米金融当局:資金供給は金融市場対策-景気下支えの緩和とは一線画す

米連邦準備制度理事会(FRB)が12日発 表した主要中央銀行との協調資金供給策は、景気下支えよりも金融市場の緊張 緩和を主眼としたものだ。

FRBは欧州などの中銀と協調し、最大640億ドル(約7兆1600億円)の 資金を供給する。協調行動は世界の金融機関の資金コストを押し上げている短 期金融市場の機能まひを解消することが目的だ。

FRBの当局者は記者団に、12日の資金供給策は金利政策とは別個である ことを強調した。当局は現行の政策金利が来年の「緩やかな成長」をもたらす と考えている。当局は、金利変更とは別の方法で信用収縮に対応することでリ セッション(景気後退)を回避し、大幅な利下げが必要となるシナリオを回避 したい考えだと、エコノミストたちはみている。

モルガン・スタンレーの米国担当チーフエコノミスト、リチャード・バー ナー氏は「市場の流動性不足に中銀が対処する前向きな一歩」と評価する一方 で、「これによって、景気の先行きについての私の見方が変わることはない」 と述べた。

銀行間市場での資金逼迫(ひっぱく)への対応策が発表されたことを受け て株価は一時急伸したものの、信用商品関連の損失が拡大するとの懸念が払し ょくされるには至らず、結局は小幅な上昇で12日の取引を終えた。S&P500 種株価指数は一時2.3%高となったが、0.6%高で終了した。

FRBは月内に2回のターム物資金の入札を実施し、最大400億ドルを供 給する。通常のレポ(売り戻し条件付きの買いオペ)や連銀窓口貸し出しも行 う。また、欧州中央銀行(ECB)に最大200億ドル、スイス国立銀行(SN B)に40億ドルのドル建て資金を提供する。

棚上げ、そして再浮上

米当局は9月に、信用市場の環境悪化を受けてターム物資金供給の案を協 議したが、同月18日の0.5ポイント利下げによって資金コストが低下したこと を受け、この案は棚上げされた。11月に金融市場の緊張が再燃したため、再び 検討を始めたという。

イングランド銀行の報道官が12日述べたところによると、米欧の金融当局 者は11月17、18日に南アフリカ共和国で開催された20カ国財務相・中央銀行 総裁会議(G20)の際に、銀行間市場の金利押し下げ策を協議した。先週さら に協議を詰め、合意に至ったという。FRB当局者は12日の電話会議で、資金 供給策の発表は11日の株価下落に対応したものではないと強調した。

FRBは1月にも2回のターム物資金の入札を計画している。オッペンハ イマーファンズの債券責任者ジェリー・ウェブマン氏は「正しい方向の行動だ と思うが、規模や対象が、市場環境改善に向けて十分で適切かどうかは分から ない」と述べた。

利下げ期待は変わらず

先物市場では利下げ観測がさらに高まり、2008年1月29、30日の米連邦公 開市場委員会(FOMC)での0.25ポイント利下げの確率は今や98%織り込ま れている。ミラー・タバクの債券市場チーフストラテジスト、トニー・クレセ ンツィ氏は、資金供給という「手段は景気対策には向かない」と話す。

FRBの金融政策局長だったビンセント・ラインハート氏は、11日のFO MC声明と資金供給についての声明を分けたのは、「当局が金融緩和をしてい ると見られるのをいかに嫌っているかを示している」と指摘した。

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