政府:原油高対策で2150億円-灯油代補助、高速道路料金値下げ(3)

政府は25日朝、首相官邸で「原油価格高 騰・下請け中小企業に関する緊急対策関係閣僚会議」を開き、07年度補正予算 と08年予算案で総額2150億円に上る原油高対策を決定した。対策には家計・ 中小企業にきめ細かい対応を講じるため、寒冷地の高齢者向けの灯油購入費補 助や輸送業者を対象に高速道路の深夜料金の値下げなどを盛り込んだ。

原油高対策の予算は、07年度補正予算で約430億円、08年度予算案で1720 億円が計上されている。これらの予算とは別に、今回の対策の目玉である高齢 者・障害者、母子家庭に対し地方自治体が灯油購入補助制度を導入した場合、 1世帯当たり5000円から1万円程度を助成する。同経費は国が特別交付税の交 付を通じ、2分の1を負担する。北海道の一部自治体ではすでに導入している ほか、岩手、長野、新潟の各県も導入を検討している。

原油価格の高騰は、販売価格に価格転嫁が困難な中小企業などの収益を圧 迫し、業況を悪化させる一方、石油製品や生活必需品の上昇は、賃金が伸び悩 む中、家計部門を圧迫して個人消費に悪影響を及ぼす。今回の対策は、こうし た状況に対応するものだが、歳出拡大を通じ財政健全化を停滞させる懸念もあ る。

野村証券金融経済研究所の木内登英チーフエコノミストは、原油高対策を 受けて、「一部の生活者や、特に中小企業などに影響が及んでいたことを考え ると妥当だ」と評価する一方、今年は改正建築基準法による住宅着工減少など 「官製不況」との政府批判に対し、「ばん回しようとする動きであり、来年に も見込まれる選挙につなげたいとの部分もあるかもしれない」と指摘。その上 で、こうした歳出拡大が定着した場合、「財政再建の流れが滞り、金融市場に とっても悪影響を及ぼす」との懸念を示す。

実施段階で真価

福田康夫首相は会議冒頭のあいさつで、「急激な原油価格の高騰は国民生 活や中小企業の経営を直撃している」と指摘、「不安を感じている国民の気持 ちをしっかりと受け止めて応えていかなくてはいけない」と述べた。また、 「対策はその実施段階において真価が問われる」と強調、対策の効果が上がる よう関係閣僚に格段の取り組みを促した。

経済産業省と中小企業庁が11月に実施した調査では、原油・石油製品価格 の上昇が中小企業の収益を圧迫していると回答した企業の割合が9割を超え、 価格転嫁が困難な企業の割合も約9割に上った。

対策では、資金繰りが困難な中小企業に対し07年度補正で237億円、08年 度予算案で574億円を計上する。また輸送業者の物流コスト上昇を緩和するた め午前零時から4時までの深夜高速道路料金を現行の3割引から4割引へ拡大 し、07年度補正予算で67.3億円、08年度予算案で235億円を充てる。

大田弘子経済財政政策担当相は関係閣僚会議後の会見で、原油高騰は産油 国などへの所得移転につながることを挙げ、「日本にとって何も良いことはな い」と述べ、今回の原油高騰の局面では、「賃金、物価が上がらない中で、家 計と企業が痛み分けしている」と分析。原油高騰は経済成長率の大きな引き下 げ要因にはなっていないが、「ミクロレベルでの対応が必要」と強調した。

対策は、①中小企業の資金繰りを支援・円滑化する対策②建設業、漁業、 農林業、輸送業、石油販売業など業種別対策③離島・寒冷地など地方の生活関 連対策④省エネ、新エネなど構造転換対策⑤国際原油市場の安定化への働きか け⑥石油製品などの価格監視の強化-の6つの柱で構成されている。

6つの柱の主な内容は以下の通り:
  ①中小企業対策
   ○原油価格上昇で苦しむ中小企業向け金融・信用補完の基盤強化のための財
政措置(07年度補正237億円、08年度予算案574億円)
   ○下請け適正取引推進センター(仮称)の整備(08年度4.6億円)
   ○下請け適正取引推進のためのガイドラインの策定
  ②業種別対策
   ○輸送業を対象に深夜(午前零時から4時)の高速道路料金の現行3割引か
ら4割引へ拡大(07年度補正67.3億円、08年度235億円)
   ○漁業を対象に水産業燃油高騰基金を設置し、省エネへの転換やグループ操
業などを支援(07年度補正102億円)
  ③離島などの生活関連対策
    ○生活困窮者に対する灯油購入費、社会福祉施設に対する暖房費の助成
    ○離島航路の維持・改善(07年度補正17.5億円、08年度41億円)
    ○地方バス路線の維持対策(07年度補正5.5億円、08年度73.5億円)
④省エネ・新エネへの構造転換対策
   ○省エネ効果が高い事業者の設備導入経費について3分の1を補助(08年度
296億円)
   ○地域新エネルギー導入加速化支援対策補助金(08年度378億円)
⑤国際石油市場の安定化
   ○石炭利用技術をアジア・太平洋地域へ移転のため、モデル事業や研修事業
を実施(08年度65.2億円)
   ○産油国と共同技術開発、研修生の受け入れなど協力事業の推進(08年度
66.6億円)
  ⑥石油製品の価格監視
    ○内閣府の「国民生活モニター」調査を活用し、生活関連物資の価格動向
や消費者行動への影響を調査
    ○石油元売会社に対し、便乗値上げなどの防止を要請
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