米サブプライム問題、日本の失われた10年後追い-フェルドマン氏(3)

米サブプライム(信用力の低い個人向け) 住宅ローン問題に端を発した金融市場の混乱や金融機関などの損失に対し、米欧 当局がこれまで実施してきた潤沢な流動性供給は正しいが、投資家のモラルハザ ードを防ぐ措置は不十分で、問題の長期化につながる――。モルガン・スタンレ ー証券のロバート・フェルドマン経済研究主席は、米国が抜本的な不良債権処理 を怠れば、日本が経験した「失われた10年」を後追いしかねないとの認識を示し た。

インタビューは10日に行った。フェルドマン氏は「誰がどういう資産を持 っているかがはっきりするまでは解決にならない」と述べ、米欧短期金融市場の 混乱は当面続くと予想。予期せぬ資金繰り破たんが起こりかねない「信用危機の 時は、流動性をたくさん供給しなくてはならない」と語った。

米サブプライム住宅ローン関連の損失懸念を背景に、金融機関が手元資金を 融通し合う銀行間市場での資金コストは急上昇。3カ月物のドルLIBOR(ロ ンドン銀行間貸出金利)と、最も安全な金融資産とされる米財務省証券との利回 り格差(TEDスプレッド)は11日、2.21ポイントに拡大した。約3カ月前は

1.59ポイントだった。

米連邦準備制度理事会(FRB)は12日、短期金融市場での資金繰りのひ っ迫緩和を目指し、入札を通じた資金供給に加え、欧州中央銀行(ECB)など に対する通貨スワップによって240億ドルを供給すると発表した。ターム物資金 については4回の入札を計画。年内には2回の入札で最大400億ドルを供給する。

「失われた10年」と似た動き

流動性供給を評価する半面、フェルドマン氏は、投資家のモラルハザードを 防ぐため、「正しくない決定をした人たちを救わない」措置も欠かせないと強調。 米欧政府の対応は不十分で、「もう少し厳しいことをやっても良かったのではな いか」と述べた。

フェルドマン氏は、日本がバブル崩壊後の1990年代前半に直面した不良債 権問題が米国にとって参考になるとの認識を示した。当時の日本政府・日本銀行 は「やるべき資産の片付け」を怠ったため、「失われた10年」の停滞を招いたと 指摘。「米国がたどっている道は似ている」と語った。

足元では米雇用情勢も底堅いなど「実体経済に対する影響がはっきりした形 で出ていない」ものの、日本の事例を考慮すると、米サブプライム問題が米経済 に及ぼす悪影響は長期化すると予想。米実質成長率は「2008年に1%くらい」 まで減速するとの見方を示した。

FRBは11日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、フェデラルファ ンド(FF)金利の誘導目標を0.25ポイント引き下げ4.25%とした。9月、10 月に続く3回目の利下げで、下げ幅は合計1ポイント。地区連銀の窓口貸し出し に適用する公定歩合も0.25ポイント引き下げ4.75%とした。8月以降の下げ幅 は合計1.5ポイントとなった。

米住宅金融大手ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)のダニエル・マッド最高 経営責任者(CEO)は11日、ゴールドマン・サックス・グループ主催の投資 家会合で、米住宅ローン・住宅市場が完全に回復するのは早くても10年以降に なる可能性が高いと予想した。同会合に出席したフレディマック(連邦住宅貸付 抵当公社)のリチャード・サイロンCEOは、同社が所有・保証する住宅ローン のデフォルト率は過去最高の3-3.5%に上昇するとの見通しを示した。

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