東京外為:ドル伸び悩み、インフレ懸念でドル高に疑問-米決算を警戒

午前の東京外国為替市場ではドルが伸び悩 み。対円では1ドル=113円台前半と、前週末に付けた11月7日以来の高値、 113円60銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)からややドルが水準を 切り下げて推移した。物価指標の予想を上回る伸びを受け、米追加利下げ観測 が後退する中、米金利の上昇がドルを支える一方、米景気の先行き不安やサブ プライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に絡んだ金融機関の損失拡 大懸念が根強く、ドルの上値では持ち高調整の売りが優勢となった。

新光証券の林秀毅グローバルストラテジストは、インフレ懸念の高まりに より、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置き観測が浮上 したことがドル高につながっているという説明には少し無理があり、ドルの上 昇はクリスマス前のポジション調整という面が大きいと分析。その上で、「今 週は米証券会社の決算があり、米国株に悪い影響を与えるとの懸念がドルの頭 を抑えている」といい、テクニカルポイントの控える113円台後半を超えるの は厳しいとみている。

ドル買い先行もその後、伸び悩み

週明けの外国為替市場では、米金利の上昇を手掛かりにドル全面高となっ た前週末の流れを受け継ぎ、ドル買いが先行。ユーロ・ドルは1ユーロ=1.44 ドル前半で早朝の取引を開始すると、1.4400ドルを突破し、一時1.4382ドルと 10月30日以来、約1カ月半ぶりの水準までドル高が進んだ。

しかし、さらにドルを買い進める動きは見られず、午前7時以降は徐々に ドルの売り戻しが優勢となり、午前10時過ぎには1.4439ドルまでドルが反落。 売り一巡後は1.44ドル前半でのもみ合いに転じた。

ドル・円も1ドル=113円台前半で早朝の取引を開始後、いったん113円 54銭までドルが強含んだ。しかし、前週末に付けたドル高値には届かず、午前 8時過ぎには113円09銭までドルが反落。その後は113円台前半で小動きとな った。

一方、日本株やアジア株の軟調推移にもかかわらず、円はドル以外の通貨 に対して小動きながらも上値の重い展開となり、ユーロ・円は早朝に1ユーロ =163円ちょうど割れの水準を付けた後は、163円台前半から半ばでの推移とな った。

ドル反転は時期尚早

先週前半はFOMCでの利下げ幅に対する失望感から株価が下落、円が急 伸したが、その後は米欧中央銀行による流動性支援策の発表を受け、米国株が 持ち直し、それにつられて円も反落した。

一方、週後半は米国で発表された11月の小売売上高が事前予想の倍の伸び となったほか、生産者物価指数(PPI)が34年ぶりの上昇率を記録。さらに 週末には消費者物価指数(CPI)も2005年9月以来で最大の伸びとなったこ とから、米追加利下げ観測が後退し、14日の米国市場では株安、債券安が進ん だ一方、外国為替市場ではドルの買い戻しが活発化した。

新生銀行キャピタルマーケッツ部の政井貴子部長は、年末にかけてドルの 送金需要が見込まれる中、先週末は米指標を手掛かりに、それまで売られ過ぎ ていた分のドル買い戻しが入ったと説明。ただ、ドル安の流れが変化したと判 断するのは「時期尚早」で、今週は米金融機関の決算や住宅着工や国内総生産 (GDP)といった米指標に対する市場の反応を見ながら、「夏から引きずっ ているサブプライムの余韻を測る感じになる」とみている。

米金融決算で波乱も

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物市 場の動向によると、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイント の追加利下げが実施される確率は80%となっている。1週間前は96%だった。 また、同会合で金利が据え置かれる確率は20%。1週間前はゼロだった。

米金利の先安観が後退する一方、米国では今週、あす以降に住宅着工や7 -9月期の国内総生産(GDP)確報値、個人消費支出などの経済指標が発表 される。また、先週に続き、米金融機関の決算発表も予定されており、内容次 第では米経済の減速懸念や信用不安が再燃し、ドルの買い戻し基調に水を差す 可能性もある。

新光証券の林氏は、住宅関連指標については悪いことが織り込み済みであ る可能性があるとした上で、米金融機関の決算による株安再燃が警戒される中、 ドル・円が年初来高値と安値の38.2%戻しにあたる113円70銭付近を超えて、 114円や115円台に向けて上昇していくのは厳しいとみている。

一方、国内では19、20日に日本銀行の金融政策決定会合があり、「水野温 氏審議委員が利上げ支持の手を下ろせば、多少円売り要因として影響する」(林 氏)可能性もあり、円高方向の動きも限られると予想される。

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