日本株(終了)7日ぶり小反発、米証券資本増で金融高い-2兆円割れ

東京株式相場は日経平均株価、TOPI Xとも7営業日ぶりに小反発。米大手証券のモルガン・スタンレーの資本増強 や米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン対策基金への拠出見送 り報道を受け、三菱UFJフィナンシャル・グループなど銀行株が上昇。保険 株にも上げが目立った。相互出資拡大や粗鋼生産量堅調の鉄鋼株は大幅高。

ただ、景気先行きへの不透明感や米証券の決算を見極めたいとして、全般 は見送り気分も強く、東証1部の売買代金は3カ月半ぶりの2兆円割れ。騰落 銘柄状況は、75%を値下がり銘柄が占めた(値上がり銘柄数は341、値下がり 銘柄数は1295)。

三菱UFJ投信運用戦略部の石金淳シニアストラテジストは、「モルガ ン・スタンレーはサブプライム関連の損失によって資本増強の必要性が出てい た」と指摘。経済成長や資源高によって影響力が増した新興国マネーが金融機 関に流入することは、「危機的状況を回避できることから、相場全体にプラス になる」(同氏)という。

日経平均株価の終値は前日比1円9銭(0.01%)高の1万5031円60銭、 TOPIXは0.77ポイント(0.1%)高の1457.56。東証1部の売買高は概算 で16億6743万株。

東証業種別33指数の騰落状況では、値上がり業種が12、値下がり業種が 21。銀行、鉄鋼、保険、食料品、建設、卸売が高い。電気機器、輸送用機器、 機械、化学、非鉄金属は安い。

弱い反発力、景気不透明な中での負担感

日本株は反発こそしたものの、6日続落後にしては反発力の弱さを指摘す る声が少なくない。財務省が朝方発表した貿易統計速報では、11月の輸出は前 年同月比9.7%増と高水準を維持したものの、サブプライム問題の影響が懸念 される米国向け輸出は6%減と3カ月連続で減少。

また、無担保コール翌日物金利の誘導目標を「0.5%前後」とする方針を 維持することを全員一致で決めた午後の日本銀行の金融政策決定会合では、前 回11月会合まで連続で利上げを主張してきた水野温氏審議委員は利上げ提案 を撤回した。

三菱UFJ投信の石金氏は、「日本株のパフォーマンスが悪いのはサブプ ライム問題以外の根深い要因を抱えているため」との見方を示す。その要因は 内需の弱さとした上で、「政府は財政再建のために国民負担を増やそうとして いる。所得が伸びない中で生活必需品の価格も上昇しており、国内はミニ・ス タグフレーションの状態にある」と語った。

15000円は意識、年末の現金化需要

市場は続落期間中も日経平均1万5000円を維持しており、需給面では 「1万5000円以下の水準では株式ウエートが低下した年金資金が買い支える ということが投資主体別売買動向のデータから意識されている」(丸三証券の 牛尾貴投資情報部長)。その一方、豊証券の菊池由文取締役は、「税制改革や 建築基準法、金融商品取引法などの景気への影響が懸念され、投資家は見送り 気分を強めている」と解説。年末年始に株式を持たざるリスクが感じられない ことから、年内に株式を現金化する売りも出ているとしていた。

景気不透明感から買い材料に乏しく、需給面からも一方的にポジションを 傾けにくい状況。米国時間20日にはベアー・スターンズ証券が決算発表を予 定するなどサブプライム関連損失への警戒感もくすぶっており、売買代金は9 月4日以来の2兆円割れとなった。

銀行株が指数をリード

値下がり銘柄が値上がり銘柄数を大きく上回る状況にありながら、指数が 上昇を維持した要因の1つは銀行株。大手金融グループ3社はそろって上昇し、 銀行はTOIPX上昇寄与度1位、東証1部業種別上昇率では保険、鉄鋼に次 ぐ3位となった。

三菱UFJFG、三井住友銀行、みずほコーポレート銀行の3行が大手米 銀から要請のあったサブプライム対策基金に対する融資枠の設定を見送る方針 を固めたと、20日付の日本経済新聞朝刊が報道(三菱UFJでは対策基金への 協力は引き続き検討中とコメント)。また、米証券大手のモルガン・スタンレ ーが19日発表した9-11月期決算は赤字幅が拡大したものの、中国の政府系 投資ファンドの中国投資公司から50億ドルの出資を受けたことも、金融安定 化期待を醸成させたという点で支援材料となった。

大和住銀投信投資顧問の岩間星二ファンドマネージャーは、「対策基金へ の出資は銀行の損失につながる可能性があったことから、見送り報道は株価に ポジティブ」と指摘。今回の出資額の規模は、大手行のサブプライム関連証券 残高を上回るほどの規模であるとし、「理不尽な要求だった」(同氏)という。

鉄鋼株は急伸

また、新日本製鉄が売買代金上位で3日続伸となるなど、業種別では鉄鋼 株の上げも目立つ。19日発表の11月の粗鋼生産量は18カ月連続で前年実績を 上回った。丸三証の牛尾氏は、「時価総額増大を意識した取り組みを強化して おり、相互に出資を拡大する方向であることも引き続き評価された」と見る。

新日製と住友金属工業、神戸製鋼所の3社は19日、相互の株式を追加取 得し、資本関係を強化すると発表した。新日鉄と住金は相互に約1000億円取 得することで、新日鉄は住金の筆頭株主となる。

なお、鉄鋼連盟では、輸出増加が内需を補う形で07年度粗鋼生産は過去 2番目の水準になる見通しだとしている。

大東建が値上がり首位、イオンファは急落

個別では、米紙ウォールストリート・ジャーナルのオンライン版などが午 後、MBO(経営陣による自社買収)で株式を非公開化することを検討してい ると報道した大東建託が急騰して値上がり首位。リクルートが業界最大手を買 収方向で最終調整と報じ、業界再編期待が高まったテンプスタップは同2位と なった。三菱UFJフィナンシャル・グループによるTOB(株式公開買い付 け)が成立して子会社化されるカブドットコム証券、大和総研が投資判断「2 (アウトパフォーム)」で調査を開始したプロネクサスもそれぞれ大幅高。

半面、第3四半期累計の営業利益が通期計画の45%にとどまったイオンフ ァンタジーが急落して東証1部値下がり率のトップ。ホソカワミクロンがCS R(企業の社会的責任)の観点から資本提携を解消すると日刊工業新聞で報じ られた栗本鉄工所、08年10月期連結営業利益が前期比28%減と大幅な落ち込 みを計画しているクミアイ化学工業もそれぞれ大幅安。JPモルガン証券が目 標株価を引き下げたイビデンも売られた。

国内新興市場は続落

国内新興市場はそろって続落した。新興市場と連動性の高いソフトバンク の下落や東証1部市場の伸び悩みが投資家心理に影響したほか、日銀による金 利据え置きで内需の厳しさも再認識された。ジャスダック指数の終値は前日比

1.21ポイント(1.7%)安の70.19、東証マザーズ指数は19.08ポイント (2.4%)安の766.15、大証ヘラクレス指数は35.95ポイント(3%)安の

1160.49。

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