NEO上場のJ-TEC:初値形成後も売り優勢-公募比20%安(2)

患者本人の細胞を培養し皮膚や軟骨などを 製品化する再生医療ベンチャーのジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(略 称:J-TEC)が21日、ジャスダック取引所の新市場「NEO」に新規上場 (IPO)した。午前10時8分すぎに付いた初値は9万6000円、公募価格の 12万円を20%下回った。日本政府が後押しする再生医療分野で初のIPOとし て注目度は高いが、当面は赤字が続くため、売り注文が相次ぎ更に値を下げた。

午前終値は9万4500円。一時は10万3000円まで値を戻す場面もみられた が、20株、30株単位の売り注文が並び、午前の取引終了にかけて初値を割り込 んだ。出来高は2万1872株で、公募・売り出し株数の3万3180株の約3分の 2を占めた。

同社は1999年設立。愛知県蒲郡市に本拠を置く眼科医療機器メーカーのニ デックが母体となって、再生医療製品の研究や開発を行うバイオベンチャーが 誕生、INAX(現住生活グループ傘下)や富山化学工業が出資した。

細胞を皮膚や軟骨などの各組織に分化させるティッシュ・エンジニアリン グ技術に対しては、政府も倫理的観点から慎重な討議を続けてきたほか、安全 性に対する審査・管理も厳格で、「J-TEC以外の企業や研究機関は足踏み しているような状況。少なくとも2-3年は先行メリットを享受できる」(エ ース証券の池野智彦アナリスト)との見方もある。

移植を大別すると、①患者本人の細胞を使用して組織にし、本人に移植す る自家移植、②他人の組織・臓器を移植する同種移植、③ブタやウシなどヒト 以外の動物の組織・臓器を移植する異種移植――の3つに分けられるが、J- TECでは自家移植が最も安全性が高いとみて再生医療製品の開発・商品化に 注力している。

同社が申請していた自家培養表皮は、対表面積の30%以上の重症熱傷を対 象として2007年10月に厚生労働省から製造承認(製造販売承認に相当)を取 得、日本初の再生医療製品として認可を得た。J-TECでは一連の皮膚関連 技術を「ジェイス」と名付け商業化、医療現場での利用に努めている。

このほか自家培養軟骨は07年3月に治験を終了、製造承認の取得に向けて 準備を進めているほか、自家培養角膜上皮については治験開始に向けて、07年 5月に関係当局に対し治験前の確認申請を行っている。

今後2年は赤字継続

2008年3月期の業績予想(非連結)は、売上高が前期比28%増の1億3200 万円、経常損益が11億500万円の赤字(前期は9億1200万円の赤字)。

このほどブルームバーグ・テレビに出演した小澤洋介社長は「なるべく早 く黒字転換を目指したいが、あと2年ほど赤字が続くとみている」と発言、当 面はジェイスの市場開拓や研究開発に注力していく意向を示した。2010年3月 期の業績計画は、売上高が21億円、経常損益が4億4000万円の赤字。

J-TECは上場に際して2万5000株の公募と8180株の売り出し(オー バーアロットメント含む)を実施。主幹事は野村証券が務めている。

先行性を評価

エース証の池野氏は、再生医療製品の潜在的な国内市場規模について、自 家培養皮膚が50億円、自家培養軟骨が30億円と推計、将来的に利用頻度が増 えるとみている。池野氏は「脱落していった企業が多い中で、ジェイスの認可 を得た点はポジティブに評価できる。審査を通過するための障壁は高く、しば らくは先行メリットを享受できるとみられる」と指摘、2012年3月期に黒字転 換できるとし、中長期的な目標株価を18万円と設定した。

18万円は、2012年3月期までの業績予想を立て、ディスカウント・キャッ シュ・フロー(DCF)法で導き出したもので、資本調達コスト(WACC) を7.3%と置いた。

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