界のHDDの出荷台数が今期は約5億台に達すると予想。HD D1台当たりに搭載されるヘッドが平均3個とすれば、約15億個の大きな市場 だ。好調の背景を、澤部氏は「技術開発で最先端を走る戦略が、利益を生む好循 環になっている」と説明する。

スピードなければ2軍落ち

1990年代以降、ハイテク産業はアナログからデジタルへ大きな構造変化を 経験した。製品寿命が極端に短くなり、設備投資も技術開発もスピードが事業の 成否を分ける時代。澤部氏は「デジタル時代はスピードと専門性が問われる」と 強調。厳しい競争下で「世界のスピードについていけなければ、そこで『ゲーム オーバー』。2軍に落ちるだけ」と語る。

スピード経営を測るバロメーターの1つが在庫。IT(情報技術)バブル崩 壊時の01年に2カ月だった在庫日数を現在は1.2カ月に短縮、今後は1カ月未 満に減らすという。

前期末に約2900億円あった潤沢な現預金も減らしている。澤部氏は「不採 算事業を切るなど構造改革にはお金が要る。M&Aにも機動的に対応できる」 と、手元資金を厚くしてきた理由を説明。ただ「記録メディア事業の構造改革が 一段落したので、現預金は2000億円を切ってもいい」と述べた。

今期の業績は、売上高が前期比0.3%増の8650億円、営業利益は同13%増 の900億円と6期連続の増収増益を予想。純利益は同2.7%増の720億円と、2 期連続の最高益となる。5期連続の増配も検討するという。

TDKの株価は前日比100円(1.3%)安の7820円(午後2時5分現在)。

--共同取材 小笹俊一 Editor : Kenzo Taniai, Hideki Asai

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