11月の鉱工業生産指数は1.6%低下-判断は緩やかな上昇を維持(3)

11月の日本の鉱工業生産指数は、10月に 上昇した反動で一般機械や電子部品・デバイスなどを中心に2カ月ぶりに低下 した。先行きは、米国のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問 題に伴う米国経済の減速懸念が根強く残るものの、当面、アジアなど新興国向 けの輸出に支えられ、生産は緩やかに拡大基調を続ける見通しだ。

経済産業省が28日発表した11月の鉱工業生産指数(速報)は前月比1.6% 低下し、110.4(季節調整済み、2000年=100)となった。前年同月比では2.9% の上昇だった。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト39人を対象に調査し たところでは、鉱工業生産指数の予想中央値は前月比1.7%低下、前年同月比で は2.7%上昇(32人対象)が見込まれていた。

米国経済の減速懸念や原油価格の高騰、国内の住宅投資の減少など景気の 下振れリスクが高まる中、生産活動が堅調を維持するかどうかは、戦後最長の 景気拡張がこの先も続くかどうかの鍵を握っている。政府は12月の月例経済報 告で生産の判断について「緩やかに増加している」とし、前月の「持ち直して いる」から上方修正している。

農林中金総合研究所主任研究員の南武志氏は、発表を受けて「ほぼ予想通 りだ」とした上で、先行きについて10-12月期は前期比1.5%程度の上昇にな るとの見通しを示した。南氏は、年内については「米国のサブプライム問題に よる日本の実体経済への影響は出ていない」と指摘、「問題は年明け以降、米国 経済の減速が強まることで、日本経済がその影響を受けるのか、あるいは他国 の経済が減速を補完するのかが引き続きポイントになる」と語った。

生産は好調維持

ABNアムロ証券の西岡純子シニアエコノミストは、ブルームバーグ・テ レビに出演し、「予想通りの反落で、前月10月に前月比1.7%伸びたのをちょう ど打ち消す数字で、特に弱いという判断をしていない」と指摘。「むしろ、前年 比でトレンドをみると、鉱工業全体では2%ぐらいの安定した伸びが続いてい て、生産部門の活動は比較的堅調だ」と語った。大田弘子経済財政政策担当相 も28日午前の会見で、「生産の好調は続いている」と強調した。

四半期でみると、鉱工業生産は7-9月期に前期比2.2%上昇した。米国経 済減速の影響や国内の住宅着工の減少に伴う建設財生産への波及をみる上で、 10-12月期以降の生産がどの程度の伸びを維持できるかが注目点の一つだった。 同時に発表された12月の製造業生産予測指数は前月比4.0%上昇、1月は同横 ばいが見込まれている。経産省は、「生産は緩やかながら上昇傾向にある」とし、 4カ月連続で基調判断を維持した。

同省調査統計部の久武昌人経済分析室長は、12月の生産が仮に予想指数通 りに実現した場合、10-12月期は前期比2.2%上昇になるとの試算を示した。 12月は、一般機械、輸送機械、電子部品・デバイスなどの生産増加が見込まれ、 1月は情報機械、一般機械などの生産がプラスに寄与する見通し。

久武氏は、今後の懸念材料としては「サブプライム問題に端を発した北米 を中心とした消費者心理の冷え込み」などを挙げる一方、改正建築基準法に伴 う建設投資への影響については、これまでのところ「比較的小さなマグニチュ ード(影響)」にとどまっているとの見方を示した。

生産の低下に寄与した一般機械のうち、半導体製造装置は内外需ともに10 月上昇の反動が出た。また電子部品・デバイスのうち、DRAM(記憶保持動 作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)を含むモス型半導体集積回路の生 産は市況の悪化もあり、2カ月連続で低下したほか、パソコンに使用する海外 向け電子回路基盤の生産なども減少した。

景気一致指数は50%割れ

三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは発表前に、 「生産は緩やかに増加するとの見方には揺らぎはない」と指摘。ただ、統計上 の懸念材料としては、11月の生産が前月比1.0%程度の低下でも、1月10日に 公表される11月の景気動向指数の一致指数が8カ月ぶりに景気判断の分かれ目 となる50%を下回る公算が高まると予測していた。その上で、そうした「見か け上の景気の弱さ」が先行きに対する慎重論を一時的に助長する可能性がある としている。

宅森氏は発表後のリポートで、一致指数は33.3%程度、先行指数は10.0% 程度になると予測。一致指数の構成項目のうち、所定外労働時間指数、商業販 売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の3項目がプラス。 生産指数、鉱 工業生産財出荷指数、大口電力使用量、投資財出荷指数、有効求人倍率の5項 目がマイナスと判明しているとしたうえで、「一致指数は33.3%以上、44.4%以 下と、50%割れが確定した」と述べている。

--共同取材 君塚靖 吉川淳子 Editor:Hitoshi Ozawa、Tetsuki Murotani

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