JR東海株が52週安値、リニア新幹線整備を自己負担-5.1兆円(2)

東海旅客鉄道(JR東海)の株価が急反 落し、52週安値を更新。25日に超伝導リニアモーターカー利用の新たな東海道 新幹線である「中央新幹線」(通称、中央リニア新幹線)の整備を自己負担で 行うと発表。JR東海の債務負担を懸念した売りが集まり、午前終値は7.1% 安の105万円で東証1部の下落率4位。午後に入って11万円(9.7%)安の 102万円まで下げ幅を拡大した。

フィッチ・レーティングスの青山悟ダイレクターは、「1年ほど前から自 己負担での整備意向を表明していたので、今回の機関決定はそれを具体化させ、 手続きに着手したステップ」と解説。その上で、今後も数多くのステップが待 ち構えているため、「資金負担の問題は、まだまだ先の話」(同氏)と指摘し ている。

青山氏によると、今のJR東海のキャッシュフローの実力からすれば、5 兆円の投資は必ずしも負担とは言えず、ピーク時の負債残高はJR東海が示し た4.9兆円の範囲で収まるという。ただ、JR東海は「東海道新幹線の大規模 改修のための、資金や借り入れ返済に向けた金利動向なども勘案し、相当緻密 な財務計画を建てなければならない」とも、青山氏は話した。

JR東海は25日、中央リニア新幹線の首都圏-中京圏の路線建設などの事 業費を自己負担で行うことを正式決定したと発表した。約290キロの路線建設 費と車両費で5兆1000億円程度と見ており、巨額の設備投資を行っても開業後 の収益で回収できると判断した。これにより、中央新幹線の実現可能性が一気 に高まった。中央リニア新幹線の計画では、すでに計画に沿って、山梨県でリ ニアモーターカーの実現を目指す「リニア実験線」18.4キロが建設されJR東 海が実験を進めているが、JR東海は06年9月に、3550億円を投じて2016年 度までに、実験線の全長を42.8キロに延伸することを決めていた。

新幹線整備は公共インフラという性格も帯びるため国策で進める方向で国 やJR東海が動いていたが、整備計画が遅々として進まない現状にJR東海が しびれを切らした格好。試算では、用地買収などの路線整備で4.8兆円、車両 整備で0.3兆円の合計5.1兆円もの巨額投資が中京圏まででも必要とみられる。

JR東海ではピーク(開業予定の2025年度)でも長期債務の残高は4.9兆 円と見ている。開業すれば現在の新幹線収入に比べ初年度で5%、以後毎年

0.5%ずつ営業収益が伸び、10年後に10%まで増えるとJR東海では見込んで いる。この結果、毎年4000億円程度見込める営業収入で債務は圧縮でき、開業 後8年で債務残高は現状に戻るとしている。

記者会見した山田佳臣副社長は、「東海道新幹線も今年で44歳。経年劣化 をリニューアルで補っている状態で、輸送力にも限界がある。大地震が起きた 時に備えてバイパス路線も必要だ。18年かけても完成は名古屋までが精一杯で、 そろそろ取り掛からなければならない」と述べた。

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