日本株(終了)銀行中心に全面安、欧米中銀協調も不発-強い金融不安

東京株式相場は大幅続落し、東証1部の値 下がり銘柄が1500を超すほぼ全面安。米銀行大手のバンク・オブ・アメリカ (BOA)やワコビアが信用市場での損失拡大見通しを前日発表したことで、世 界的な金融不安がくすぶった。三菱UFJフィナンシャル・グループなどの銀行 株中心に売りが増加。米欧の主力中央銀行が短期金融市場に大量の資金供給を行 う協調姿勢を明らかにしたが、世界的な金融システムや信用収縮への懸念は払し ょくされなかった。東証業種別33指数は、鉱業を除く32業種が安い。

東海東京調査センターの中井裕幸常務・チーフストラテジストは、「サブプ ライム(信用力の低い個人向け)問題の政策はほぼ出尽くした。役者がそろった が、本質的に何も変わっていないため、期待がはく落している。海外金融機関の 決算発表も相次ぐことから、警戒感は拭い切れてない」と指摘した。

日経平均株価終値は、前日比395円74銭(2.5%)安の1万5536円52銭。 TOPIXは同40.83ポイント(2.6%)安の1516.10。東証1部の売買高は概 算で21億6201万株。東証1部の騰落状況は、値上がり131に対し、値下がり 1544。

根本的には何も

この日の相場は続落して始まり、日経平均はシカゴ先物市場(CME)の日 経平均先物12月物の12日清算値(1万5920円)をすぐに下抜け、じりじりと 下げ幅を拡大した。午後の取引に入っても下げ止まらず、終日で右肩下がりの動 き。あすに日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)や株価指数先物・オプショ ンの特別清算値(SQ)算出を控え買いが手控えられる中、先物に押されてこの 日の安値圏で終えた。

「裏を返せば、それほど大規模にやらなくてはいけないほど厳しい状況とい える」(新光証券エクイティ情報部の三浦豊シニア・テクニカルアナリスト)― ―。FRBは12日、欧州など他の中央銀行4行と協調して2001年の米同時多発 テロ以来で最大規模となる緊急資金供給を行うと発表。短期金融市場の資金繰り の逼迫(ひっぱく)を緩和する狙いだったが、株式市場は前向きに受け止めなか った。

波乱含み、VIXが暗示

ブルームバーグ・プロフェッショナルによると、米投資家の不安心理を映す シカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数は12日、朝方に一時、

20.5%まで低下したものの、その後はじりじりと上昇し、24.2%と今月4日以来 の水準に上昇する場面もあり、楽観論は広がらなかった。年初からの平均は

17.4%。

過去を振り返ると、今年8月9日に仏BNPパリバが傘下ファンドの解約凍 結を発表、ECBが2日連続で短期金融市場に大量資金供給した時も、当局が深 刻さを認めた格好となり、信用不安は解消されず、日欧の株式相場は大幅下落し た。

12日の米株式相場も、朝方こそダウ工業株30種平均が一時271ドル高とな るなど大幅高となったが、取引終了間際に一時下落に転じるなど上値は重かった。 損失拡大を発表したワコビアやBOAを中心に金融株が下げ、相場の足を引っ張 り、「投資家は当局の政策ではなく、実体悪に反応した」(岡三投資顧問の伊藤 嘉洋常務)格好となった。

ドル戻りも鈍く

サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に絡む金融不安に対 する根強い懸念は外国為替相場にも見られた。リスク回避姿勢の後退から高金利 通貨で運用する「キャリー取引」が活発化し、朝方は1ドル=112円前半と約1 カ月ぶりの円安水準で推移していたが、徐々に円高方向に振れて1ドル=112円 を割り込んだ。一時は111円67銭まで円高が進行。この流れを受け、株式市場 では、トヨタ自動車やホンダ、キヤノン、東芝といった輸出株が軟調となった。

東洋エンジやサンシティが急落

個別の動きでは、プラント工事が急増する中東での労働者不足の深刻化など を理由に、ゴールドマン・サックス証券が12日付で投資判断を新規に「売り」 とした東洋エンジニアリング、建築基準法改正の影響から物件売却が当初計画か ら後ずれし、今期(2007年12月期)の連結純利益見通しを従来予想から3割超 減額修正したサンシティが急落。同じく建基法改正により、一部の賃貸向けアパ ート・マンションの完工がずれ込むため、10月中間期の連結純利益が前年同期 比41%減となった東建コーポレーションも大幅反落し、ともに東証1部の下落 率上位に並んだ。

ソニーが孤軍奮闘

全体銘柄の約9割が下落する中、気を吐いたのがソニーだ。出来高は1445 万株と、3日連続で1000万株を超えた。豊証券の菊地由文取締役株式部長によ ると、「ドバイ政府系投資会社が購入したと伝わってから人気化している。相場 環境が不透明な時は、こうした安心感のある銘柄が買われやすい」という。

過去の株価動向を見ると、ドバイ政府系ファンドによる購入が伝わった11 月27日からの上昇率は9.6%。この日は一時2.2%の上昇となり、今年7月30 日以来の高値を更新した。

GMOインタがストップ高

このほか、ヤフーとGMOIの熊谷正寿会長兼社長を引き受け先とする第三 者割当増資を実施し、事業資金調達や自己資本を増強すると発表したGMOイン ターネットがストップ高。ハルテック、サクラダ、松尾橋梁など橋棟梁関連銘柄 も高く、不動産売却益の発生で08年1月中間期の業績を上方修正した日本駐車 場開発も買われた。

新興3市場も下落

新興3市場は、ジャスダック指数は前日比1.6%安の74.05、東証マザーズ 指数は同2%安の869.22、大証ヘラクレス指数は同2.5%安の1288.66。いずれ の指数も終日右肩下がりで下落した。

もっとも、個別で材料の出た銘柄には資金が集中。ジャスダック市場では、 特別利益の発生で通期(08年3月期)の連結純利益予想を上方修正したセイク レストがストップ高。東証マザーズ市場では、11月の太陽電池関連部品の受注 残高が前年比3.5倍となったマルマエがストップ高となった。大証ヘラクレス市 場では、松下電工が追加出資すると発表したユビテックがストップ高。

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