サブプライムの木、ウォール街と組んだ住宅金融業者の貸込みが育てた

さて、くだんのカリフォルニア州の住宅金 融業者、ダニエル・サデック氏は、2002年にサブプライム(信用力の低い個人 向け)住宅金融会社クイック・ローン・ファンディングを設立した。同社はウォ ール街にサブプライム住宅ローン債権を供給するカリフォルニア州の1300社の 住宅金融業者の1社として、しばらくの間、繁栄を謳歌(おうか)することにな った。

住宅価格は上昇し、高利回り投資商品への需要は高まるばかりだった。サデ ック氏は信用力の低い借り手向けの融資に、活躍の場を見出した。このような借 り手を対象としたサブプライムローンは06年に6000億ドル(約67兆9000億円) と、全米の住宅ローン残高の21%に達した。01年の1600億ドル、7%からの急 拡大だった。そのような成長を後押ししたのは銀行だった。サブプライム住宅 ローンを証券化すれば、10年債米国債の利回りを最大3ポイント上回る商品を 作り出せたからだ。「当社のローンをウォール街が買い渋ったことはない」と 同氏は胸を張る。

ウォール街では、バンカーたちは05、06年にサブプライムローンに基づく デリバティブ(金融派生商品)を開発し、住宅ローン担保証券の市場を拡大さ せた。このデリバティブによって証券会社はサブプライム証券の販売を増やす とともに、住宅市場の減速に賭ける新しい方法も生み出した。ドイツや日本の 投資家はこの2年間に、同市場に約1兆2000億ドルを注ぎ込んだ(グローバル・ インサイト調べ)。

サデック氏は5年にわたる米住宅価格の大幅上昇局面の初期に、住宅金融 事業に参入した。米シティグループなどの銀行から融資を受け、サデック氏とそ の同業者はサブプライム市場を5年で3倍にした。

2/28ローン

サデック氏によると、同氏はシティの後押しを得て、信用スコアが450未 満(満点は850)の借り手向けの融資を開始した。「もうけのほとんどは融資債 権を銀行に売ることで得ていた」という。同氏のクイック・ローン・ファンディ ングは多くのサブプライム金融会社と同様に、「2/28ローン」と呼ばれる変動 金利型ローンを販売していた。30年物で、最初の2年だけは低金利で、その後 金利が上昇するローンだ。

米住宅価格は01-06年にかけて、年率50%のペースで上昇した(全米不動 産業者協会調べ)。住宅金融会社のセールス担当者らは、金利が上がる前に借り 換えるか、上昇した価格で住宅を売ってしまえばいいと言って借り手を勧誘した。

クイック・ローン・ファンディングのようなノンバンクの住宅金融会社の存 続は、新たな借り手を見つけ続けることにかかっていた。クイック・ローン・フ ァンディングは融資を続けるためにシティから4億ドルの短期融資を受けてい ていた。それを返済するためにクイック・ローンは、住宅ローン融資をした後は できるだけ早くその債権を証券化用に売り渡していた。

誰も食い物にされていない

返済に行き詰まる借り手について尋ねられたサデック氏は、住宅ローン申 請書類のページをめくって借り手に現金を支払ったと明記された箇所を指し示 し、「誰が食い物にされているんだ?」と切り返した。

クイック・ローン・ファンディングの巧みな勧誘に乗って、固定金利から変 動金利型ローンに借り換え現金2万1674.70ドルを受け取ったクリストファ ー・オールトマン氏は、結局返済に行き詰まり、借り換え以来既に2回の差し押 さえ通知を受け取っているという。

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