日銀、景気情勢悪化すれば来年利下げの可能性も-エコノミストの見方

【記者:Lily Nonomiya、Toru Fujioka】

12月20日(ブルームバーグ):日本銀行の福井俊彦総裁は来年3月に任期を 迎えるが、日本の景気が下振れすれば、量的緩和政策を導入した2001年3月以 来の利下げを迫られる可能性があると、一部のエコノミストはみている。

モルガン・スタンレー証券のロバート・フェルドマン経済研究主席は「昨 日、福井総裁が言ったように景気は悪化しており、日銀は金利を引き下げなけ ればならないかもしれない」と語った。

日銀は昨日公表した12月の金融経済月報で、景気は「住宅投資の落ち込み などから減速しているとみられるが、基調としては緩やかに拡大している」と して、前月までの「緩やかに拡大している」から下方修正した。ただ、総裁は 公表後の定例会見で、住宅投資の落ち込みは「基本的には改正建築基準法施行 に伴う手続き面の動きが主因」であり、「徐々にその遅れが解消していけば、そ の後の需要として表れてくる筋合いのものだ」と語った。

福井総裁は同会見で、「生産・所得・支出の好循環のメカニズムは基本的に 維持されていることが一番重要な判断軸だ」と指摘。金融政策運営についても 「日銀の基本的な考え方はこれまでと全く変わっていない」と説明した。

原動力に陰り

しかし、モルガン・スタンレー証券やみずほ証券、三菱UFJ証券の一部 エコノミストは、日銀は景気持続のために利下げが必要になるかもしれないと みている。これは、日銀のこれまでの予想に反して労働市場や賃金、物価の動 向が芳しくないことが一因だ。失業率は9年来の底だった3.6%から4.0%に上 昇、賃金は過去10カ月のうち9カ月で減少している。

これに加えて、日本経済の原動力となっている輸出にも陰りが出始めてい る。11月は、主力の米国向け輸出が前年同月比14.7%減、欧州、中国向けも鈍 化した。過去6カ月間に9%上昇した円高も輸出業者の収益を圧迫している。

三菱UFJ証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は「2月の日銀の利上げは恐 らくミステークだった」としたうえで、「冷え込んでいる日本経済のために、今 や利下げは日銀にとって急務だ」の認識を示し、その理由として中小企業への マイナスの影響を挙げた。

また、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、「金融政策 の現状維持が08年いっぱい継続する」とみているが、為替が100円を割るほど の円高になれば「金融政策面での対応が求められ、日銀が利下げを真剣に検討 せざるを得なくなる場面も想定される」との見方を示す。

利下げを阻む要因があるとすれば、物価の上昇見通しかもしれない。クレ ディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは19日付のリポートで、12月 分の日本の生鮮食品を除くコアCPI(消費者物価指数)が前年比0.5%上昇に なるとの見通しを示した。同氏は、「日銀はスタグフレーション下の金融政策運 営はどうあるべきかという大きな問題に直面する。利上げにも利下げにも動け ない状況が続く」と予想している。

英誌エコノミスト・グループのエコノミスト・インテリジェンス・ユニッ ト(東京)のグラハム・デービス氏は「第1四半期に何か動きがあるとすれば、 それは利下げだろう」とみている。

--共同取材 Mayumi Otsuma Editor:Hitoshi Ozawa、Masami Kakuta

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