国内新車販売は08年も低水準、4年連続減へ-各社ともてこ入れ策不足

世界的な需要拡大を背景に国内自動車メーカ ー10社のうち5社が2008年3月期の営業利益で最高益を、また3社が営業増益 を見込む中、足元の国内市場は08年も長いトンネルから抜け出せそうにない。 年末に行われた各社の社長会見では、08年の世界販売計画に関して強気の数字 が相次いだが、国内だけは一転して慎重姿勢、見通しの公表を見送ったメーカー もあった。各社ともてこ入れ策を依然見いだせずにいるようだ。

「世界的に競争が激化している中、日本車はずいぶんがんばった。今年の国 内生産も1000万台を上回る見通しで国内景気をある程度支えていたのではない か」。日本自動車工業会(自工会)の張富士夫会長(トヨタ自動車会長)は07 年12月20日の定例会見で同年を振り返ったが、こと国内販売に関しては「大変 残念な結果に終わった。一番の課題として引き続き取り組みたい」と、苦悩をに じませた。

自工会が予測している08年の新車需要は、前年見込み比1.2%減の531万 9400台。4年連続の前年割れの見通しで、水準そのものは1982年実績(526万 台)まで落ち込むことになる。

08年の世界販売(子会社のダイハツ工業および日野自動車を含む)で前年 見込み比5%増の995万台と、世界の自動車メーカーが未経験の年間販売1000 万台の大台に迫る水準を計画しているトヨタでさえも、国内販売見通しだけは前 年並みの227万台に据え置いた。

「手は打っているが時間かかる」

トヨタの渡辺捷昭社長は07年12月25日に名古屋市内で行った会見で、国 内販売について「市場が大きく伸びない中で、いろんな手を打ってきつつあるが 少し時間がかかる」としたうえで、「国内経済そのものが緩やかな成長の中、自 動車に消費マインドを傾けてもらうにはどうすればいいのか考えたい」と述べる にとどめた。

ホンダは08年に主力の米国で07年見込み比3%増の159万台の販売を見込 むのをはじめ、欧州、アジア・大洋州、中国では2けたの成長を計画しているが、 暦年ベースの国内販売に関しては07年から公表していない。ホンダの福井威夫 社長は07年12月19日に都内で行った会見で08年に4つの新型車を国内に投入 する計画を明らかにしたが、同年の国内販売見通しは明らかにしなかった。

ホンダの07年の国内販売は前年比12%減の62万台と3年連続の前年割れ になったもよう。ホンダの近藤広一副社長は「新型車の投入がなかった軽自動車 が全体を押し下げた」と、前年割れの要因を分析する。さらに近藤副社長は国内 市場について、いつ底入れするかまだ見えないと述べている。

08年の世界販売で前年見込み比6%増の63万台を計画している富士重工業 も国内の見通しは公表していない。富士重の森郁夫社長は07年12月25日に都 内で開いた新車発表会で国内販売について、「正直、厳しい状況が続く」とし、 「台数を伸ばすより、収益を回復する販売を行っていく」との考えをあらためて 示している。

07年に海外販売が初めて国内を上回ったもようの日野自動車は08年に海外 比率がさらに高まるとみている。07年の世界販売は前年比6.6%増の10万7000 台で、このうち海外が同28%増の5万9400台に対し、国内は同12%減の4万 7600台で、海外販売比率は56%となった見込み。08年は前年見込み比11%増の 11万8200台を計画、このうち海外は21%増の7万1700台、国内が同2.3%減 の4万6500台と、海外比率は5ポイント上昇する見通しだ。

商用車は保有台数が減少

日野の近藤詔治社長は07年12月20日の会見で、国内市場について「残念 ながら商用車の保有台数が減り始めている。今後新車需要が増えていくことはあ まり考えられない」と指摘した。国内の新車市場は買い替え需要がほとんどを占 めているが、その母体となる保有で、商用車の減少傾向が表れていることは、も はや市場縮小のサイクルが始まっていることを示しているというわけだ。

このため近藤社長は「これまで日野は日本を中心に事業活動をしてきたが、 ここ数年間は海外に目を向けて、事業の範囲を広げていく」と述べ、海外に急ハ ンドルを切ることを宣言した。

このように国内の新車市場は08年も前年割れが予想され、台数そのものも 1980年代半ばの水準まで落ち込む見通しだが、みずほインベスターズ証券の河 合敦シニアアナリストは「いまのままの状態ならまだ下げ続ける」とみている。 その背景として人口の減少と自動車固有の問題を挙げている。

河合氏は「ここ2-3年の国内景気は悪くなかったにもかかわらず、車が売 れないのはマクロではなく自動車の問題」としたうえで、現状の市場規模と同等 の1980年代後半も「すでに市場は成熟化していて買い換え需要が占めていた」 と指摘。「当時は4-5年で買い換えていたが、現在は買い換えるに値する車を メーカーが出していないのではないか」と分析している。

--共同取材:松井博司 Editor:Hideki Asai、Tetsuki Murotani

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