【米経済コラム】FRBの資金入札は信用収縮解消せず-J・ベリー

米連邦準備制度理事会(FRB)が17日に 予定している28日物資金200億ドル(約2兆2640億円)の入札は恐らく、銀 行間市場の問題解決にはつながらないだろう。

銀行間市場は11月20日ごろに資金逼迫(ひっぱく)が始まったが、これ は流動性不足が原因ではなく、多くの金融機関が損失を発表したためにその信 用力に疑問符が付いたことが原因だ。

ターム物資金入札は米銀行システムに追加の流動性を注入するものではな い。20日に2回目の入札が予定されているターム物資金は、通常の公開市場操 作で資金供給を減らすことで相殺される。

公開市場操作を行うニューヨーク連銀は11月28日に、43日物のレポ(売 り戻し条件付きの買いオペ)で、プライマリーディーラー(米政府証券公認デ ィーラー)を通し2008年1月10日までの資金80億ドルを供給した。年末越え の資金を供給することだけが目的ならば、このレポの規模を拡大するか繰り返 し実施すればよかった。

資金逼迫は信用力と信頼感の問題であり、2001年9月11日の米同時テロ事 件後のような流動性の問題ではない。当時はマンハッタン南部が大きな被害を 受けたために金融機関同士の通信が寸断され、資金不足が生じた。これを受け て米金融当局は無制限に資金を供給した。

今回問題になっているのは、米国のサブプライム(信用力の低い個人向け) 住宅ローン関連証券による発表済みと未発表の両方の巨額損失だ。

LIBOR

12月14日の1カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)は5%弱 で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を約75ベーシスポイント(b p、1bp=0.01%)上回っていた。スプレッド(利回り格差)は米連邦公開 市場委員会(FOMC)が0.25ポイントの利下げをした11日の前日、10日か らほとんど変わっていない。

入札はさまざまな難しい問題をすり抜ける創造的なアイデアではあるが、 最も資金を必要している銀行が大きな額を応札するとは考えにくい。17日の入 札での応札額は200億ドルに満たない可能性もある。入札結果は19日にならな いと公表されない。

銀行にとって、ターム物資金の入札に参加するほぼ唯一の利点は、銀行名 が公表されないことだ。誰が資金を得たかは分からない。連銀窓口貸し出しを 利用した場合は通常、大口の借り手が明らかになる。

これが障害なのだ。FRBは8月17日に公定歩合を0.5ポイント引き下げ、 窓口貸し出しの利用を奨励した。FF金利との差は通常の1ポイントから0.5 ポイントに縮小された。当局は窓口貸し出しで受け入れる担保の幅も拡大させ た。期間も通常は翌日物だが、30日の延長オプション付きの30日物に延長され た。

利用進まず

しかし、当局が期待したような借り手は現れなかった。窓口貸し出しを利 用すれば他の金融機関や投資家から、深刻な資金繰り難にあると疑われかねな いからだ。

匿名性が保証されることに加え、ターム物入札には十分な担保を持ち債務超 過でないすべての金融機関が参加できる。

11日のFOMCについては、多くのアナリストや投資家が利下げ幅や声明 に失望した。利下げ幅は0.25ポイントにとどまり、声明は08年1月29、30日 の次回FOMCでの利下げを示唆しなかったためだ。市場には公定歩合がFF 金利よりも大きく引き下げられるとの期待もあった。不満が重なり、金融市場 はマイナスの反応を示した。

FRBが翌日、欧州中央銀行(ECB)などと協調した流動性供給の一環 としてターム物資金入札を実施すると発表したとき、全く予想していなかった トレーダーの多くは2重に裏切られた気分になっただろう。

入札が奏功して銀行間市場の緊張が緩和されれば素晴らしいことだが、L IBORの動向を見る限り、そうはなりそうもない。 (ジョン・ベリー)

(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。 このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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