米国債:上昇、金融保証会社の格付け見通し引き下げで買い優勢

米国債相場は上昇。格付け会社スタンダ ード・アンド・プアーズ(S&P)が米金融保証大手のMBIAとアムバッ ク・ファイナンシャル・グループの格付けアウトルック(見通し)を「安定 的」から「ネガティブ」に引き下げたため、金融市場の動揺が続くとの見方か ら買いが入った。

格付け見通しの引き下げを受け、米連邦公開市場委員会(FOMC)が景 気腰折れを回避するために2008年1月に追加利下げを実施するとの見方が再 び強まった。安全資産とみられる財務省短期証券(TB)は過去1週間で最も 上昇した。朝方は中長期債が下落する場面もあった。米連邦準備制度理事会 (FRB)が200億ドルのターム物資金入札の結果を発表。サブプライム(信 用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発した信用ひっ迫が緩和するとの 見方が一時強まった。

三井住友アセットマネジメントのシニアエコノミスト、ダニエル・シート 氏は「投資家は安全をまだ1番重要な要素だと考えている」と指摘。「信用問 題の拡大懸念が強まるような出来事が毎日のように起こっている」と述べた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時3 分現在、10年債利回りは前日比9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポ イント)低下して4.02%。10年債価格(償還期限2017年11月、表面利率

4.25%)は約3/4上昇し101 27/32となった。3カ月物(TB)利回りは 13bp低下の2.9%。

S&PはMBIAとアムバックの信用格付け「AAA」について、アウト ルックを引き下げたほか、金融保証会社ACAキャピタル・ホールディングス の信用格付けを「A」から「CCC」に引き下げた。

「悪化見通し」

S&Pは発表文で「保証を受けたプライム以外の住宅ローン担保証券と債 務担保証券(CDO)市場の一段の悪化見通し」を引き下げの理由に挙げてい る。

ブルームバーグがまとめたデータによれば、業界全体で格下げを受けた場 合、債務保証された証券の損失は最大2000億ドルに上る。高格付け以外の債 券の保有を禁じる独自の投資指針に沿って、一部の投資家が債券を売却せざる を得なくなることが理由。

RBCキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、T・J・マータ氏 は「損失が増えそうだが、住宅ローン担保証券(MBS)以外にも広がる可能 性がある。地方債でも損失が発生すれば、地方自治体は調達金利の上昇により、 財政状況が厳しくなる。これが実体経済に悪影響を与える経路だ」と指摘した。

朝方はモルガン・スタンレーが発表した9-11月期(第4四半期)決算で 最終損益が市場予想を上回る赤字となったことが買い材料となった。住宅ロー ン関連証券への投資で94億ドルの評価損を計上した影響した。サブプライム (信用力の低い個人向け)住宅ローン関連証券の急落により、金融機関は今年 これまでに700億ドルを超える評価損を計上している。

「非常に弱い」

リッチモンド連銀のラッカー総裁は講演で「今後数カ月、非常に弱い成長 が続く」と予想。住宅不況の継続が理由。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物相 場が示す1月の0.25ポイントの利下げ確率は86%と、1カ月前の76%を上 回っている。

ジェフリーズの米国債トレーディング責任者、トム・ディガロマ氏は「金 利据え置き観測、あるいは小幅利下げの予想から売りが出始めると、決まって 買い材料になるような出来事やニュースが出てくる」と指摘した。

FRB入札

FRBが期間28日ターム物資金入札(規模200億ドル億円)の落札結果 を発表すると、国債は下落する場面もあった。応札総額は615億5300万ド ル、参加金融機関数は93社に上った。落札利回りは4.65%と、フェデラルフ ァンド(FF)金利の誘導目標である4.25%を40bp上回り、懲罰金利であ る公定歩合の4.75%に10bpまで接近した。

2回目の資金入札(期間35日)が20日に実施される予定。

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