【米経済コラム】FOMCの措置は冷静かつ必要最低限-J・ベリー

米連邦公開市場委員会(FOMC)が11日 に発表した決定は、投資家やトレーダーの期待を大きく下回った。

FOMCは、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25ポイント 引き下げて4.25%とすることを決定。利下げ幅は多くのアナリストが求めてい た0.5ポイントを下回った。声明では、インフレ率上昇リスクよりも成長下振 れリスクの方が大きいという見解も示されなかった。

それだけでなく連邦準備制度理事会(FRB)は、連銀窓口貸し出しの利 用を銀行に促して世界的な流動性の逼迫(ひっぱく)を和らげるための新たな 措置を取ることもなく、市場の観測は空振りに終わった。

FOMCの発表を受けて株式相場は大幅に下落。米国債利回りも大きく低 下した。FOMCの決定が控えめだったため、今後は景気の減速が続き、さら なる利下げが必要になるとの観測が広がったことが背景にあったとみられる。

FOMCメンバーに、こうした市場の反応に対する驚きはなかったはずだ。 FOMCが利下げ幅を0.25ポイントにとどめたことで、大半の金融当局者と、 大半のアナリストや投資家の景気認識の違いが一層浮き彫りになった。

バーナンキFRB議長をはじめとする金融当局者は、来年には経済成長ペ ースが徐々に上昇するという見通しを堅持し、インフレ動向を警戒し続ける考 えを強調している。

FOMCは今回の声明で、インフレ率上昇リスクと成長下振れリスクのバ ランスには言及せず、「金融市場の状況悪化を含む最近の展開で、経済成長とイ ンフレの見通しは不透明感を増した」と指摘するにとどめた。

選択肢を残す

11日の発表を受けてモルガン・スタンレーのアナリスト、デービッド・グ リーンロー氏は、追加利下げの可能性について「FOMCは追加的な措置を取 る選択肢を残しているようだが、追加措置の実施を保証しているわけではない。 FOMCの景気見通しが、われわれの予想ほど深刻でないのは明らかだ」と語 った。

市場に広がった公定歩合見直しへの期待は的外れだ。銀行が連銀からの借 り入れに消極的なのは、公定歩合がFF金利の誘導目標より0.5ポイント高い からではない。その証拠に、10日は公定歩合よりも1カ月物LIBOR(ロン ドン銀行間金利)の方が0.23ポイント高かった。

連銀はここ数年、流動性不足を和らげるため、銀行に対して繰り返し窓口 貸し出しの利用を促しているが、その努力は実を結んでいない。元FRB当局 者は、その理由を「借り入れを最も必要としている銀行が、深刻な問題を抱え ていると思われたくないために、借り入れに最も消極的」なためだと説明する。

次回会合

11日の利下げにつながったのは、11月20日ごろに始まった銀行間取引市 場の流動性の予想外の逼迫だ。バーナンキFRB議長とコーン副議長は11月下 旬、銀行間取引市場の問題が企業や消費者への信用供与の減少を引き起こし、 経済成長に悪影響を与える恐れがあるとの認識を示した。

11日のFOMC声明も「金融市場での緊張はこの数週間で強まった」と指 摘。さらに、住宅調整の本格化と「企業投資と個人消費の軟化」を利下げ決定 の理由に挙げた。

サンフランシスコ連銀のイエレン総裁も今月の講演で、自身の成長率見通 しを下方修正したことについて同様の理由を提示。その半面、経済情勢にさほ ど大きな変化はないとの見方も示した。

同総裁は、成長率は1年ほどで2.5%程度に戻ると予想。失業率も「持続可 能な水準である4.75%を若干上回る水準に段階的に上昇するにすぎない」との 見通しを示した。

11日のFOMCの決定の背景にあるのは、こうした見方だ。金融政策の効 果が経済に及ぶまでの時間差を考慮し、当局者らは最近のイベントに直接的に 反応しているのではなく、こうしたイベントが当局者の見通しにどんな影響を 及ぼすのかに反応しているのだ。

FOMCが10月30-31日に0.25ポイントの利下げを実施した際、12月 11日にも利下げを行う必要があると考えていた当局者は1人もいなかった。そ れでも利下げが実施されたのは、状況が変わったためだ。

今回の声明ではっきりしたのは、当局者が10月の会合の時ほど、来年1月 29-30日の次回会合について鮮明な見通しを持っていないということだ。 (ジョン・ベリー)

(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。 このコラムの内容は、同氏自身の見解です)

-- Editor: William Ahearn, James Greiff

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