月例報告:企業収益を2年9カ月ぶり下方修正、先行きは慎重表現に

大田弘子経済財政政策担当相は18日夕、12 月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出し、了承された。企業収益は、原油な ど原材料価格の上昇で圧迫されていることから、2005年3月以来2年9カ月ぶ りに判断を下方修正した。また、企業から家計への利益配分の増加が当面見込 めないとの判断から、景気の先行きについても慎重さをにじませた。

12月は企業収益に加えて、日本銀行が14日に発表した企業短期経済観測調 査(短観)で悪化した企業の業況判断についても下方修正した。一方、生産は 電子部品・デバイスの在庫調整が完了して上昇傾向にあることを受け、上方修 正したほか、減少幅が縮小した住宅建設と設備投資もそれぞれ上方修正した。

総括判断は、住宅投資や雇用などの弱さが継続していることから前月まで 2カ月間冒頭部分で使った「このところ」を削除し、景気は「一部に弱さがみ られるものの、回復している」と3カ月ぶりに表現を微修正した。ただ、総括 判断自体は13カ月間連続で据え置いた。

先行き慎重さ増す

前月11月は景気の先行きについて「企業部門の好調さが持続し、これが 家計へ波及し、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる」とし ていたが、今月は「企業部門が底堅く推移し、景気回復が続くと期待される」 と変更した。内閣府政策統括官付参事官の西崎文平氏は記者説明で、「以前より も慎重な表現にしている」と語った。

西崎氏はその理由として、企業から家計への波及という「今まで描いてい たシナリオが難しくなった」と指摘、冬のボーナスも全体として大きな上昇が 期待できず、企業収益も鈍化してくると「ますます企業の分け前が家計に分配 される姿が描きにくい」との考えを示した。ただ、現状の景気状況を反映する 生産活動は堅調なため、景気回復は継続しているとの考えは変更していない。

財務省が12月3日に発表した7-9月期の法人企業統計季報によると、全 産業の経常利益は前年同期比0.7%減と2002年4-6月期以来21期ぶりの減少 となっている。これを受けて月例経済報告では、企業収益について「改善に足 踏みがみられる」とし、前月の「改善している」から変更。また企業の業況判 断については「慎重さがみられる」と、11月の「大企業製造業では横ばいとな っているものの、全体としては慎重さがみられる」から変更した。

先行きについては、「サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問 題を背景とする金融資本市場の変動や原油価格の動向が内外経済に与える影響 等には留意する必要がある」との前月の表現を維持し、金融市場や原油価格の 動向に注意していく姿勢を示した。

雇用・輸出は据え置き

上方修正された3項目は、設備投資が前月の「このところ弱い動きがみら れるものの、基調として増加している」から「緩やかに増加している」、住宅建 設が前月の「このところ減少している」から「下げ止まりつつあるものの、依 然として低い水準にある」、生産が前月の「持ち直している」から「緩やかに増 加している」となっている。

このほか、雇用判断については完全失業率が9月に引き続き10月も4.0% となったことを踏まえ、「厳しさが残る中で、このところ改善に足踏みがみられ る」と11月の判断を維持したほか、輸出も「増加している」との判断を据え置 いた。

2002年2月から始まった現在の景気拡大局面は、2006年11月で「いざな ぎ景気」を超え、この12月で戦後最長の71カ月となる(5年11カ月)。

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