携帯関連株を夏に買い増し、ACCESを大量保有-ドイチェの越智氏

ドイチェ・アセット・マネジメントで中 小型株を運用する越智明彦マネジングディレクターは、米国の利下げによって 流動性が確保される条件が満たされ、小型成長株はバリュエーションが切り上 がる局面に入ったと見ている。株価上昇を見越し、同氏が運用するファンドは 夏にACCESSなどを積極的に買い増した結果、ジャスダック指数を上回る 運用成績を上げている。ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで話した。

夏にグロース色強める

2006年初からの小型株急落の局面では、バリュエーションの切り下がり を予想し、高成長高バリュエーション株の組み入れ比率を下げ、ベンチマーク からのかい離の可能性を表すトラッキングエラーをそれまでの10%から7- 8%程度に落とし、下落相場におけるパフォーマンスの相対的な悪化を食い止 めた。

しかし今年の夏になって、小型成長株は対大型株、対小型バリュー株で割 安感が強い上、米利下げによって世界の流動性が確保されてバリュエーション は切り上がる局面を迎えたと判断。内需系のインターネット関連や、モバイル 系の成長株の組み入れを大幅に増やした。米サブプライム(信用力の低い個人 向け)住宅ローン問題による世界景気の減速不安から、外需よりも内需関連銘 柄の方が投資魅力があると考えた結果で、トラッキングエラーも12%と高め に戻し、グロース色が強いポートフォリオにした。

買い増した銘柄はACCESSやドワンゴ、ヤフー、楽天、ディー・エ ヌ・エーといったモバイルインターネット関連銘柄。「10-20代を主要ユー ザーとするモバイルインターネット市場は機が熟した状態。来年から広告を含 めた強力な市場になるだろう」(越智氏)と見ている。

ACCESSの大量保有者に

最も積極的に買い付けたのが携帯電話向けソフト開発大手のACCESS だ。9月末時点の組み入れトップ銘柄である同時に、ドイチェ・アセットは同 時点で同社の発行済株式の6.08%を保有する大株主になった。同社の株価は 9月18日に年初来安値23万2000円を付けた後に急上昇。12月13日には60 万7000円と安値から2.6倍に上昇し、運用成績を大きく押し上げた。

ACCESSは9月14日に、外注費コントロールの失敗を理由に08年1 月期業績予想を大幅に下方修正した。翌営業日の18日に株価は一時14%安と 急落し、年初来安値を更新。しかし越智氏は、「われわれはバリュエーション の方向性を切り上がりと、市場と異なる見方をしていたため、この日を含めて 底値圏で広く買い進んだ」。購入価格は現在の株価の3分の1から半分といい、 現在は多大な含み益を享受している。

バリュエーションが縮小する過程では、投資家は足元の動向ばかり気にす るため、目先の業績見通しの下方修正を受けて売り叩く行動に出る。これに対 し、バリュエーションの拡大局面では突然楽観的になり、2-3年先に目が向 く。実際、IT(情報技術)バブル時には株価が数年先の不確実な利益を織り 込む現象が見られた。

ACCESSの評価ポイントは、「グローバルなモバイルプラットフォー ムで確固たる地位を築いている点」(越智氏)だ。機能の複雑化により、携帯 電話の新モデルにかかる開発や検証の費用が膨らむ現在、開発費削減のためプ ラットフォームの共通化が必要とされる。その際、「中立なポジションにあり、 各メーカーやキャリアと信頼関係を築いているACCESSなら実現が可能。 実現する日まで、持ち続けられる銘柄」(同氏)という。

ACCESSは11日、NECやNTTドコモなど4社と、ACCESS の新プラットフォーム「ACCESS LinuxPlatform(ALP)」を活用、グ ローバル市場を見据えたプラットフォームを開発する検討を始めると発表した。

東洋炭素にも強気、CCCが運用成績押し下げ

公募投信「グローイング・エンジェル」で、10月末の組み入れ比率第2 位の東洋炭素は長く保有している銘柄だ。世界シェア1位の等方性黒鉛は半導 体向けが伸び悩むものの、太陽電池用途が需給ひっ迫の状況で、全世界の需要 は「最低でも年率10%以上伸びる」(東洋炭素・近藤純子社長)という成長 製品。需給から見て価格の上昇も期待でき、「今後の収益予想と比較して株価 は非常に安い」と、越智氏は判断している。

一方、組み入れ3位のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は 今年の運用成績を押し下げた。DVDやビデオ、CDチェーン店「TSUTA YA」を展開する同社は、映像・音楽配信事業の立ち上げ費用や連結子会社化 したすみやの不振によって業績が停滞していることから売りが膨らみ、9月 26日には年初来下落率61%を記録した。

流動性の維持

越智氏は「小型成長株が上昇していくには、流動性が低下しないことが条 件」と認識している。その点で米サブプライムローン問題は懸念されるところ だが、「問題収束には不動産価格の下落を食い止める必要があり、米利下げの 方向性は明確」(同氏)として、流動性面での心配はないと見る。

ドイチェ・アセットでは、相場が下落する局面でも新しい投資家が中小型 株運用にアカウント(口座)を開設したそうで、解約が増えていた過去の下落 時と全く逆の現象を目の当たりにした越智氏は、「中小型株が投資対象として コア化していることの証し」と受け止めている。

越智氏が運用する公募投信は3本。そのうちの1つ「グローイング・エン ジェル」は11月末時点の年初来下落率が12%と、ジャスダック指数の19%を 上回る成績を上げている。ファンドの純資産総額は97億円。ドイチェ・アセ ットの運用資産総額は9月末時点で1兆4519億円。

ACCESS株の20日の値動きは、一時前日比2万3000円(4.3%)高 の56万3000円と続伸。東洋炭素株は150円(1.7%)高の9260円と反発して いる。

--共同取材 小笹 俊一 Editor:Shintaro Inkyo 、Makiko Asai

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