11月コアCPIは0.4%上昇とプラス幅拡大―先行きさらに上昇も(2)

(4段落目に為替相場の動きを追加します)

【記者:日高 正裕】

12月28日(ブルームバーグ):11月の全国の消費者物価指数(CPI)は、 生鮮食品を除くコア指数が2カ月連続でプラスとなり、上昇幅をさらに拡大した。 石油関連商品が全体を押し上げており、物価の上昇基調が鮮明になっている。一 方で、国内景気は住宅投資の落ち込みなどで減速感を強めており、物価の上昇が 景気の足をさらに引っ張る可能性が出てきた。

総務省が28日発表した11月の全国のコアCPIは同0.4%上昇、12月の 東京都区部(中旬速報値)のコアCPIは同0.3%上昇した。ブルームバーグ・ ニュースの調査では全国コアCPI、東京都区部コアCPIとも同0.3%が見込 まれていた。全国コアCPIと東京都区部コアCPIは前月いずれも同0.1%上 昇し、10カ月ぶりにプラスに転じた。先行き一段と上昇するとの見方が多い。

日銀は20日開いた金融政策決定会合で、全員一致で現状維持を決定。前回 11月会合まで6回連続で現状維持に反対した水野温氏審議委員は今回、利上げ 提案を撤回して賛成に転じた。福井俊彦総裁は20日の会見で、「世界経済や国 際金融資本市場の不確実性に加え、国内景気も足元は住宅投資の影響などから減 速している」と述べており、利上げは当分の間、困難との見方が強まっている。

統計発表後のドル円相場は小動きで、午前8時45分現在、1ドル=113円 82銭前後で推移している。発表直前は同113円80銭前後だった。

金融政策への影響

米国型コアCPIといわれる「食料(酒類除く)、エネルギーを除く」指 数は、11月の全国が0.1%下落、12月の東京都区部は0.1%下落した。ブルー ムバーグ・ニュースの調査ではそれぞれ同0.2%下落、同横ばいが見込まれてい た。福井総裁は20日の会見で、コアCPIについて「原油価格、食料品価格、 その他一次産品価格の動きなどを織り込んで考えると、この先しばらくプラス幅 があるスピードで増していく可能性がある」と述べた。

福井総裁は景気への影響について「特にグローバルな要因によって物価が 上がる場合、国内経済に対しては、1つは海外への所得移転という要素があるの で、景気に何がしか下押し圧力がある」と指摘。一方で「グローバルに源がある といっても、国内での先行きの物価感を上方に修正する力も持っているので、上 下両方の変化を正確に受け止め、対応していかなければならない」と語った。

福井総裁はその上で、物価上昇が金融政策に与える影響について「物価は 当面、そういう外的な要因を中心に上昇に多少の加速度が付く。先行きはあらた めて需給ギャップタイト化要因でCPIの上昇基調が続くということなので、こ れを全部つなげてみた場合、金融政策について、しばらく安心して目を離して良 い状況には決してならないのではないか」と述べた。

1-3月はさらに上振れも

エコノミストの間では、コアCPIは年度末に向けて一段と上昇するとの 見方が多い。第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは「石油製品価格 は前年の裏が出ることもあって12月以降も押し上げ要因になるため、表面上の 数字でみれば、CPIは来年春ころまで上振れる公算が大きい」と指摘。モルガ ン・スタンレー証券の佐藤健裕チーフエコノミストも「来年1-3月にかけては 同0.6%上昇とさらにプラス幅拡大が見込まれる」と予想する。

食料品など身近な商品は相次いで値上げが報じられているが、CPI統計 上はウエートが小さいことや、小売価格への転嫁が限定的なことから、まだそれ ほど上昇していない。新家氏は「食料品価格でも上昇幅拡大が観察されるような ら、物価の上振れリスクがさらに高まるだろう」と指摘する。

新家氏はその上で「もっぱら石油製品や食品価格上昇に引きずられる形で CPIが上昇しても、それをもってデフレ脱却と呼べる状況ではない。むしろ、 中小企業の収益が圧迫されることや、家計の購買力低下やマインド停滞が個人消 費を下押しすることなど、景気に悪影響が懸念される」という。来年前半にかけ て、景気後退と物価上昇が同時進行する「スタグフレーションがテーマになる」 (クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミスト)との声もある。

完全治癒までには最低1年

RBS証券の山﨑衛チーフエコノミストは「原油高などを背景に企業収益 は減速、格差が拡大する中で弱者の経済活動の低下が景気全体の重石となるなど、 国内経済の上昇モメンタムは弱まっている」と指摘。「海外経済の減速が予想外 に大きく、外需の大幅なマイナス寄与が持続するような場合、日本の実質成長率 もゼロに近づき、景気は後退局面入りする可能性が高まるだろう」とみる。

日銀は20日公表した12月の金融経済月報で、景気判断を「住宅投資の落 ち込みなどから減速しているとみられるが、基調としては緩やかに拡大してい る」として、前月までの「緩やかに拡大している」から下方修正した。日銀が景 気判断を下方修正したのは2004年11月以来初めて。

みずほ証券の上野泰也チーフエコノミストは、日銀がいったん景気判断を 下方修正した後、回復という状況に「完全治癒するまでには、最低でも1年程度 はかかる」と指摘。「それまでの間、つまり08年内は、日銀は金融引き締め方 向の動きをとれないだろう」としている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE