東京外為:円が112円前後、日本株続落で下げ渋り-キャリー再開に慎重

午前の東京外国為替市場では円が対ドルで、 1ドル=112円前後と海外時間に付けた約1カ月ぶり円安値(112円47銭、ブ ルームバーグ・データ参照)から値を戻している。米欧主要中央銀行による緊 急流動性供給を好感し、海外市場では株高、円安の展開となったが、サブプラ イム(信用力の低い個人向け)住宅ローンに絡む金融機関の損失懸念や米景気 の減速懸念は根強く、日本株の続落を背景に円は下げ渋る格好となっている。

三菱東京UFJ銀行市場業務部の橋本将司調査役は、米欧による緊急流動 性支援について、心理的効果も大きく、市場が少し安定化することにより、や や円売り地合いが出てくる可能性も浮上してきているとしながらも、「機能不 全に陥っている証券化市場の完全回復やサブプライム問題の根本解決というこ とにはならず、引き続き不透明感はくすぶっていく」と指摘。米景気の減速懸 念も残る中、「円キャリー(円借り取引)の再開というところは慎重に見る必 要がある」としている。

米欧が緊急資金供給を発表

米連邦準備制度理事会(FRB)は12日声明を発表し、短期金融市場での 資金繰りのひっ迫緩和を目指し、ターム物資金を市場に供給するとともに、欧 州中央銀行(ECB)ならびにスイス国立銀行(SNB)との通貨スワップ協 定を通して240億ドルを供給する計画を明らかにした。

FRBは今後4回の入札を実施、今月予定している2回の入札では最大400 億ドルを供給する計画。FRBはECBとイングランド銀行(BOE、英中銀)、 カナダ銀行、SNBの各国中銀と協調して資金供給に向けた政策を実行する。

米欧による大規模資金供給を好感し、12日の米国株は反発、ダウ工業株30 種平均は一時、270ドルを超える上げとなった。もっとも、午後には銀行大手ワ コビアやバンク・オブ・アメリカ(BOA)が信用市場での損失が拡大すると の見方を示したことで一時、111ドル安まで下落する場面も見られ、結局、前日 比41.13ドル(0.3%)高で取引を終えた。

橋本氏は、一昨日は米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ幅に 対する失望感からリスク選好度が再び後退し、市場が不安定化しかねないよう な動きも見られていたが、米欧中銀が流動性支援策を発表したことでそれをせ き止める先手が打たれた、と説明する。

日本株続落で円下げ渋り

米国株の反発を受け、12日の海外市場では円売りが強まり、ドル・円は一 時、1ドル=112円47銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)と11月9 日以来の安値まで円が下落。ユーロ・円も一時、1ユーロ=165円30銭と約1 カ月ぶりの円安値を付けた。

一方、13日午前の東京株式相場は続落しており、日経平均株価は一時、200 円程度まで下げ幅を拡大。外国為替市場では円が海外安値水準から下げ渋る展 開となり、対ドルでは一時、111円86銭、対ユーロでは164円58銭まで値を戻 している。

ソシエテ・ジェネラル銀行外国為替営業部長の斉藤裕司氏は、米欧中銀の 流動性供給について、資金規模も大きくアナウンスメント効果が期待できると しながらも、クロス・円(ドル以外の通貨の対円相場)の上値を追うにはまだ まだ不安材料がある」と指摘している。

金融不安再燃の可能性も

FRBは11日に開いたFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘 導目標を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げ4.25%に設定 することを決定。公定歩合も25bp引き下げた。また、声明では「金融市場の 状況悪化を含む最近の展開で、経済成長とインフレの見通しは不透明感を増し た」と指摘した。

一方、米銀2位BOAは12日、評価損の拡大見通しとともに、2008年第1 四半期まで「弱い」収益が続くとの予想を示した。また、同4位のワコビアは 10-12月(第4四半期)に計上する貸倒引当金を従来見通しの2倍に積み増す 可能性を明らかにし、さらに10-11月の2カ月間での住宅ローン関連の評価損 がすでに7-9月期と同額になっていると発表した。

この日は米国で小売売上高や生産者物価指数(PPI)が発表される。また、 米証券大手リーマン・ブラザーズの決算発表も予定されており、サブプライム 関連の損失が予想以上に大きいと、金融システム不安が再び台頭する可能性も ありそうだ。

--共同取材 吉川淳子 Editor:Norihiko Kosaka,Hidenori Yamanaka

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