日本株(終了)輸出や銀行中心に反落、米利下げ幅失望-期待感も残る

東京株式相場は反落。米国の利下げ幅が 景気後退を回避するのに十分ではないとの警戒から、キヤノンやトヨタ自動車 など輸出関連株が下げた。米国で住宅市場の先行きに懸念が高まったことで、 銀行株にも売りが先行。ただ、午後に入ってからは急速に下げ渋るなど、下値 を売り叩く動きは見られなかった。

みずほ投信投資顧問の岡本佳久執行役員・株式運用第2部長は、「景気情 勢を見ながら、1月も利下げを行う可能性が出てきている」と指摘。大幅利下 げの期待で買った投資家の失望売りが一巡した後は、「継続的な利下げへの期 待で下げ渋った」(同氏)という。

日経平均株価の終値は前日比112円46銭(0.7%)安の1万5932円26銭、 TOPIXは10.09ポイント(0.6%)安の1556.93。東証1部の売買高は概算 で21億1813万株、売買代金は2兆5437億円。値上がり銘柄数は753、値下が り銘柄数は838。

東証業種別33指数の騰落状況では、値上がり10、値下がり23。卸売業、 石油・石炭製品、鉱業、鉄鋼、サービスが高い。銀行、輸送用機器、不動産、 保険、電気・ガス、電気機器が下げた。

不透明感増したとFOMC声明

東京市場は反落したものの、下値での買い意欲の強さも印象づけた。米連 邦準備制度理事会(FRB)は11日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、 フェデラルファンド金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)引き下げ4.25%に設定することを決定。声明文では、前回の10月声 明時に比べて成長と物価とも「不透明感が増した」と指摘した。

T&Dアセットマネジメントの神谷尚志チーフ・エコノミストは、「堅調 な雇用情勢を考えると大幅利下げは必要ないが、投資家にとって小幅利下げは 失望だった」と解説。その上で、来年の米国経済の先行きについて米国投資家 は楽観的だと見る神谷氏は、「米国経済のリスクはダウンサイドのみ」とした。

もっとも、日経平均の安値は1万5700円とシカゴ先物市場(CME)の 日経平均先物12月物の11日清算値である1万5615円までは下げなかった。 政策面への期待に加え、午後には円高進行の一服。フィナンシャル・タイムズ 紙電子版でのFRBが割引窓口に替わる流動性対策を検討との報道も、「サブ プライム関連証券の買い手が現れやすくなる点でプラス」(みずほ投信の岡本 氏)とされ、急速に下げ渋った。

ドイツ証券の武者陵司副会長兼CIO(チーフ・インベストメント・オフ ィサー)は、失望感も広がった米利下げについて、「引き下げ幅よりもサブプ ライムの悪影響を最小限にとどめようとしたスタンスが重要」と強調。今回の 利下げは評価できるとし、政府やFRB、民間金融機関による対策への共同姿 勢が明確になったのは株価にとって明るい材料だという。短期的な期待感が失 望に変わった半面、中期的な期待感が株価を下支えする格好ともなった。

米金融株安の流れ

下落をリードしたのは金融株。大手金融グループのほか、その他金融株や 証券株も売られた。11日の米国株市場では利下げ幅が小幅にとどまったことで 経済成長や住宅市場に対する不安が高まり、S&P500種の金融株価指数は

4.9%安と11月7日以来で最大の下落率となっていた。

米大手金融機関が設立を進める「サブプライム支援基金」構想への出資を 打診されたと12日付の朝日新聞朝刊が報じた三菱UFJフィナンシャル・グ ループは、売買代金首位で3日続落。

今週から来週にかけては、リーマン・ブラザーズやベア・スターンズなど 米金融機関の決算発表を控え、「米サブプライム(信用力の低い個人向け)住 宅ローン関連の損失が市場の予想の範囲に収まるかが次の注目点になる」(大 和投資信託の長野吉納シニアストラテジスト)とされた。

また、プロミスなどその他金融株も安い。UBS証券では、消費者金融セ クターについて中間期は大手4社とも黒字を確保したものの、貸出残高減少は 会社想定を上回っていると指摘。セクターの投資判断「弱気」を確認するとと もに、武富士、アコム、プロミス、アイフルの目標株価をそれぞれ引き下げた。 4社に加えてオリックスやクレディセゾンなども下落した。

内需関連も軟調

海外経済の不透明感が広がる中、日本経済への警戒感も浮上した。モルガ ン・スタンレー証券では11日付で、日本経済はアジアの拡大の恩恵を受けつ つも、米景気後退下では内需の弱さからリスクに脆弱と指摘。2008年暦年の実 質成長率を1.9%から0.9%へと引き下げた。三井不動産などの不動産株や陸 運株、小売株など内需関連株も軟調だった。

IHIが下落率首位、きもとが急伸

個別では、前期の追加損失を訂正する方針で監理ポストに指定されたIH Iが急落し、東証1部値下がり率のトップ。きょうから東証1部指定となった ディー・エヌ・エーは、みずほ証券による格下げも加わって大幅続落した。07 年12月期の業績予想を引き下げたアビリットは小幅続落。どんを買収すると 一部で報じられた吉野家ディーアンドシーは続落した。

半面、トプコンによるTOB(株式公開買い付け)価格にさや寄せしたソ キアが東証1部値上がり率2位と急騰。三菱UFJ証券が投資判断を最上級に 上げたきもと、岡三証券が投資判断を格上げした山一電機もそれぞれ大幅高。 ヤフーが資本参加すると日経テレコン電子版が伝えたGMOインターネットは 急騰後に売買が停止された。進ちょく率の高さから業績上振れ期待が高まった サイボウズは値幅制限いっぱいのストップ高。

国内新興市場は上昇

国内新興3市場は上昇。エムティーアイやミクシィなど前日急落した時価 総額上位の携帯コンテンツ関連株が急反発となって不安心理が和らぎ、ヤフー のGMOインターネットへの出資報道が伝わった午後には上げが一段と鮮明に なった。ジャスダック指数の終値は前日比0.83ポイント(1.1%)高の75.28 と4日ぶり反発。東証マザーズ指数は8.85ポイント(1%)高の886.66と続 伸した。大証ヘラクレス指数は17.86ポイント(1.4%)高の1321.54と4日 ぶりの上昇。

個別では、エー・ディー・ワークス、MICメディカル、サイバーエージ ェント、ネットプライスドットコム、ぐるなびが高い。半面、テレウェイヴ、 スタートトゥデイ、ゼンテック・テクノロジー・ジャパンは安い。

--共同取材:Patrick Rial  Editor:Shintaro Inkyo

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