日中首相:東シナ海ガス田問題、「早期決着へ断固たる決意」共有(6)

中国を訪問中の福田康夫首相は28日午前 (日本時間同)、北京の人民大会堂で温家宝首相と会談し、両国が目指す「戦略 的互恵関係」をさらに発展させていくことで一致した。懸案となっている東シナ 海のガス田問題については、「早期決着への断固たる決意」を共有し、早期の解 決を目指すことで合意した。両首相が会談後に共同記者会見を行い、概要を明ら かにした。

また、胡錦濤国家主席の就任後初めての訪日を2008年春の「桜の咲くこ ろ」に実現させることでも一致。日本外務省幹部はガス田問題についてその前に 合意を得るのが一つの目標との認識を示した。

福田首相は共同会見で、「相互理解が一層深まった。具体的解決策について 進展が得られたことを確認した。早期に決着させるという断固たる決意を共有し た」と強調。温首相も「双方とも共同開発を実現する意欲はある。協議は進展を 遂げることができた」などと述べた。

東シナ海のガス田をめぐる協議は、日本側が境界線と主張している日中中間 線付近を共同開発の対象領域に含めるかどうかなどで日中間の意見調整が続いて いる。外務省幹部は両首相のいう「進展」の具体的内容について、「相当立場に 接近があって、かみ合ってきた」としながらも、「交渉の中身については先方と の約束として明らかにしないことになっている」と詳細説明を避けた。

日本外務省は首相会談後、「両国首脳の東シナ海問題に関する新たな共通認 識」と題する文書も公表。文書は同問題を適切に解決することは「日中双方の利 益に合致する」と指摘した上で、両首相が「両国関係をさらに発展させる過程の 中でできるだけ早期にこの問題を解決するよう努めることに同意した」と明記し ている。

温首相:日本との関係に「春が来たと実感」

日中両国の首脳クラスが共同で記者会見を行うのは異例。温首相は共同記者 会見の冒頭、「福田首相は新たな春を迎えたといったが、2時間半にわたる会談 を終えて確かに中日関係に春が来たと実感している」と蜜月ぶりをアピール。胡 主席の来春の日本訪問が実現すれば、中国国家主席としては1998年11月の江沢 民氏以来、10年ぶりの来日となる。

これに対し、福田首相も会談を振り返り、「戦略的互恵関係で日中両国の信 頼と理解を再確認する会談だった」と評価。今後の日中関係について「われわれ は大きな責任を持っている。こういう状況を認識した上で、これは将来に向けた 大きなチャンスだと理解し両国関係の互恵性を進め、アジアと世界の発展のため に貢献しなければならない」とさらなる改善と協力強化に取り組む決意を示した。

また、福田首相は台湾問題について「中国にとって核心的な利益に関わる問 題ということは理解している。二つの中国という立場も、台湾独立も支持してい ない」と明言。台湾の国連加盟をめぐる国民投票については「一方的な現状変更 は支持できない。国民投票が一方的な現状変更につながるのなら支持できない」 と語り、中国への配慮を見せた。

温首相は日中の経済協力に関し、「中日両国はお互いにとって重要な経済貿 易パートナーだ。会談で経済貿易協力をさらに推進して環境保護、省エネ、金融、 ハイテクなどの分野などの協力をさらに推進していくことで一致した」などと述 べた。

一方、日本外務省幹部の説明では、福田首相は首相会談で、2008年夏の北 京五輪までに、羽田と北京南苑空港を結ぶ定期チャーター便の就航を提案。日中 両政府間で引き続き協議していくこととなった。

環境、北朝鮮なども協議

日本外務省幹部によると、福田首相は地球温暖化問題に関し、2013年以降 の「ポスト京都議定書」の枠組みには中国を含むすべての主要な排出国が参加す る必要があるとの認識を改めて強調。温首相も前向きに取り組んでいく考えを示 したという。

このほか、両首相は北朝鮮の核開発問題についても協議。6カ国協議の共同 声明に盛り込まれた北朝鮮による核兵器や核計画の放棄を完全実施し、北東アジ アの持続的な平和と安定を実現するよう緊密に協力していくことで一致した。

また、温首相は共同記者会見で、拉致問題への日本の姿勢について「理解し ている。日朝両国が対話を通じて解決することを望み、支持する」と語った。

年4000人規模の青少年交流を実現へ

会談後、日中両政府は、「戦略的互恵関係」の具体化に向けた取り組みの一 環として、気候変動問題を対象とした科学技術協力を強化するための共同声明や、 08年の「日中青少年友好交流年」の具体的な活動に関する覚書・協力計画を発表 した。

青少年交流では、08年から4年間、高校生、大学生から行政、経済の分野 で年4000人規模の相互招へいを実現するよう努力していくことを明記。中国人 民解放軍青年将校と自衛隊若手幹部との相互訪問などを行うことになった。

このほか、磁気核融合関連研究分野での文部科学省と中国科学技術部との協 力に関する実施取り決めも公表した。

福田首相は同日午後(日本時間同)には北京大学で日中関係をテーマにした 講演を実施。その後、胡主席と首相就任後初めて会談する。

--共同取材:山村敬一 Editor:Tetsuzo Ushiroyama,Tetsuki Murotai

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