政府:07年度の経済成長率を1.3%に下方修正、住宅着工減少響く(3)

政府は19日午前、臨時閣議を開き、2007 年度の経済成長率について、改正建築基準法施行の影響で住宅投資が大きく落 ち込み、成長率を押し下げていることを踏まえ、物価変動を除いた実質で1.3% と内閣府試算の2.1%から大きく下方修正した。また、08年度については、実 質2.0%程度、名目2.1%程度とする政府経済見通しを了解した。

大田弘子経済財政政策担当相が閣議に報告した。それによると、07年度は、 6月に施行した改正建築基準法施行の影響などで住宅着工の減少が07年度全体 の実質GDP成長率を0.5ポイント押し下げると試算。一方、08年度は前年度 減少の反動増で実質成長率を0.3ポイント押し上げることを想定している。設 備投資の成長率への寄与度も、07年度のプラス0.1ポイントから08年度はプラ ス0.5ポイントへの上昇を見込んでいる。

日本経済は、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題や 原油高騰、さらには国内消費の低調や住宅建設の急減といった不安要因を抱え ており、景気の先行き見通しは不透明感が強い。

大田経済財政相は臨時閣議後の会見で、07年度の日本経済について「企業 部門の底堅さが持続し、景気回復が続くと見込まれる」としながらも、改正建 築基準法の影響で住宅建設が減少していることから、「回復の足取りが緩やかに なると見込まれる」と述べた。

また、08年度実質成長率2.0%の見通しについては「米国経済の減速懸念、 原油価格の高騰、改正建築基準法に伴う住宅投資減少の元への復帰が想定以上 に遅れるというのがリスク要因だ」とした上で、「このリスク要因が顕在化する と、今の見通しよりも成長率が下がることは十分考えられる」との認識を示し た。

GDPデフレーター、プラス予想

政府経済見通しでは、08年度は11年ぶりに、名目成長率が実質成長率を下 回る「名実逆転」の解消を見込んでいる。ただ政府は、デフレ脱却を目指して 06年度の経済見通し以降、名実逆転の解消を見込んでいたが、これまでのとこ ろ実現していない。08年度は、名目から実質を引いたGDP(国内総生産)デフ レーターを、07年度のマイナス0.5%程度から08年度にプラス0.1%程度と想 定し、あらためてデフレ脱却を示唆している。

08年度の経済見通しと政策運営の基本的態度については、「世界経済の回復 が続く下、07年度に引き続き企業部門の底堅さが持続するとともに、家計部門 が緩やかに改善する」とした上で、改革への取り組み加速と政府・日本銀行の 一体となった取り組みなどにより、「物価安定の下で民間需要中心の経済成長に なると見込まれる」としている。

リスク顕在化で成長下振れも

大田経済財政相は、内需低調の要因になっている個人消費について、「来 年度も消費の伸びはそれほど大きなものにはならないと思っている」とする一 方、「労働需給が徐々にタイトになっていき、これが緩やかだが賃金に波及し、 それが消費を支える。決してその力は強くないが、そのシナリオは崩れていな い」と語った。

さらに賃金が上昇しないことに関連しては、「日本は計画経済ではないので、 民間企業に介入することはできないが、きょうの閣僚会議でも出たが、労働基 準法をしっかり守り、サービス残業をなくすことと併せて、最低賃金の引き上 げが必要だ」と強調した。

政府は今年1月に07年度の実質成長率を2.0%、名目で2.1%の見通しを 閣議決定したが、内閣府は8月に示した試算で、それぞれ2.1%に修正していた。 住宅着工の減少を受けてあらためて修正した結果、01年度以来の大幅な下方修 正となった。消費者物価指数は8月の試算では0.5%程度の上昇を見込んでいた が、今回は0.2%程度の上昇に修正。08年度は0.3%程度の上昇を見込んでいる。

ブルームバーグ・ニュースが11月に集計した民間調査機関33社の予測中 央値では、07年度実質経済成長率は1.5%となり、1カ月前に調査した時の1.7% から0.2ポイント引き下げられた。政府と同様、08年度には再び成長率が回復 するとの見方が大勢で、2.1%成長(32社対象)との見通しを示している。

【2007年度、2008年度の政府経済見通し】
(単位:%、2006年度実績を除きすべて「程度」がつく)
                         2006年度    2007年度     2008年度
                           実績      実績見込み    見通し
                        名目  実質   名目  実質   名目  実質
------------------------------------------------------------
国内総生産               1.6   2.3    0.8   1.3    2.1  2.0
民間最終消費支出         1.3   1.7    1.0   1.3    1.2  1.3
民間住宅                 2.4   0.2  -11.2 -12.7  10.4  9.0
民間企業設備             6.2   5.6    1.7   0.9    3.9   3.3
民間在庫品増加(寄与度) 0.2   0.2   -0.0  -0.0    0.1   0.1
財貨・サービスの輸出    12.0   8.2    9.1   7.1    6.5   5.2
財貨・サービスの輸入    12.2   3.0    8.0   1.5    5.2   3.6

内需寄与度               1.5   1.5    0.5   0.5    1.8   1.7
民需寄与度               2.0   1.9    0.4   0.4    1.8   1.7
公需寄与度             -0.5 -0.4    0.0   0.0    0.0   0.0
外需寄与度               0.1   0.8    0.3   0.9    0.3   0.4

                         2006年度   2007年度     2008年度
                            実績       実績見込み   見込み
----------------------------------------------------------
貿易・サービス収支(兆円)    8.2        9.7         11.2
貿易収支(兆円)             10.5        12.1        13.2
輸出(兆円)                 73.7        80.2        85.4
輸入(兆円)                 63.2        68.1        72.1
経常収支(兆円)             21.2        25.1        26.1
対名目GDP比(%)         4.1         4.9          4.9

国内企業物価(前年度比、%)  2.1        1.8          0.6
消費者物価(前年度比、%)   0.2         0.2         0.3
GDPデフレーター(同)   -0.7        -0.5          0.1

完全失業率(%)              4.1       3.9           3.8
労働力人口(万人)           6660       6665         6675
就業者総数(万人)           6389       6410         6425
雇用者総数(万人)           5486       5525         5565
鉱工業生産指数(前年度比、%)4.8       2.4          2.2

< 前提条件 >
                      2006年度    2007年度     2008年度
--------------------------------------------------------
世界GDP(日本を除く)   3.6%      3.4%       3.2%
円相場(円/ドル)         116.9     115.6        111.2
原油価格(ドル/バレル)   63.6       75.3        83.0
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