債券は小幅高、米債安も株下落で上昇に転じる―短観控え慎重(終了)

債券相場は小幅高(利回りは低下)。前日 に米国債相場が大幅安となった流れを引き継ぎ、安く寄り付いたものの、その 後は日経平均株価の大幅続落を支えとして上昇に転じた。あす14日発表の企業 短期経済観測調査(日銀短観)の内容を見極めたいとして積極的な取引が手控 えられた。

新光証券の三浦哲也債券ストラテジストは、債券相場が底堅く推移したこ とについて、株価下落の影響が大きいと指摘。「欧米の中央銀行5行による協 調資金供給策発表は、日本株にとってはベースマネーの供給となり、支援材料 になるはずだと思っていたのに期待外れとなった」と説明した。

東京先物市場で中心限月3月物は、前日比21銭安の136円44銭で寄り付 いた直後、136円43銭の日中安値をつけた。その後は、日経平均続落を受けて 徐々に値を戻した。午後に入るといったんは伸び悩んだが、終了にかけて再び 買いが増えると一時は17銭高い136円82銭まで上昇した。結局は9銭高の136 円74銭で引けた。

株式市場で日経平均は大幅続落。前日比395円74銭安の1万5536円52銭 で引けた。12日に米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ米欧の主力中央銀 行5行が協調し、短期金融市場に大量の資金供給を行う姿勢を明らかにしたも のの、世界的な金融システムや信用収縮への懸念は払しょくされなかった。

新光証券の三浦氏は「あす14日の日銀短観が下振れすることを見込んで株 式市場で売りが出ているのではないか。債券相場は株安が下支え要因となった」 と述べた。ブルームバーグ・ニュース調査によると、大企業・製造業の業況判 断DIはプラス21(前回はプラス23)、大企業・非製造業DIはプラス18(前 回はプラス20)といずれも小幅な悪化が予想されている。

興銀第一ライフ・アセットマネジメントのエグゼクティブファンドマネジ ャー、山崎信人氏は、「11日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が声明の中 で、米国の設備投資や消費がよくないということをわざわざ書いていた。そこ に資金大量供給の話が出たので、FRBの景況感が予想以上によくないと認識 した」と説明。そのうえで、「市場は今晩発表される米小売売上高や生産者物 価指数、あすの日銀短観を見極めようと取引を手控えた」と述べた。

一方、損保ジャパン・債券運用第一グループの砺波政明氏は、「米国で金 利がかなり上昇していたので、国内も上昇で終わると思ったが、株価が予想以 上に下落してしまった。あすに短観を控えているので、それも買いに拍車をか けたかもしれない。短観は、ある程度悪化することが市場のコンセンサスにな っている」と述べた。

欧米中銀が協調資金を供給、海外市場で株高・債券安

12日の海外市場では、米国債相場が大幅安。米FRBなど、欧米の5中央 銀行が協調して大規模な資金の供給を行うと発表。市中銀行には年末超えの資 金が十分手に入るとの観測から、安全資産に資金が流入する「質への逃避」の 動きが巻き戻され、米国債はここ2週間で最大の下げとなった。

一方、米株式相場は反発。テクノロジー株とエネルギー株を中心に買いを 集めた。

新発10年債利回りは1.51%

現物債市場で新発10年物の289回債利回りは、前日比0.5ベーシスポイン ト(bp)低い1.525%で寄り付いた後、徐々に水準を切り下げ、1.51%に低下し た。午後に入り、いったんは1.525%をつけたが、再び下げて、2時45分過ぎ には1.505%まで低下した。その後は1.51%で推移している。

一方、超長期ゾーンは軟調。新発20年債利回りは1.5bp高い2.11%、新発 30年債利回りは0.5bp高い2.335%で取引されている。

財務省は前日、2008年度予算で財政融資資金特別会計(財融特会)の「金 利変動準備金」約20兆円(08年度末見込み)のうち9.8兆円を国債整理基金特 別会計に繰り入れ、国債残高を圧縮する方針を発表した。

これに関して、市場では、「借換債の見通しに大きな影響を与えそうだ。 今 回の取崩分のうちどの程度がバイバックに回り、どのセクター・残存年限の 国債が対象となるかにもよるが、借換債カーブがさらに大幅にフラット化する 見通し」(モルガン・スタンレー証券ストラテジストの伊藤篤氏)との声が聞 かれた。

岩田日銀副総裁講演、相場への影響は限定

日銀の岩田一政副総裁は13日午後、都内で講演し、米サブプライム(信用 力が低い個人向け)住宅ローン問題の邦銀への影響について「じわじわと拡大 している」としながらも、「期間収益や経営体力の範囲内で十分吸収可能とみ られる」と指摘。今回の問題がわが国金融システムの安定性に「大きな影響を 及ぼすものとは考えていない」と述べた。

岡三証券シニアストラテジストの坂東明継氏は、岩田副総裁講演について 「特に目につくような発言はなかった。日銀は、当分利上げはできないという のが市場のコンセンサスになっているので、日銀高官の発言への注目度が落ち ている。サプライズもなく、債券相場には影響は出ないだろう」との見方をし た。

(債券価格)                            前日比       利回り
長期国債先物3月物         136.74      +0.09         1.701%
売買高(億円)             42203
10年物289回債             99.91               1.51%(-0.02)

--共同取材:池田祐美 日高正裕 Editor:Hidenori Yamanaka,Norihiko Kosaka

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