東京外為:円約1カ月ぶり安値、短観悪化で売り進む-一時112円後半

午前の東京外国為替市場では円が軟調に推 移した。ドル・円相場は一時1ドル=112円66銭(ブルームバーグ・データ参 照、以下同じ)と、11月9日以来、約1カ月ぶりの円安値を更新する場面も見 られた。米経済指標の強含みを背景にサブプライム(信用力の低い個人向け) 住宅ローン問題が実体経済に影響するとの懸念が緩和するなか、日本銀行が発 表した企業短期経済観測調査(短観)が弱めの内容となったことから、ドル買 い・円売り圧力がかかった。

バンク・オブ・アメリカグローバル為替・金利・商品戦略部の藤井知子日 本チーフエコノミスト兼ストラテジストは、米国の強いデータとインフレ懸念 で、思い切った利下げはできないとの見方から、目先は金利面でのドル売り圧 力が緩和していると説明。また、短観の内容を受けて、「日銀は当面動けないと の見方から、円を買う理由はなく、不安定な投資環境が落ち着けば、円キャリ ートレード(低金利の円で調達した資金を高金利通貨などに投資する取引)の 再開が意識されやすくなる」とみている。

大企業・製造業DIが予想下回る

日銀がこの日の午前8時50分に発表した12月調査の短観は、大企業・製 造業の業況判断指数(DI)がプラス19と、前回の9月調査時から4ポイント 悪化。今年3月調査以来、3期ぶりの悪化となったうえ、ブルームバーグ・ニ ュースがまとめた市場予想の21も下回る結果となった。

2007年度の設備投資計画(含む土地投資額)は、大企業・全産業が前年度 比10.5%増と、前回調査時の同8.7%増から上方修正されているが、「今強く見 えているところも、いずれ弱くなる危うさが残り、センチメントが下期の企業 業績に弱気だと、一見強そうな設備投資計画も持たない可能性がある」(BO A・藤井氏)という。

早朝から1ドル=112円台前半でもみ合っていたドル・円相場は、短観発表 直後に円売りが進み、いったん112円46銭まで円が軟化。その後は売りがやや 鈍ったものの、大企業の景況感悪化にもかかわらず、日本株が反発して取引を 開始したことから、投資家のリスク許容度回復も連想され、午前10時15分す ぎには112円66銭まで円が水準を切り下げた。

ユーロ・円相場も一時1ユーロ=164円65銭と、前日のニューヨーク時間 午後遅くに付けた164円21銭からユーロ高・円安が進んだ。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、「サブ プライム問題を背景とした米景気の悪化懸念については過去数カ月で相当程度 織り込まれているため、今後は市場の焦点が欧州や日本など周辺諸国への影響 にシフトしていく可能性がある」として、短観が弱含みとなれば、円売り圧力 につながるとみていた。

米小売堅調、物価強含みで金利先安観が緩和

米商務省が13日に発表した11月の小売売上高(速報、季節調整済み)は 前月比1.2%増と、10月の0.2%増から大きく伸びが加速。ブルームバーグ・ニ ュースがまとめた市場予想の0.6%増も上回る伸びとなった。変動の大きい自動 車を除いたベースでも1.8%増加と、2006年1月以来最大の増加となった。

また、同日に発表された8日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節 調整済み)は33万3000件と、前週から7000件減少したうえ、市場予想の33 万5000件も下回った。

さらに、11月の米生産者物価指数(PPI)は全完成品が前月比3.2%上 昇と、34年ぶりの大幅な伸びとなるなど、物価の強含みも示された。

前日の米国債券市場では売りが優勢となり、10年債の利回りは4.16%に上 昇。ニューヨーク外為市場では、米景気と金利に対する見方が修正されたとみ られ、高金利通貨に対して膨らんでいたドル売り持ち高を解消する動きが進行。 ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.4577ドルと、6日以来、約1週間ぶりの 水準までドルが値を戻した。この日の東京市場では1.46ドル台前半で推移して いる。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の久保信明バイスプレジデン トは、米欧の中央銀行による流動性供給が発表されたことに続き、米指標が強 めに出たことで、米国の小幅利下げが結果的に妥当性を帯びるものとなったと したうえで、「多少なりとも信頼回復につながっていることがドルをサポートす る要因になっている」と説明。米指標を見ると、先々の利下げをどんどん織り 込んでいくという状況ではないと付け加えた。

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