東京外為:ドル安値圏もみ合い、米景気懸念と地政学リスクで上値重い

朝方の東京外国為替市場ではドル・円が1 ドル=113円台後半と1週間ぶりのドル安水準でもみ合っている。耐久財受注な ど経済指標の不振を受け、米景気の先行き懸念が強まる中、パキスタン情勢の 緊迫化も心理的な重しとなり、ドルは上値の重い展開が続いている。

ソシエテ・ジェネラル銀行外国為替営業部長の斉藤裕司氏は、「きのうぐ らいから少しファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に素直に反応する動 きになっていたところへ、親米国であるパキスタンがテロの危機で政治的混迷 と地政学リスクをはらむということになれば、ドルが売られる局面になりやす い」と指摘する。

もっとも、月末ということで、海外金融機関から年度末に絡んだドル買い 需要なども見込まれるため、「東京市場は需給相場になりやすく、ドルが思っ たよりも下がらないという事態もあり得る」(斉藤氏)。また、国内勢はこの 日が年内最後となり、日中は動意に乏しい展開が予想される。

一方、朝方発表された日本の11月の全国消費者物価指数(CPI)は事前 予想よりもやや強めとなったが、相場への影響は限られている。日本銀行が景 気判断を下方修正したことで、市場では日本銀行の利上げ観測が大幅に後退し ている。

米住宅リセッションの影響波及

米商務省が27日に発表した11月の米製造業耐久財受注額は前月比0.1%増 と、前月の減少からプラスに転じた。ただ、国防ならびに設備投資関連の減少 で、予想(同2.0%増)を下回る伸びにとどまった。変動の大きい輸送用機器を 除く受注は前月比0.7%減と、予想(0.5%増)に反して減少。今回の統計は、 住宅リセッションが経済の他の部分にも波及しつつある可能性を示唆している。

また、全米抵当貸付銀行協会(MBA)が発表した21日までの1週間の住 宅ローン申請指数(季節調整済み)は、前週比7.6%低下し603.8と今年の最低 水準に落ち込んだ。さらに、米労働省が発表した22日に終わった1週間の新規 失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比1000件増の34万9000件と、2 年ぶりの高水準となった。

一方、米民間調査機関のコンファレンス・ボードが発表した12月の米消費 者信頼感指数は88.6と、5カ月ぶりに上昇。ブルームバーグがまとめたエコノ ミストの予想中央値86.5も上回った。前月は87.8に上方修正された(速報値 は87.3)。現況指数が低下したものの、期待指数が上昇したことが寄与した。

米景気懸念でドル下落―スイスフラン急伸

経済指標の不振を受け、27日の米国市場では株価が下落、債券相場は5日 ぶりに上昇した。

また、外国為替市場ではドル売りが膨らみ、対ユーロでは一時、1ユーロ =1.4639ドル(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)と今月14日以来の水 準まで下落、対円では1ドル=113円58銭と同21日以来の水準までドル安が進 んだ。

一方、パキスタンのブット元首相が自爆テロの攻撃を受けて死亡したこと を受け、「質への逃避」から安全通貨とされるスイスフランが急伸。対ドルで は1ドル=1.1400ドルを突破し、同13日以来の高値を付けた。

コアCPIの上昇幅拡大―円は軟調

総務省が28日発表した11月の全国CPIは前年同月比0.6%上昇となった。 ブルームバーグ・ニュースの調査では同0.5%上昇が見込まれていた。また、生 鮮食品を除いたコア指数は2カ月連続でプラスとなり、上昇幅を同0.4%に拡大 した。12月の東京都区部(中旬速報値)のコアCPIは同0.3%上昇だった。 全国と東京都区部のコア指数の予想はともに同0.3%上昇だった。

11月の完全失業率は(季節調整済み)は3.8%と前月に比べ0.2ポイント 改善。一方、11月の有効求人倍率は2年ぶりに求人数が求職者数を下回り、1 倍を割り込んだ。一世帯当たりの実質消費支出は、ガソリンや食料品の価格上 昇が負担となり、前年同月比0.6%減と4カ月ぶりに予想外のマイナスとなった。

また、経済産業省が発表した11月の鉱工業生産指数(速報)は前月比1.6% 低下し、110.4(季節調整済み、2000年=100)となった。前年同月比では2.9% 上昇。ブルームバーグ・ニュースの調査では前月比1.7%低下、前年同月比で

2.7%上昇が見込まれていた。

同時に発表された12月の製造業生産予測指数は前月比4.0%上昇、1月は 同横ばいが見込まれている。経産省は、「生産は緩やかながら上昇傾向にある」 との10月の基調判断を維持した。

日本の利上げ観測が大幅後退する中、円はドル以外の通貨に対して軟調な 展開となっている。前日の海外市場ではユーロ・円が一時、1ユーロ=166円 67銭と11月7日以来の水準まで円安が進行。この日の東京市場では166円台前 半で推移している。

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