内閣府:米景気減速で来年の日本経済は「厳しい局面も」-報告書公表

内閣府は14日午後、今年1年間の経済活動 を分析し、翌年を展望する「日本経済2007-08」を公表した。「景気回復6年目 の試練」との副題を付けた報告書では、米国経済の減速が現実となって長期化 した場合、外需主導の日本経済への影響は甚大になるとの見解を示している。

内閣府の試算では、米国の実質GDP(国内総生産)成長率が「1%ポイ ントのショック」が起きて低下した場合、日本の実質GDPも「0.9%ポイント 程度の反応となった」と指摘。仮に米経済が1%減速した場合、日本にも同程 度の成長率押し下げ効果があり、欧州諸国も日本と同程度の影響を受けるとし ている。

日本経済は、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に よる米景気減速懸念の高まりや原油高騰、さらに国内消費の低迷や改正建築基 準法施行に伴う建築着工件数の急減など内外の懸念要因を抱えており、全体と しては外需依存型の経済成長をたどっている。そうした中で、仮に米景気減速 が顕著となっても、中国をはじめとする新興諸国の景気堅調で日本経済に大き な落ち込みはないとみる民間エコノミストも少なくない。

日本総合研究所の枩村秀樹主任研究員は「米国景気の減速が日本の輸出に 与えるマイナス影響は不可避」としながらも、「新興国・資源国向け、欧州向け 輸出は引き続き高い伸びが続くとみられるため、わが国輸出への下押し圧力は 2001年ほどには深刻化しない公算だ」と予測している。

内閣府の西崎文平総括担当参事官は、世界経済や金融資本市場の連関性が 強まっていることを挙げ、米経済の減速による日本への影響は「切り離しては 考えられない」と強調。米国経済が減速しても新興国向けの輸出が下支えにな ると予測する民間エコノミストに比べて、より慎重な見方を示している。報告 書では、米経済の減速、原油価格の高騰などのリスク要因が顕在化すれば、来 年の国内景気は「厳しい局面も予想される」としている。

原油価格高騰

報告書は日本経済の現状について「雇用、設備、在庫のいずれも過剰な状 態ではなく、市場に過熱感が生じている状態ではない」とし、「輸出と生産が増 加を続けており、景気回復を支える原動力は健在である」との認識を示してい る。ただ、これまで好調だった企業部門が、「少しずつ切り崩されてきている」 とし、今まで以上に業種別・規模別の動向を注視する必要があるとしている。

一方、原油高騰に関連して、原油価格の上昇は年間GDPの0.5%程度が産 油国など海外への所得移転となっていることを示すと分析。一方、こうした所 得移転の大半は、価格交渉力が弱い中小企業が負担していると指摘。中小企業 の収益悪化と業況感の悪化を通じて労働市場にも影響を及ぼしていることを挙 げ、原油価格の動向次第では「景気の足取りを重くする懸念がある」と警戒感 を示している。

原油の指標価格であるニューヨーク商業取引所(NYMEX)原油先物期 近限月の価格は11月23日、1バレル当り98.18ドルと100ドルに迫る水準ま で急騰し、史上最高値を更新、年初からの上昇率は68%となった。NYMEX 原油先物(1月限)は14日の時間外取引で、午後2時25分現在(日本時間) 1バレル当り92.57ドルで推移している。

住宅着工減少は下げ止まるか

一方、改正建築基準法施行に伴う住宅着工の減少については、「今後、関連 分野への波及拡大も懸念される」と述べる一方、10月の新設住宅着工件数が前 年同月比で35%減と、過去最大の下げ幅となった9月の同44%減から減少幅が 縮小していることから、「下げ止まりつつあるとの見方もできる」とみている。

外国為替市場の動向については、輸出企業の海外現地生産の拡大により、 相場変動に対する耐久力は高まっているとし、急激な円高が進行しない限り、 「その影響は過去と比べ限定的なものにとどまる可能性は高い」と述べている。

このほか、株価下落が銀行経営に及ぼす影響については、株式含み益がゼロ になる水準は東証株価指数(TOPIX)でみて1000以下と試算した上で、現 時点で銀行の財務体質への影響は小さいとしている。ただ、円高も株安も企業 や消費者心理への影響が考えられるため引き続き「注視が必要だ」と指摘して いる。

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